ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

一年の終わりに・・・

2013-12-27 21:14:33 | ある日の日記

ここしばらく体調を崩していたのですが、その時色々思うことがありました。

夜、なんとなく眠れないので、ベッドにもたれたまま、窓のブラインド越しに丘の上の公園の常夜灯を見ていたのですが、思い出されたのは、高校時代のこと。 四分の一世紀も昔、今と同じこの部屋で、深夜零時を過ぎた時刻、机に向かって通信添削の難問にうんうん言っていたものでした。英語の長文読解やら、重箱の隅をほじくるような、世界史の設問に・・・。

 そして、ふと目を上げると、公園の灯が今と同じように闇にうかんでいたのでした。ちょっとのどが渇いたのを感じ、階下に行って、紅茶を淹れながら、衛星TVのスィッチを入れていたのも思い出します。 訳もなく観るのが、好きだったテニスの試合の中継で、当時17歳だったシュフティ・グラフが女王ナブラチロワをウィンブルドンで破った時、頭の中で、何かが突きぬけるような興奮を覚えたのも、若さのせいだったかもしれません。

短くはない時を生きてきたなあ、と感じることが最近増えてきました。 これまで、多くの人と出会ってきましたが、人生の中で出会うのは、ほとんどゆきずりの人たちです。 一時期、何かを共にし、また別れてゆく・・・。 もう二度と会うことはないだろうなあ、と脳裏に思い浮かべる人々も沢山いますが、皆それぞれの道をゆき、その人なりの人生を完結することになるのでしょう。

このつたないブログをお読みくださっている方がいるならば、どうぞ良いお年を!

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ノエルより愛をこめて

2013-12-23 14:10:16 | ノエル

クリスマスと新年のメッセージを、イタリア語で贈ります

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Ti auguro di tutto cuore un bellissimo Natale e uno Stupendo Anno Nuovo pieno di felicita e fortuna!

(訳文)「素敵なクリスマスと、幸せと幸運に満ちた素晴らしい年になりますように!」

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ヌレエフの犬

2013-12-20 20:07:20 | 本のレビュー

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何年も前に買った本だが、とても好きな一冊。 面白く、洒落ていて、ウィットが感じられる極上の書物!(といっても、決してほめすぎではないはず)

ルドルフ・ヌレエフと言えば、1993年に世を去った、20世紀最高のバレエダンサーと言われた大スター。 その踊りを実際に観たことはなくとも、その名といかにもロシア的な美貌を知っている人は多いはず。 その彼が、あるパーティーで出会ったのは、太った、不細工で、妙な犬だった・・・としたら?

絵本のような、寓話のような味わいもある、この短い小説には、イラストも沢山ちりばめられているのだが、描かれている犬--ポモドーロフは、思わず「うわ」と言ってしまいそうなほど、、不細工で可愛い。 あえて言えば、バセットハウンド系の犬かもしれない。

ヌレエフは、このオブローモフを自分の練習場へ連れていくのだが、ここでオブローモフが「踊り」という芸術に目覚めるところが、面白くて、おかしい。 犬がバレエに心を奪われ、感動するなんて! やがて、ヌレエフはエイズのため世を去り、オブローモフは、その女友達のアパルトマンに引き取られるのだが、ある夜、開け放たれたベランダで、踊りのステップを踏むこととなる。 この時、オブローモフの胸に宿ったのは、亡きご主人ヌレエフへの愛と、踊りへの憧れだったかもしれない。

ヌレエフの女友達も、その踊りを観、感動してしまうのだが、これは二人だけの秘密となる、そして、圧巻は、ヌレエフの墓に連れて行かれたオブローモフが、最高の踊りを見せるところ!太った老犬がかくも優雅に跳躍するなんて、まさしくヌレエフばり。 こんなファンタジーなんて、めったにお目にかかれないのではないだろうか?

私も、ヌレエフに憧れていたことがあり、彼のドキュメンタリーDVDも持っているのだけれど、ヌレエフが本当に、オブローモフという犬を飼っていたのかは知らない。(作中に出てくる、ビロードの縁取りのある毛布やタイ製の黒い寝籠、素敵なクッション、とびきりのカーフでできた首輪など、オブローモフの生活はアラビアンナイトの絵巻を思わせるのだ)

そして、いつかパリにあるヌレエフの墓を訪れることがあったなら、偉大なダンサーの足元にそっと葬られているはずの、オブローモフにも、挨拶したい。この「ヌレエフの犬」の素敵なラストシーンのように--。

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寒い・・・

2013-12-16 20:39:01 | ある日の日記

ここのところ、寒い。スゴーク寒い。半端じゃない寒波の到来である。

冬になると、つらいのがお風呂を洗うこと。朝は寒いので、近寄らないようにして、ようやく夜になるという頃に、ようやく浴槽を洗うことに。 脱衣場から、浴室までキーンと耳に音がしそうな冷たさである。 夏の間は、ひんやりすべすべとして見えた白い浴槽が、何とも冷たくて触りたくないなあ・・・。

