今日も元気で頑張るニャン

家族になった保護猫たちの日常を綴りながら、ノラ猫たちとの共存を模索するブログです。

猫愛 ~ほんわか、でもやっぱりせつない猫たちの物語・第7話~

2024年02月28日 | 猫愛 ~特選・猫たちの物語~
都下を流れる多摩川の河川敷には捨て猫が絶えないのだと言います。捨てられた猫たちの過酷な運命は言わずもがな。でも前回紹介した「おじさんと河原猫」はそんな猫たちの世話をする貧しく病弱なおじさん2人と猫たちの絆を中心に展開する。

おじさんと出会えた猫たちは幸せだったけど、運命はそんな猫たちの小さな幸せすら奪うかのように、台風19号による多摩川の氾濫を引き起こしたのでした。それから年月が過ぎ静けさが戻った多摩川の河川敷には、今も捨て猫が絶えないであろうことを忘れないようにしたいと思います。

店で一時代を築いたリードの達人テンちゃん

前々回のわが子を託しに来て最後に力尽きたノラのお母さんの話、そして前回のホームレスのおじさんと捨て猫たちの話、どちらも事実を淡々と描いているだけなのに読めば何かを感じざるを得ない。それは話のテーマ自体が教条的な要素を含んでいるからです。話の裏側に見え隠れする人間の悪徳を意識せざるを得なくなる。そして、これでいいのかと訴えかけてくる。

でも、思い出してください。第4話のマリの話。佐竹さんの脚色や文章力だけではありません。哀愁とささやかな幸せ。マリだってもともとは捨て猫でした。なのにその話は教条的なものが影を潜め、掛け値なしの愛に満ちている。千鶴子さんの不変の愛です。だから読後に心がほっこりと癒される。

今回紹介するお話は再び佐竹さんの登場。今もsippoやフェリシモ猫部に連載書いてますが、どの話もひたすら猫愛に満ちている。周囲の人たちの愛があれば、ノラだってこんなにも幸せになれる。東京は新宿区の住宅街に暮らす老猫ピーちゃんのお話です。ピーちゃん、何と28才に!?


テンちゃんは佐竹さんの取材を受けたけど、病気療養のため中断した
そのとき佐竹さんのお話を伺って以来、店のスタッフは佐竹さんの大ファンになった

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猫愛 ~ほんわか、でもやっぱりせつない猫たちの物語・第6話~

2023年12月04日 | 猫愛 ~特選・猫たちの物語~
前回(第5話)の話はショッキングであると同時に、いろいろ考えさせられる話でした。自分の命に代えてでも子供たちを守る(人に託す)という母猫の決断。それは人間であっても野生動物であっても同じで、子に対する母親の思い(愛情)は命よりも重く深いものなんだと。思いを馳せるのは易し。でも実際にそういった行動に触れると、ある種の衝撃を受けてしまう。

そしてもうひとつ。ノラ猫の子育てが命がけであるということ。ただ、それは人に見護られているかいないかで天と地ほどの差がある。そして、人に見護られているノラはほんの一握りなのだということ。前回も述べましたが、洪水などの自然災害で真っ先に犠牲になるのがこういった親子なんです。こんな不幸を作り出してはならない。今いるノラたちを救うこともさることながら、ノラを生み出し続ける人間の蛮行(猫捨て)を止めさせることが先決なのだと思います。

いつもスタッフやお客さんに見守られていたレオとココ(棚下)

さて今回の話は、不幸なノラたちに手を差し伸べたおじさんのドキュメンタリーです。
それは「おじさんと河原猫」という本になりました。ご存知の方も多いと思いますが、この話は太田康介さんという写真家が多摩川に捨てられたのら猫たち、そしてそのノラたちの世話を続ける2人のおじさんと出会うことから始まります。近所で暮らす病弱のおじさんと多摩川で暮らすホームレスのおじさん。太田さんは2人のおじさんとノラたちの里親探しをする一方で、自身もノラの一匹「シロ」の里親に。

しかしそのノラたちとホームレスのおじさんに、先に述べた自然災害の悲劇が訪れる。2019年の台風19号で多摩川が氾濫。あの時、多摩川が氾濫したニュースを見て自分が真っ先に案じたのはこういった悲劇でした。それは事実となった。猫たちも、その猫たちを救おうとしたおじさんも濁流に呑み込まれそのまま行方不明に。社会的弱者の人が命を賭してまで不幸なノラたちを救おうとする。都合よく猫たちを捨てていく人間の蛮行に怒りを覚えながら、こういった人間愛に触れると、救われたような気持になるのではないでしょうか。

