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生物多様性基本法

 亜寒帯から亜熱帯までの気候帯に位置し、四季や変化に富んだ地形の我が国には多種多様な生物が存在しますが、生物多様性とはこのように自然環境に応じた様々な生物が存在していることです。

 人類が、米や肉、魚を食糧としたり、綿花や材木を衣類や家屋等の材料にしたりするように、地球上のあらゆる生物は、共生しながら自然の恵みを生かして暮らしています。植物も動物も菌類もそれぞれ存在意義があり、他の生物の助けなしで生きて行くことはできません。

 生物多様性の保全や持続可能な利用に対する取り組みを目指した「生物多様性に関する条約」が平成4年に採択され、我が国は平成55月に締結し、同年12月に条約が発効しております。同条約第6条に基づき、平成7年に「生物多様性国家戦略」を閣議決定し、環境省で私が担当した外来種規制法といった生物の多様性に関する法律など新しい法令の整備を進めてきています。

 そうした中、本年5月のドイツ・ボンにおけるCOP9(生物多様性条約締約国連合)の開催と、そこでの次期COP10の開催地決定をにらんで、自民党、公明党、民主党3党の関係者がそれぞれ独自に昨年から、生物多様性基本法の制定に向けて検討を進めておりましたが、この様な各党のバラバラの動きを一本化して下さったのが谷津義男先生です。

 昨年夏の参議院選挙で自民党・公明党が惨敗し、民主党が大躍進して第1党となり、国会は衆議院、参議院で第1党が異なるいわゆる「ねじれ」の状態となりました。昨年9月からの臨時国会では補給支援特措法、今年1月からの通常国会では道路関連税制改正法等で、しばしば国会が空転し、先行きが不透明な深刻な状況となっておりましたが、「難しい国会情勢の中ではあるが、生物多様性基本法を作ろうということでは、各党関係者の思いは同じではないか。別々に法案を提出することを避け、各党で一致した動きをとろう。」と広く自公民3党の関係者に働きかけて下さいました。年初からのご尽力により、4月下旬に「国会の状況で法案審議がうまく進むかどうかは別として、3党の関係者で力を合わせて、一本化した法案をまとめていこう。」との合意が成立しました。

 連休明けの58日に、谷津先生を中心に、民主党から田島一成先生、末松義規先生、村井宗明先生、公明党から江田康幸先生、自民党から北川知克先生と私が集まり、具体的な議員立法化の作業を進めることとなりました。以前に環境省で生物多様性を担当していた私が法案のたたき台を作ってほぼ連日のように6人で集まり、一条毎に案文の検討を開始しました。

 当初は立場の相違もあり、ぎこちないやりとりをしましたが、回を重ねるにつれ、お互いに気心が知れ、忌憚のない意見交換を行い、論点をひとつひとつ潰していくことができました。具体的な作業を開始した58日には、神戸G8環境大臣会合が始まる524日までに合意ができれば良いが、2週間ほどしかないのでとても無理だろうと内心あきらめておりました。ところが、6人のチームワークが良く、法案のツメの作業が連日どんどん進展し、一週間でほぼ成案をまとめるに到りました。

 さらに我々にとって幸運なことに、513日に道路整備費財源等特例の議決を衆議院で行い、その後の空転は必至と思われていた国会が、民主党のご英断により国会運営が正常化しました。早速6人のメンバーは手わけして各党の国会対策委員会等に働きかけ、520日の衆議院環境委員会で生物多様性を含む一般質疑を行った後に直ちに法案を委員長が提案し、採決、522日の衆議院本会議で可決し、524日からの神戸G8環境大臣会合の場で我が国の国会での法案作成と状況について発表できるように致しました。

 その後参議院での審議も527日に環境委員会で審議、採決、528日に参議院本会議で可決、成立致しました。これにより、530日までドイツ・ボンで開催されていたCOP9(生物多様性条約締約国会合)の最終日に出席した鴨下環境大臣から、我が国で世界に先がけて生物多様性基本法が成立したことを紹介し、2010年の我が国での次期締約国会合(COP10)開催誘致に大きく貢献することができました。

 66日に公布、施行されたこの法律は生物多様性に関係する様々な法律の上位に位置する基本法であり、それを世界に先がけて我が国で成立させたことに大きな意義があります。

 それだけでなく、この法律は内閣が提出したものではなく、文字通り議員によって成文化された議員立法で、しかも難しい「ねじれ国会」の状況の下で与野党3党によって共同で作業し、成立させることができたという点で更に大きな意義を有するものであると考えます。

 議員立法の動きは数多くありますがなかなか成立させられるものではありません。時に恵まれるということはこういうことかと、心より深くこの法律をとりまく環境に感謝した次第です。

 今後はこの法律をいかに上手く活用していくかが課題となります。政府をはじめとする多くの関係者の皆様によって、この生物多様性基本法が生きた法律になっていくことを心から願ってやみません。

 なお、1030日にこの議員立法を進めた7名の共著による「生物多様性基本法」を㈱ぎょうせいより出版致しましたので、詳しくはこの本をご覧下さい。

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