前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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福井県営住宅への指定管理者制度導入は慎重に

2010年08月18日 | Weblog
福井新聞・・・・・・・福井県は福井、坂井、鯖江、越前の4市にある県営住宅計11団地について、2011年度から指定管理者制度を導入することを決め、指定管理者の公募を始めた。現在福井市内の団地の管理を代行している県住宅供給公社の10年度末解散に伴い移行する。入居者へのサービス向上や管理コスト縮減を図る。

 県営住宅は現在8市町に18団地あり、同公社と各土木事務所が管理を代行している。指定管理者制度を導入するのは、福井市の8団地と坂井、鯖江、越前3市の各1団地で、11団地の管理戸数計1985戸のうち、1817戸が現在入居している。このほかの団地はいずれも建築年次が古い木造で、入居者がいなくなった段階で取り壊しなどを進めているという。

 指定管理者は、11団地を北部、南部の2地域に分けて10月8日まで公募する。2地域で別々の指定管理者を選定する方針で、県建築住宅課は「サービス内容を競い合うことで、入居者の住環境を高めたい」としている。

 指定期間は15年度末までの5年間。団地内の集会場や駐車場など共同施設も含めて管理し、入退去や家賃収納の事務、維持修繕などに当たる。入居決定や家賃設定、滞納者らに対する明け渡し請求など行政判断を伴う業務は県が行う。

 10月までに各団地の入居者を対象とした説明会を順次行う方針。高齢者や障害者ら社会的支援が必要な入居者も多く、慎重な対応が必要なケースもある。同課は「指定管理者の選定で留意するとともに、選定後も十分連携をとって入居者に影響がないようにする」としている。・・・・・・・・


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     いま、どんどん行政施設の民間業者まかせがすすんでいる。「民間は公務員より優れている」という発想だが、果たしてそうか。住民も、とりわけ「住」という生活のもっとも基盤となるところだけに、「管理主体が変更されることの」不安もあるだろう。
もちろん、指定管理者は民間とはかぎらない。が、このケースでは公社解散を前提として募集しているから、民間ということになるだろう。


労働組合のニュースを紹介したい。




     自治体労働者の組合のニュースより・・・・・「公の施設」の管理運営をめぐって、埼玉県ふじみ野市営プールでの女児水死事故(2006年7月)、島根県出雲市「出雲ゆうプラザ」での死亡事故(2007年8月)、静岡県立草薙体育館における死亡事故(2009年4月)、県立青年の家(浜名湖)でのボート転覆死亡事故(2010年6月)など、利用者の生命すら奪われる重大な事故が相次いでいます。

自治労連は8月10日、この問題での総務省要請。自治労連は、「住民のいのちを守るべき『公の施設』が住民のいのちを奪っている。その背景には、『官から民へ』の掛け声のもと民間活力や競争原理が導入され、管理の質が劣化していることがある」と指摘。さらに、「総務省は昨年10月、指定管理者制度の運用についての事務連絡を出し、その中で、『指定管理者実務研究会報告書』(財団法人地域総合整備財団)を参考にするよう推奨しているが、その報告書の中で典型事例としてあげられているのが、民間企業等に開放している割合が高い静岡県だ。そこで相次いで死亡事故が起こっている。今こそ、指定管理者制度そのものを見直すべきである」と主張しました。

静岡自治労連の林委員長は、県立青年の家(浜名湖)でのボート転覆死亡事故について、「当日は大雨雷強風注意報が発令されており、直営時であれば施設側と学校側が協議し中止していたケースだが、今回は指定管理者から学校に知らされずに決行された。ボートの操縦を教職員に任せ、指定管理者は乗り込まなかった。曳航に向かった所長は20年間ペーパードライバーで曳航訓練は受けていなかった」ことをあげ、「明らかに指定管理者に専門性が足りなかった」と指摘し、指定管理者制度の抜本的見直しを要請しました。また、1年前の県議会で県は「指定管理者の選考にあたっては、危険性への対処法について十分審査・選考していきたい」と答弁していたが、結果的に事故が起こってしまったと指摘しました。

埼玉県本部の林委員長は、「4年前にふじみ野市営プールで女児水死事故が起こり、こうした痛ましい事故を繰り返さないために、毎年市民集会を行っている。公の施設での重大事故は後を絶たない。今年の市民集会では、シンドラー社のエレベーター事故で息子さんを亡くした市川さんが、事故の再発防止のためには権限ある独立中立の第三者機関の設置が必要」と訴え、「事故の要因は複合的だが、要因の一つは委託によって施設を管理する主体から現場までの距離が遠くなっており、コミュニケーションがなくなっていることがある。事故を防止するためには専門性を蓄積する必要があるが、指定管理者制度は構造的に専門性を失わせるものだ」と指摘しました。

総務省の担当者は、「指定管理者制度がすべて善であるかのような風潮があるが、自治体は自らの政策判断にもとづいて、公の施設のあるべき姿に即して施設の管理のあり方を決めるべき」とし、公共サービス基本法第11条と、政府が検討している公契約法が実現すれば、その活用が考えられるのではないかと述べました。・・・・・・・・・・




      もし、「県営住宅」で、コスト削減による事故や不備がおこったら住民はたまったものではない。
それだけに、入居者の意見・要望をよく聞くことが大切だ。また、応募してきた事業者が県民の命と安全を守るのに責任を果たせる事業者かどうか・・・・・県が任命した委員だけによる選定ではなく、入居者によって選ばれた県営住宅の「自治会」関係者もふくめて、「選考」に参加する仕組みをつくることは最低必要だろう。「終の棲家」となる住民もいるのだから。

      公共サービス基本法の趣旨を踏まえて、とりわけ11条の「 国及び地方公共団体は、安全かつ良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるようにするため、公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする」を遵守した対応を県には求めたい。



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2 コメント

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選考基準が判らない (業者です)
2010-11-28 19:53:03
今回、選考に参加した業者です。
どうしても、選考基準が判りません。
選考されたのは賃貸管理業者ではありませんでした。それも、土木業者です。
プレゼンテーションの審査基準が理解できませんでした。
本当の意味の住生活環境の改善のために必要なことは、一切理解されていなかったように思います。審査基準が一部の業者には伝わっていなかったことだけを信じたいです。

滞納率1割以上という異常事態については、一切問題にされていませんでした。
本当は、その一割の入居者の存在が住環境を悪くしている場合が多いのです。

それこそ、自治会の価値観や現実を理解したうえでの選考基準であったのか大変疑問です。
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ありがとうございます (さとう正雄)
2010-11-29 16:14:53
コメントありがとうございました。
「選考されたのは賃貸管理業者ではありませんでした。それも、土木業者です。
プレゼンテーションの審査基準が理解できませんでした。」・・・・・なるほど。

以前、別の案件ですが、指定管理者選定で議会でも大議論になったことがありましたが。

選考に不透明さが残るのはまずいですね。
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