写真は本文とは関係ありません

今回はこの本を紹介しながら太田さんに伺った話を書き留めたsippoの記事(藤村かおり氏)の他、amazonの同本販売サイトもリンクしました。amazonのサイトには本の要約があります。(買ってほしいという意味ではありません。) また両サイトには下の関連記事(本)欄になかなか興味をそそるものがあるのも見どころ。


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猫愛 ~ほんわか、でもやっぱりせつない猫たちの物語・第5話~

2023年07月02日 | 猫愛 ~特選・猫たちの物語~
第4話のマリの話、如何でしたか?
ほんわかと暖かくて、どこか物悲しいノラ猫マリの生涯です。マリが幸せだったことは言うまでもありません。それでも感傷的になるのは、運命に従順なれど懸命に生きるマリの生き様に心動かされるからだと思います。まあ、今回は佐竹さんの脚本の妙もあるかな。事実を淡々と連ねるだけで読み手をこれだけ感動させるのだから流石。擬人的な扱いも、佐竹さんの見立てが確かなものだからすんなりと受け入れられるのだと思います。


佐竹さんの取材を受けたけど、療養のため続けられなかったテンちゃん

さて今回は、話というよりはある出来事の紹介です。
先日の「坂上どうぶつ王国」で紹介されたのは、庭で何度かご飯をあげていた猫ちゃんがある日、目に障害のある子どもを連れて来て「この子をお願い」と。その家の人は母子猫ともに保護し、子猫の目を治してさらにはそれがきっかけで仕事を辞め、保護猫同伴専用のアパートを建築してしまったという豪快な話でした。SNSやブログでも、子供を託しに来た母猫の話を時折目にします。

5年前、リンは家裏に息子たちを連れてきた (左はソトチビ)

ノラにとって人間は怖い存在。でも頼らざるを得ない存在。とりわけ♀猫ちゃん、特に母猫にとってはそうなんですね。投稿されるのは大抵母子ともに保護したとか、子猫を保護して母猫はTNRしたとか、それがきっかけで幸せになった猫ちゃんたちの話です。子猫だけ保護したなんて投稿には、母猫はどうしたと不満やら非難っぽいコメントが続いたり・・。読み手の気持ちもわかるけど、猫育て未経験の人が母猫の願いに応えて子猫を保護するというのも立派なこと。実際には、母猫がいくらお願いしても見向いてすらもらえないことが大半だと思うので。

今回リンクしたお話(出来事)は、ワンニャンプロジェクトさんのSNS投稿をネットニュースの「ねとらば」が紹介したものです。あるお宅でご飯をもらっていたガリガリに痩せた猫ちゃんがある日、1匹ずつ咥えて5匹の子猫を連れて来て、5匹目を運んだ直後に倒れて急逝してしまった。その子猫たちの保護を依頼されたのが投稿者さんでした。命をかけて子供たちを託しに来た母猫、心が痛みます。

ハルは、Mさんに保護された直後に6匹の子を産んだ

今は水害のシーズン。被害に遭った人たちも本当に大変だけど、水没した町の片隅で子育てをしていたノラの母猫は、子猫を守りつつ人知れず命を落とすのだと。そんなことのない平和な世の中が来るよう願うばかりです。尚、前述「ねとらば」の記事の他に、参考として同様の話をGoogleで検索した結果、また以前に読んで印象的だったbear-sparkさんのブログ記事もリンクしておきます。(元はねこかますさんのYouTube「かーちゃん猫、子猫を託す」で姉妹編もあり、「ねこのきもち」などにも取り上げられて大反響となりました。)


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猫愛 ~ほんわか、でもやっぱりせつない猫たちの物語・第4話~

