映画の豆

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「ノクターナル・アニマルズ」

2017年11月09日 | サスペンス映画


「シングルマン」に続くトム・フォード監督・脚本作品2本目。
原作はオースティン・ライトの小説。
愛情の冷めた家庭で夫と暮らす芸術家のスーザンの自宅に、
ある日、原稿用紙の束が届く。
それは彼女が手酷く傷付けて別れた元夫エドワードからのもので、
小説家志望の彼の手による物語だった。
小説は非常に暴力的な内容で、彼女は戸惑う…というあらすじ。
映画は、現在のスーザン、過去のエドワードとのやり取り、
物語の中での残酷な出来事の3パートに分かれ、
スーザンをエイミー・アダムス、
エドワードと小説の主人公の2役をジェイク・ジレンホールが演じます。

相変わらずファッションや家具、建築物、さり気なく配置されたアート、
隅々まで美意識が張り詰めていて、ピリピリするくらいです。
私は「シングルマン」は好きな映画ですが、これは駄目でした。

ラストばれ

30年近く前に書かれた原作だから仕方ないとはいえ、
深夜乱暴運転のドライバーに絡まれ、
妻と娘を引きずり出されて奪われ、
後日妻も娘も乱暴された全裸死体で見つかった男が
徐々に非日常の狂乱の世界に足を踏み入れて…みたいな内容の小説、
この2017年に読みたくねぇー!
誰の文体だったら読めるだろうって想像したけど誰でも読みたくねぇー!
カズオ・イシグロでも無理だー!
あ、真紅のソファの上の白い死体は美しかったですけど。

小説世界で、ボロボロに心傷付いたジェイク・ジレンホールの入浴シーンを
1カメ、2カメ、3カメと、様々なアングルで捉えていたのはさすがだと思いました。
アーロン・テイラー=ジョンソンの屋外全裸排便シーンも面白かった。
彼も名演でした。

現実世界で、小説をdisる妻に夫が
「徹夜で書いた作品だ。気に入ってほしかった」
って言うシーンがあるんですが、
そういう事を言う人の小説、読みたくねえー!
感想言うなんて絶対いやー!って思いました。
けどまあ、ジェイク・ジレンホールの蔓状に巻いた唇の端を見ていると
なんか小説つまんなくても許すという気になる。

人間にはずっと同じ場所に留まっていられる人と
進まないと死ぬ人がいて、あの2人が合わないのは明らかなので、
私もあのプードルみたいなヘアスタイルをした、
エイミー・アダムスのお母さんと同じことを言いたかった。

ラスト、「えっここで終わり!?ここで!?ここで!?」って思った。
映画なんだし、もうちょっと盛っても罰当たらないんじゃない!?
暗示的なイメージで始まったんだし、ラストも魔女の暗示的な何かで終わったほうがいいよ!?



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