四季の中で、子供の頃から冬が大嫌いで、いつも秋の終わりになるとため息がでていたもの。この季節になったら、ホント暖かいというのが何よりのごちそうである。 電気毛布を温めて、夜眠る時は、「天国って、こんなものかな?」と思うほど幸せ気分。 この時ばかりは、こんなに気持ちいいのも、冬が寒いからだね、と感謝したくなったりするから不思議。

さて、体が温まったところで、今度はぞくっとくる幽霊物語でも読むか・・・

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あまんきみこ童話集

2013-12-14 15:49:59 | 本のレビュー

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あまんきみこさんをご存じでしょうか? 有名な童話作家で、心温かなファンタジーを紡ぎ続ける方です。 これは、その秀作ばかりを集めた童話集。

書かれたのは、もう30年も40年も前なのでしょうが、子供の世界って、いつの時代も変わらないんだなあ、と思わされてしまいます。 何より言葉が透明感があって、素晴らしい!

でも、これらの中で格別印象に残るのは、「カーテン売りがやってきた」というもの。他の作品が小さな子供たちを主人公にした、優しいものが多いのに引きかえ、これはかなり怖い。

怠け者のサクヤンが、近くの家にかかっているのを見つけた美しいカーテン。聞くと、町の広場で、カーテン売りが売っているのだとか・・・。 さっそく行ってみると、薔薇の茂みが描かれた緑の美しいカーテンが。 しかし、それを売っているのは、気味の悪い男。 そう、カーテンに描かれた蜘蛛の巣の住人であるかのような・・・。

このカーテンを買うと、サクヤンは何とも言えない夢見心地の気分になって、家から出なくなってしまいます。 気がつくと、町じゅうの家がそうなっているのでした。そして、時折起こる悲鳴。最後には、明りのともっている家は、サクヤンの家だけになって・・・というなかなか恐ろしいお話でもあります。

さて、離れのノエルの本棚には、同じあまんきみこさんの手になる絵本「きつねの神様」もあります。 酒井駒子挿絵の美しい本ですが、これの書評は、また今度。

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かなりや学園の思い出

2013-12-13 12:34:55 | ある日の日記

わたしは、幼児の時、「かなりや学園」という聴覚障害のある子どもたちのための施設に通っていました。週に一度(それくらいだったかな?)、母に連れられて、通った学園・・・そこでは、しょっちゅう聴力検査をしたり、勉強や遊びをしたり・・・先生たちもいい人ばかりで、今でも「かなりや学園」は、温かな思い出として、わたしの中に存在しています。

隣りの県や遠くから通ってきていた、クラスメート(と、いうのかな?)は数人。 小学校へあがるとともに、「かなりや学園」も卒業してしまい、会うこともなくなっていまいましたが、当時の友達はどうしてるかな? と懐かしく思い出すこともあります。

勉強や遊戯をしていた部屋の棟から離れて、「給食室」もありました。そこで、いつも昼食を取るのです。 でも、子供の頃の私は、大の偏食家。 すごく好き嫌いが多くて、学校時代、いつも困っていたほど。 だから、学園の給食室でも、あれこれ残していたはず。 不思議なことに、そこでどんなものを食べていたか全然覚えていないのですが、給食室の一角に蛇口がずらりとならんでいたことや、窓の向こうにブランコやジャングルジムが見えていたこと、建物全体が、砂色をしていたことなどを鮮やかに記憶しています。

聴力検査を受けていたのも、部屋の中に、もうひとつ小部屋をしつらえたようなもので、その小部屋に入ると、薄明るい照明が灯してあり、ベッドの上に横たわるようにして、聴力検査を受けたり、とまるで宇宙船の中にいるみたいだったこともありました。

それから、ずんずん時がたって、当時のことも遠い過去になってしまいました。 すこし前、新聞で「かなりや学園」が閉鎖されそうになxちたものの、皆さんの尽力で存続が決まったと聞いたのも、うれしい知らせ。 昔、「かなりや学園」から帰るバス停の横の金網から、グラウンドの芝が見え、青空がその上にくっきり広がっていたことを瞬間思いだしました。

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出雲の旅、再び

2013-12-08 21:11:29 | 旅のこと

バス旅行がまた当たったと思ったら、行く先は同じ出雲大社。 でも、バス旅行はなかなか好きなので、しょうこりもなく行ってきました。 

朝早く出発するので、山あいの道では濃霧がたちこめていたり・・・でも、山々は黄金色に色づき、これを見るだけでも幸せです。 作家の曽野綾子が、列車の窓から秋の野山の風景を見ながら、蜜柑や栗を食べたりするのを、えも言われず楽しいひとときだったと書いているのをどこかで読んだ覚えがありますが、本当に乗り物の窓から自然を見るのは、楽しい!

