今日、沖縄で基地の県外移設を求める県民大会が開催されました。
マスコミでも大きく報道されています。
沖縄県民の声を聞け、無視するな!と。
基地の県内移設反対!が沖縄県民の総意であるかのようにここからは見えます。
本当にそうなのでしょうか。
2002年に、「からくり民主主義」という本が草思社から発行されました。
筆者はテレビ番組制作会社に勤めた経歴を持つノンフィクションライターの高橋秀実氏。
世論・・いわゆる「みんな」の声を探しに取材にでかけますが、その「みんな」が見つからず、
どちらが良くてどちらが悪いという単純な結末が見つからない、そんな10のエピソードが
丁寧な取材をもとに親しみやすい文章で書かれている良書です。
自分は、発行されてすぐ購入したのですが、このたび何年かぶりに本棚の奥から取り出し、
目当ての記事を読んでみたのです。目当ての記事とは、沖縄の基地問題です。
このところ、普天間基地移設の問題がニュースなどでよく取り上げられていますが、
自分はこれまであまり沖縄の基地についてあまり興味がなかったし、よくわからなかったのです。
そこでこの本のことを思い出したのです。
それに書いてあったことですが、1995年に起こった米兵による少女暴行事件に端を発して、
「日米地位協定の見直し及び基地の整理縮小」に賛成か反対を問う沖縄県民投票が行われました。
その結果、
・賛成 89%
・反対 9%
だったそうです。
ただし、高橋氏によると投票率が60%だったことを考えると、
・賛成 全県民の約53%
・反対 全県民の約5%
・棄権 約40%
であり、「賛成」に意思表示をしたのは県民の約半分ということになります。
さらに、現在騒がれている普天間飛行場の移設問題にも触れています。
1996年に橋本政権が普天間飛行場を返還することを発表し、
その代替として辺野古にヘリポートを建設することになってしまったことを受け、
それに反対か賛成かを問う、名護市の市民投票が行われたようです。
その結果、
・反対 53%
・賛成 45%
だったのですね。
確かに辺野古移設反対側の勝利と言えばそうなんですが、反対・賛成はほぼ半々なのです。
さらにその後に行われた市長選挙では、基地の受け入れを表明した岸本氏が、
反対派候補を破って当選するのです。
ま、市長選挙の争点すべてが基地移設だったわけではないのでしょうけど。
さて、どうでしょうか。
これは2002年発刊の本ですし、以上の投票が行われたのはもっと前ですけれども、
県民の態度は今とそんなに変わっているものでしょうか。
そうでないとすれば、賛成・反対はやはりほぼ半々、と言えるのではないでしょうか。
改めてこの本を読んで、今日、報道されているような沖縄県民の声・・・、
つまり基地反対!が沖縄県民の総意である、というような報道は疑わしいと思ったのです。
もちろん反対する人はいるでしょうが、そのまた反対もいます。
そして、そちらは全く報道されません。
基地反対の反対・・・どちらかと言えば賛成派というのは、
基地経済の恩恵を受けている人が多数であろうとは想像がつきます。
そうした、基地に依存しての生活をどうこう言う人もいるでしょうが、これも現実です。
だって、これが何十年も、人の一生分も続いているのですから。
今日開催されたような反対運動は、あれはあれでいい、と賛成派は思っているのだそうです。
反対派がいれば、それに充てられる予算もつくし、国が大事に扱ってくれるのだと。
えっ、自分?
もし自分の地元に米軍基地が建設されるようなハナシがあったとしたら・・・
もちろん反対ですよ!
ただし、自分の所有する土地が軍用地となることで借地料が入るとしたら・・・
あるいは、自分が建設会社を持っていて、大規模な工事を請け負えるとしたら・・・
賛成かも、、 しれませんね。。。
ちなみに、市街地のど真ん中にあることが普天間飛行場の問題というふうに言われてますが、
これまたこの本によると、市街地が出来たのは「普天間基地建設の後」なんだそうですよ。