2023年03月23日 | 猫愛 ~特選・猫たちの物語~
第3話のスンスンの話、どうでした?
事実(出来事)と筆者の気持ちを淡々と綴っただけでこんなにも人を感動させる。特別なことは何もない。どこにでもあるであろう、必死に生きるノラとそのノラの幸せを願う優しい人の物語です。でもノラには宿命(さだめ)みたいなものがあって、優しい人の腕の中に素直に飛び込めない。哀しき性(さが)かな。
最近、当ブログでも子猫ミーとのお別れがありました。あれだけ尽くしても、ミーはこのお店を後にした。直接的にはココの見張りが怖かったのだと思いますが、それなら(ココが屋内に入る)夜に来ればいいと思うけど、それが猫にはわからない。そのもどかしさ。そしてノラの生き様の何とはかなく、せつないことよ。

ニャー「ようやく春が来て、ノラたちも一安心だね」

さて、今回は再び佐竹茉莉子さんのお話です。
佐竹さんの著書に「猫との約束」がありますが、これは猫と人の関わりを描いた物悲しくも感動的な話を集めた珠玉の一冊です。先日、PHPオンライン衆知がその一話を編集して公開しました。
海辺に捨てられた「マリ」という子猫が漁師さんたちに救われ、育てられ、やがて年老いたマリに外の生活がきつくなった頃、優しい人のシェルターに保護されて晩年を穏やかに過ごした。「老後は任せて。」 それがその人(千鶴子さん)とマリとの約束だったから・・。
いつもまっ直ぐな猫の気持ちに、応える人の気持ちもやはりまっ直ぐだ。その偽りのない関係が、読む人の心に訴えるのだと思います。

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猫愛 ~ほんわか、でもやっぱりせつない猫たちの物語・第3話~

2022年10月07日 | 猫愛 ~特選・猫たちの物語~
第2話のマーチの話、ケージ飼いの悲劇はよくありそうな話です。
悪意がなくても、日本にはもともと動物を繋いだり檻に入れて飼育する文化があるからです。実際、「猫 ケージ飼い」をネットで検索すると沢山の記事がヒットする。獣医師さんや獣医師さん監修の記事も多い。それらのタイトルだけ見ればケージ飼いを肯定する記事ばかり。実はそれが問題なのです。あの"ノラ猫への餌やり禁止"と同質の問題が、ここにもありました。

当ブログでは何度も繰り返しているように、いかなる自治体の条例も餌やり自体を禁止していません。法律違反だからです。禁止しているのは環境に配慮しないなど"不適切な方法"での餌やりなんですが、一見では餌やり禁止としか見えない。それと同じで、ケージ飼いを肯定する記事の中身を読めば、タイトルとは裏腹にケージの使用を一時的なものとするよう断っているのです。自分も養生のときなどケージの必要性は認めます。しかし基本的に猫には自由や運動が必要なことは言うまでもない。ちなみに「猫 完全ケージ飼い」で検索したところ、何と最初に出てきたのは愛読している「ねこちゃんホンポ」の記事。タイトルでは完全ケージ飼いを肯定しているのに、内容的にはやはり「毎日外に出しての運動が欠かせません」だって。何をかいわんやです。

自治体の条例や専門家気取りのネット記事が、どうしてこんなに読み手を惑わすような書き方しかできないのか、その結果としてどんな文化が生まれてしまうのか、動物福祉後進国日本がこんなことで生まれたのだとしたら本当に残念な話です。


ニャー:猫族にとっては何より自由が大切なんだニャ

さて、今回の話。
Sippoには佐竹茉莉子さんの他にも、自分の好きな書き手さんが大勢います。「猫はニャーとは鳴かない」シリーズの宮脇灯子さん、「家猫庭猫」シリーズの安彦幸枝さん、等々。飾らない文章で事実だけを淡々と繋ぐ。それでいて人の気持ちも猫の気持ちも痛いほど伝わってくる。何回読み返しても胸にジーンとくる感動があります。それはきっと、決して飾ることのない、そして運命に従順な猫(特にノラ)の生き様に相応しい書き方だからなんだと思います。

今回は、その中から安彦幸枝 さんの「庭猫スンスン」のお話。本にもなってるのでご存知の方も多いと思いますが、スンスンとの出会いから別れまでが淡々と綴られる物語。そこに描かれるのはノラの悲哀か、ノラの幸せか。安彦さんと一緒に考えたくなるテーマです。この話は5話からなるシリーズ。各回の記事下から次の回に飛ぶことができます。安彦さんへのインタビュー記事も一緒にリンクしておきます。

「庭猫スンスン」

※単行本発刊に際して
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