スーパーはもちろん、コンビニさえも見当たらない、山間の村落・・・住むのは大変だろうなあと思いますが、こうした人里離れた場所を見ると、そこで送られる人生について想像してみたりします。 冬の透明な日が窓ガラスに反射し、ひっそりと優しい佇まいを見せる民家たち・・・。

こうした小さな旅こそ、これから大切にしていきたいものの一つ。

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ブシコー派の時禱書

2013-12-07 15:18:43 | カリグラフィー+写本装飾

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こないだ、名古屋の古川美術館で買ってきた本です。 この美術館で4年ぶりに期間限定で公開されている写本のガイドブック。 丁寧な解説書で、写本の世界が身近なものになりそうです。

カリグラフィーを始めて、もう8年。去年から、関西のスタジオで、装飾写本の勉強をすることになったのですが、いつか写本の模写をしてみたい--文字やミニアチュールや装飾を生かして、一つの作品が作れたら、というのが今の私の夢です

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おもひでぽろぽろ

2013-12-05 21:21:50 | 映画のレビュー

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高畑勳監督の「おもひでぽろぽろ」です。確か、私が大学生だった頃に、公開されたはずで、この大きなポスター写真も、当時目にした記憶があるんだけれど、ちゃんと観たのは、今回初めて。  こんな映画との再会も悪くない?

物語は、27歳の女性タエコが(彼女は、東京生まれの東京育ち)田舎に憧れ、山形の田舎に農業ホームステイ(?)に行くところからはじまります。 最初、違和感を感じたのは、まだ27歳の女性であるタエコに、家族が「もう若くないんだから」とか「結婚しないの?」などというシーン。 私が青春時代を過ごした90年代初めでも、こんな認識は古すぎるぞ・・・と思ったら、タエコの子供時代が映し出されて、その中でタエコが昭和31年生まれであることが判明。

そうか! じゃあ、この映画の舞台となっているのは、1983年頃なんだね。 どうりで、主人公の乗る新幹線の型が古いと思ったわ・・・。 まあ、その頃じゃ、30歳まじかにもなれば、ハイミス(死語)扱いされたでしょうね。  でも、人生に迷いを感じ、心が揺れているのはわかるけれど、そこでなんで、小学校5年生の時の思い出がえんえん出てくるの? だから、山形でタエコの将来の夫になるらしき農業青年がでてきた時も、この青年は小学校の時の同級生だとずーっと20年くらい思い続けてきてしまったわ。 以前、この映画をきちんと観ていなかった私が悪いんだけど・・・。

それでも、山形へやってきたタエコが、早朝の紅花の採取をしに、向かうところは圧巻! 水墨画みたいな深い山の中にある紅花の黄色い花弁、その間に立っている農家の人たちの笑顔が、木彫りのお面みたいに不気味に感じられたのは、私だけでしょうか? でも、東北の田舎の風景をかくも美しく描けるのは、やはりジブリ映画ならでは。

それに、私も田舎とか農業というものに、郷愁を感じるタイプ。映画の中でも言ってましたけれど、田舎の風景は本当の自然ではなく、昔の人々が少しずつ手を加えてできた優しい風景--だからこそ、タエコもいうように、「懐かしい感じ」がするんでしょうね。

でも、変に気になるのは、小学生の時の思い出が出てくるのが、現在のタエコのストーリーと関係がなさそうだということ。 私としては、やはり、有機農業青年のトシオが昔の同級生か何かで、大人になった二人が、共有する思い出として、子供時代を語るという設定にしてほしかったなあ。

「コクリコ坂から」もそうだったけれど、昭和30年代や40年代というのは、多くの人が懐かしさや魅力を感じる時代みたい。 ここでも、商店街の看板とか、子供のファッションに懐かしモードがうかがえたけれど、主人公タエコが「じゃりんこチエ」に似て見えたのは、偶然ではない?

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冬のはじまり

2013-12-04 12:07:43 | ガーデニング

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三日間続いたギヤラリーが終わりました。一日目と二日目に来て下さったお客様は、それぞれ30名くらい。三日目は、いつも客足が途絶えがちなのですが、今回もそう。 それでも、ギャラリー終了まぎわには、何人もの方がいらしてくださり、ありがたいです!の一言。

よく言われることですが、ギャラリー経営は厳しいですね。 価格破壊が進んで久しく、安くシンプルなもので、賢く生活していこうという時代の潮流や、ライフスタイルからすると、ギヤラリーの商品は中途半端に高く、手工芸的なものを好む人の数も限られているというデメリットがあるようです。

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話かわって、こちらはギャラリーの上のガーデン。 この間、水道の蛇口を変えました。 ガーデンには煉瓦を敷き詰めているので、それにあわせてレンガ風の柱に、金色の犬の蛇口。アップで、ご覧になってわかるように、ゴールデンレトリバーではないのですが、この子もなかなか可愛いです。 よくある小鳥の蛇口より、こっちの方があう気がしたんですが…。

ノエルハーブガーデンも、すっかり冬の気配。 あんなに赤々と燃え立っていたカイの樹も、葉を落とす用意をしています。 植物たちもしばしの眠りにつきますが、 その庭をこの金色の犬が見守ってくれるのでしょうね。

 

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