日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「職人さん」になった卒業生が来てくれました。

2017-01-12 08:38:05 | 日本語学校
晴れ。

「寒波が『来るぞ、来るぞ』」と脅されていたのに、(来てしまっても)それほどの寒さを感じないというのは、もう「冬」に慣れたからなのか、それとも、実際は言われていたほど寒くないからなのか、あるいは、脅された分、身体が引いて感じているからなのか、本当に人というのは、不思議なものです。

さて、学校です。

昨日、卒業生が、「現場が近くだから、つい寄ってしまった」と、授業中に顔を見せてくれました。休憩時間だから大丈夫と言って(来たのは、12時ちょっと過ぎ)。

彼は、ほんの14歳か15歳の時に日本に来、そして親御さんに連れられて「日本語を学びたい」とやって来たのですが、そのときの頼りなげな様子をよく覚えています。

それがもう部下がいる、ちゃんとした職人さんになってやって来たのですから、驚きです。思わず、「おじさんになっている」と叫んでしまいました。だって、顔が大人の顔なんですもの。しかも職人さんで、責任を持たされていれば、顔つきも普通のサラリーマンとは違って、しゃきっとしています。もっとも、本人は…かなり、嫌がっていましたが。

彼がいた頃は、高校を出たばかりの学生達がまだ何人も留学生としていたときで、女の子が多かったものですから、彼はちょっとした遊び相手になっていました。課外活動へ行けば、「近くに○○があるから、(解散になってから)そこへも行こう」とか、「東京の一日切符を買ったおけば、それで一日いろいろな所へ安く行けるから、買っておくといい」とか、おそらく一人であったら判らなかったであろう知恵も、たくさんつけられて。

昨日も、「課外活動が楽しかった」と言っていましたもの。

学校をやめてからは、いろいろ苦労したようで、「苛められたこともよくあった…」。でも頑張ったから、今の彼があるのでしょう。

そのとき、ついでに、「『日本の先生はどうしてこんなに優しいの』って感動していたことを覚えている?」と聞いてしまいましたが、聞かれた本人、「えっ!」と絶句していましたけど。

当時、私たちは普通に、ごくふつ~に厳しくしていたつもりでしたから、言われて、ちょっと驚いてしまったのです。まあ、覚えていなくてもいいんですけれども…。

また、寄りますと言って現場に戻っていきましたが、そこで、その場にいた留学生達にちょっと説明。

日本では「職人さん」の地位が高いこと。この「高い」というのは語弊があるかもしれませんが、「尊敬」されているのです。というようなことなどを教えました。もちろん、「職人さん」と呼ばれるほどの、手にきちんとした職を持った人でなければだめなのですけれども。

これはなかなか判ってもらえないことで、ちょうどいい機会だと思って言ったのです。そうでなければ、生まれつきのカーストに縛られている人、金持ちかどうかで「偉い」かどうかを決めつけてしまう人などが少なくないのです、外国から来た人たちの中には。

こういのも、彼らがこれまで属していた社会の然らしめるところで、決して学生達のせいではないのですが、日本でこれをやられると、困りますからね。

日々是好日
コメント
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