ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

気仙沼の内湾はいい天気

2024-01-07 23:31:15 | 詩誌霧笛137号(2021)以降
2024年お正月松の内晴れた空にぽっこりと白い雲日本海側の能登半島は雪かもしれないガザは晴れているかもしれないウクライナは吹雪の場所もあるかもしれない東京やニューヨークは晴れていようが吹雪だろうがとりあえずは気にしなくていい1968年や1989年に僕たちには希望があった2001年にようやく僕たちは何かに気づきはじめたおそらく僕たちはまだ人間ではない文明は進歩したかもしれないが文化は進歩などしないい . . . 本文を読む

Dead or Alive

2023-10-08 09:52:32 | 詩誌霧笛137号(2021)以降
逃亡中の指名手配の犯人が目撃される中折れ帽にトレンチコート何の罪を犯したか定かではない拳銃を所持しているかどうかナイフを隠し持っているか人を殺める必要はそもそもあるのかブルースの聞こえそうな港町の岸壁を繫留する漁船の傍らをふらふらと歩いていたとか小さなウィスキーのボトルを手にしていたとかいや不似合いな小さなギターを背負っていたとか足元はスニーカーだったとかいつお迎えが来たっていいんだと小声で口ずさ . . . 本文を読む

合理・不合理? 霧笛143号から

2023-07-27 23:02:05 | 詩誌霧笛137号(2021)以降
不合理ゆえに我信ずというようなことをパスカルも言っていたはずだが私は不合理ゆえに我信ずとは言えないしかし世の中は不合理の大海の中にうっすらとひと筋の道筋が浮かぶのみいや一筋ではなくいくつもの筋の道筋は一つではないそして未踏の道筋がある不合理の大海に新たな道筋を見いだす不合理の大海はエネルギーに満ちて豊かな不合理の中にこそ生きる力生き延びる力が潜んでいる波立つ大きな暗い海にひと筋の明るい道筋を刻み込 . . . 本文を読む

完全なひと あるいは無常ということ 霧笛143号から

2023-07-27 22:57:21 | 詩誌霧笛137号(2021)以降
完全なひとはいないひとは死んで初めていろんなものが欠けたままのあのひととして定まる生きている間は危なっかしいどう転ぶかわからない聖人君子が犯罪者となるちゃらんぽらんな男があっと驚く誠実さを見せるまあほとんどはどっちつかずの宙ぶらりんの中庸という言葉もあるがああ無常定常はない定住の地はない明日には転げ落ちて行方も知れぬああ無常情けもない情けない完全なひとはいないどこにもいないああ無情 . . . 本文を読む

三杯のコーヒー(推敲)

2023-06-13 15:54:09 | 詩誌霧笛137号(2021)以降
一日三杯のコーヒーを飲み地球のどこかで起きている何ごとかに思いを寄せてふつうのくらしが成り立つことの幸福アフリカのコーヒーインドネシアのコーヒー中米のコーヒー雲南のコーヒー海面上昇戦争※後半を削り込んでみた . . . 本文を読む

三杯のコーヒー 霧笛142号から

2023-05-03 09:17:14 | 詩誌霧笛137号(2021)以降
一日三杯のコーヒーを飲み地球のどこかで起きている何ごとかに思いを寄せてふつうのくらしが成り立つことの幸福アフリカのコーヒーインドネシアのコーヒー中米のコーヒー雲南のコーヒー銀行破綻物価上昇株価下落金利上昇失業戦争内戦紛争海面上昇気温上昇ヘイト . . . 本文を読む

静かなくらし 霧笛142号から

2023-05-03 09:10:08 | 詩誌霧笛137号(2021)以降
静かなディーセントなくらし穏やかに床につき穏やかに目覚め空腹のままコーヒーを淹れて窓の外の小鳥のさえずり朝静かな音楽を聴いて一九六八年の記憶をたどり豊かな森の谷間を逍遙する豊かな森の湾岸を逍遙するわたしはわたし穏やかに座って穏やかに本を読み空腹のままコーヒーを飲む何杯かコーヒーを飲むふつうにアフリカのコーヒーを飲む静かなふつうの生活 . . . 本文を読む

