2月下旬の寒い朝、老婦人がマリナード地下街の広場を掃除している
やわらかに
やわらかに
子供のほほをさするように
子供のほほをなでるように
手すりを
ロッカーを
自動販売機を
そして
ヒスイ色のフロアーだ
やさしく
やさしく
やわらかに
やわらかに
まるで
シンデレラーの宮殿だ
なんて たのしそうなんだろう
なんて うれしそうなんだろう
そうだ ここに人類の究極がある
ヘブライとヘレニズムが到達できなかった世界だ
世界文明の核心は
ここにある
この瞬間にある
2月の寒い朝
ニッポンの婦人が
「天女の舞を 舞っていた」