今日も元気で頑張るニャン

家族になった保護猫たちの日常を綴りながら、ノラ猫たちとの共存を模索するブログです。

ノラネコとノネコ ~その1・奄美の問題~

2023年07月27日 | ノラたちの幸せを願って
本テーマはノラたちの幸せを追求する当ブログにとって、避けることのできないものです。
この議論が噴出したのは2018年、世界遺産を目指す奄美大島で「ノネコ管理計画」なるものがスタートした時でした。固有種のクロウサギを守るためにノネコを駆除する。これに対し世間の非難が集中した。当ブログでも2年半ほど前に「奄美大島と天売島」なるタイトルで記事にしました。その後、奄美大島は世界遺産に登録されましたが、ノネコ管理計画は10年計画なので、今も進められています。

猫を駆除する? 当ブログでも再三述べているように、猫は動物愛護法によって守るべきとされている動物です。しかしながら100%人間に依存しない猫は野生動物と同じなので、愛護動物の対象外というロジックがある。役人特有の逃げ道です。そしてそういった猫を「ノネコ」として家猫や野良猫と区別して、鳥獣保護管理法の対象とし「狩猟鳥獣」としているのです。(ただし駆除狩猟は免許制。勝手に駆除したり保護すれば罰せられます。)

前出ノネコ管理計画はこのロジックを使ったもので、同じ猫なのに理屈をつけて駆除(殺処分)するとは何事ぞ、という非難が集中したのでした。自分は当初からこの問題を追っていましたが、最近になって(この3月)耳を疑うような凄惨で猟奇的な猫虐待事件が発生した。広島の大学院生が、罠にかかった猫をバールで殴り無残に切り裂いてしかも調理して口にした。その一部始終を動画に撮って公開したのです。
逮捕された男は容疑を認めたが、「愛護動物ではないノネコだと思った」と一部を否認。周到な言い逃れまで用意していた。一方斬殺された猫は人に懐いた地域猫だったと、ボランティアの人たちの憤りと落胆をまいどなニュースが報じている。

わが家と店のノラたちの守り神、みうとテンちゃん

この事件をきっかけに、自分はノラネコとノネコの違いについてできる限り多くの記事に目を通してきました。現状やはり奄美大島についての記事が多く、また感情的な記事も多いので、なるべく冷静に一方的でなく、よく調べた上で書かれた記事を選んで下にリンクしてみました。今回はそれらの記事を紹介しつつ自分の感想も述べ、本題の「ノラネコとノネコ」についてはその2で考察することとします。

奄美大島のノネコ問題に関しては、何と言ってもその管理計画の概要を確認することから始めなければなりません。この計画は奄美市の他、環境省、鹿児島県や5つの町村と協議の上策定したと書かれています。ノネコを捕獲し1週間以内に譲渡できなければ殺処分するという内容。尚下にリンクした奄美市のHPには管理計画の他、野良猫のTNRや飼い方などについても決めごとが紹介されています。同HPを見た限りでは、世間から非難囂々になるようなひどいものだとは思えませんでした。

世界遺産登録のために猫を殺すのかといった感情的な非難が多い中で、注目すべき反対意見は、肝心のクロウサギが減るどころか増えているという(専門家による)調査結果が新しく出ているのに参考外としていること。また森にいるノネコと街にいる野良猫をどう区別するのか。さらには年間4000万余り(計5億円・いなくなったマングース駆除時代からの延長)の予算をつけたのに実績が少ないなど。(=税金の無駄使い。ちなみに2020年が最少で27匹の捕獲です。)


テンちゃん、レジ外台にて (2019.6.16没)

擁護の意見は、下に紹介した記事では非難されている事柄に対して事実を検証するという形で述べられている。この記事にあるように、島内のノネコは3000匹もいない。(実は奄美市のHPにも600~1200匹と書いてある。) 捕獲後殺処分までの収容日数はむしろ一般の保健所よりも長いと反論しているけど、殆どの譲渡対象者が本土の人々という難しさを考えれば、決して長いとは言えないと思います。さらに、実際に殺処分された猫はいないという弁論はさすがに違うでしょう。殺処分がないのは、多くのボランティアの人たちが私費を投じて引き取っているからです。引き取り過ぎた保護団体が破産したという報道もありました。

この記事が言うように、日本ではまだ多くの猫が殺処分されているし、海外でも特にオーストラリアやニュージーランドでは野良猫(ノネコ)を全頭駆除(殺処分)する方針を打ち出して世界中から非難されています。でもそれを理由に奄美での殺処分を正当化するのは、引用の仕方が確証バイアス的な姑息に過ぎる。例えば逆の例としては、過去に小笠原で同様の問題が生じたときは捕獲した猫のすべてを本土に移送して譲渡したことがある。今年は韓国の馬羅島(マラド)でも同様のことがあって、捕えた猫を順次本土に送っている。奄美と一緒に世界遺産になった沖縄では、 同様のプロジェクトがパブリックコメントを集めた結果延期になった。(添付Evaレポートにいきさつと全体の流れがまとめられています。)

と、いろいろありますが、自分はこれらのどの記事がいいとか悪いとか言いたいわけではありません。しかしどの記事にも不満がある。当ブログのシリーズ「エサをやるなは殺せと同じ」を中心に再三書いてきたように、どんなノラ(ノネコ?)でもそのルーツを辿れば必ず捨て猫にたどり着く。しかも猫の遺棄は今なお進行形だ。まずノラ(ノネコ)を生み出す人間の行為に終止符を打つ。その視点がなければ、ノラ問題もノネコ?問題も奄美の問題も決して解決しないのです。残念ながら今回目を通した大量の記事の中には、猫の遺棄問題に焦点を当てた記事は一つもなかった。メディア関係者も含め人々の視点を変えることが如何に難しいか、痛切に感じた次第でした。

※その2に続きます。

みう、当家の裏庭にて (2019.8.9没)

~参考資料~
大元の計画
反対記事
擁護記事
沖縄の例
 (以上、クリックしてポップアップ)


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