牡蠣とワイン

2022-12-18 22:20:02 | 詩誌霧笛137号(2021)以降
内湾近く二階に上がったバール唐桑産牡蠣のリゾットグラスの白ワイン大人向きに抑えて軽くビターでスイートなjazzエレクトリックでアコースティックなギターと六弦ベースのデュオ(「Chooyan & Sai 」(仮称) この日は、6弦のベースギターではなくて、4弦の電気ベースというのだろうか、だった。ワインも赤だし。) . . . 本文を読む

映り移らふもの 霧笛141号掲載

2022-12-17 15:35:23 | 詩誌霧笛137号(2021)以降
※歌碑写真 畠山幸(霧笛同人)歌碑の鏡のような石版の刻まれた文字に重ねて青空が白い雲を浮かべて映る記憶に写しとった移らふものさわさわと微かな風が映り込んだ影を移し白昼の夢を現す内湾の硝子のような水面に安波山の紅葉樹と常緑樹が映る浮見堂の釣り人の釣り上げた小鱸が波紋を打つ夏は疾く過ぎて冬は山影に身を隠す移らふ季節のいっときの光※神明崎の歌碑砂の上に わが恋人の名をかけば 波のよせきてかげもとどめず  . . . 本文を読む

俺はドストエフスキーも読まなかった

2022-10-20 23:18:30 | 詩誌霧笛137号(2021)以降
「俺はドストエフスキーも読んだことないし、マルクスも読んだことないんだよ」私は、ドストエフスキーも読んだしマルクスも読んだ「教養の大きな幹はなくて、枝葉があるだけみたいな感じ」しっかりした幹がないのに美しい枝葉や花がある というのは奇蹟河合隼雄が、こう言ったらしい「あなたはちゃんとした学校教育を受けなかった、本をたくさん読まなかったことですごく得してる」でも騙されるな教養はドストエフスキーとマルク . . . 本文を読む

夜間飛行

2022-09-05 10:33:29 | 詩誌霧笛137号(2021)以降
陽が落ちて小さな星たちが輝きはじめる時刻に西の空から軽量金属の滑らかな翼を持った飛行体が滑空する下界の灯りが鈍く機体に反映し滑らかに滑っていくひとり心細く寄る辺なく暗闇の中を滑る心震え右に左に傾きながらようやく墜落せずにある高度を保ってこの世は仮の世陽光なく温もりなく冷え切った夜空の鳥が一羽彼方の恒星を目指して甲高い鳴き声を残して駆け上がる突如反転しキリリと墜落しネリリと命を落とすその代わりに名も . . . 本文を読む

霧笛139号掲載詩

2022-04-29 10:37:29 | 詩誌霧笛137号(2021)以降
天空の虹彩 - 湾現実に幻日というものがあるというならきっと虹もこの世に存在するに違いないそして虹は天空に薄ぼんやりと色彩を映し見上げる者の瞳の中で光彩を放ついつか西の空に沈みか...goo blog 道化が笑う・道化が泣く2022 - 湾お天気雨雲の隙間から明るい日差しぱらぱらと落ちる雨粒道化が笑うひとびとの面前で精一杯バカなことを言うおどけ廻るわざと虚仮るひとびとは道化に踊らされ笑わ . . . 本文を読む

霧笛138号掲載詩

2021-12-11 20:10:17 | 詩誌霧笛137号(2021)以降
男として - 湾人間の男として女を愛する女がかつてこう語った「わたしたちは墜ちたままそれしかほかに知らない仕方でむさぼりあったシイツの草叢で祖先たちの墓の上で」(新川和江「地上の愛より」第三連)今男として女を愛することを語り直すおれたちは天上に昇ったり地獄に堕ちたりを繰り返しながらむさぼりあった正しいことと誤ちと多様な方法を試みて愛し合ったシイツを皺寄せながらフランスの歴史を辿りながらロシアの大地 . . . 本文を読む