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イギリスの国民投票とEUからの離脱

セルポート「永田町より一筆啓上」掲載記事より

「イギリスの国民投票とEUからの離脱」

 5月23日にイギリスで国民投票が実施され、離脱17,410,742票(51.9%)、残留16,141,241票(48.1%)で、イギリスがEUから離脱することになり、世界中に衝撃が広がりました。

 昭和27(1952)年に欧州石炭鉄鋼共同体が発足し、昭和42(1967)年に欧州共同体(EC)、平成5(1993)年に欧州連合(EU)として拡大を続けてきたヨーロッパの統合は大きな転換点にたち至りました。

 国家の主権とは何か、代議制民主主義とは何かが問われています。

 その国家の領域において、他国に干渉されることなく国の方針を決定する権能が、国家の主権です。イギリスは他国と共に欧州連合条約を締結することにより、ヨーロッパの締約国間の政治統合を目指し、欧州委員会、欧州議会の決定を一定程度受け入れることとしたのです。しかし、EUに加わることによる市場の統合等のメリットよりも、EUへの財政的負担やEUの決定を受け入れることに対する反発の方が強くなったということが、今回の国民投票で明らかになりました。

 どの国も一国だけで生きていくことは出来ません。資源や食糧等を貿易し、場合によっては労働者を受け入れ、各国と協調することによって、安定した国民生活を実現しています。特にEUは各国が連合することによって、アメリカに対抗する人口・経済力を擁して、強い発言力・存在感を発揮してきました。そのメリットを捨てても、EUによる主権の制限に我慢がならない、イギリスのことはイギリスが決めるのだ、ということのようです。これにより、EUの存在感は低下し、イギリスの中でのスコットランドの独立、他の加盟国のEUからの離脱が現実味を帯びてきました。

 私は、イギリスは大人の国だと思っていました。アメリカで行われている大統領選挙でも内向きの発言、他人を批判する発言が目につきますが、自分のことだけではなく世界全体のことにも目を配るイギリスであって欲しいと願っています。

 また、国民投票のあり方についても疑問が表明されています。ギリシャ時代の都市国家のように国民全体が参加する直接民主主義が現実的ではなくなったため、議員を選出して議会で決定するという間接民主主義が世界中で採用されています。しかし、何について国民投票に付するべきか充分な議論はなされていません。今回の国民投票は、キャメロン首相が誤った見通しによって政権基盤の強化を狙ってなされたのではないかとも言われています。

 議員と議会は、何を議論し、何を決定するために存在するのかが、問われているのです。

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