夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ヒッチコック/トリュフォー』

2017年01月02日 | 映画(は行)
『ヒッチコック/トリュフォー』(原題:Hitchcock/Truffaut)
監督:ケント・ジョーンズ

今日からしばらくは「今年観た映画50音順」を始めたあとに観た作品。
したがって旧年中に観た作品です。テアトル梅田にて。

1年に観る映画が劇場とDVD併せて200本を超えるようになったのは約15年前。
以降、観る本数が徐々に増え、ここ数年は350本を超えています。
2012年にこんなことがきっかけで劇場鑑賞を心がけたら、
いつしか劇場鑑賞本数がDVD鑑賞本数の倍以上になりました。

そんなわけで、世間的にはかなり映画を観ているほうだとは思うのですが、
ついつい新しい映画を観てしまうから、名作といわれる古い作品は網羅できていません。
しかし、やはり名作は観とかなあかんやろと観まくった年があり、
オールタイムベスト50とか100とかに選出される作品はガンガン観ました。
そのなかにランクインしていようがいまいが観たのが、
オードリー・ヘップバーンの出演作、そしてヒッチコック映画。

1962年、フランソワ・トリュフォーがアルフレッド・ヒッチコックに熱烈なラブコールを送り、
トリュフォーによるヒッチコックへのロングインタビューが実現します。
7日間、毎日約8時間、食事もともにして語り合ったふたり。
このインタビューは『定本 映画術 ヒッチコック/トリュフォー』としてまとめられました。
フランスとアメリカで同時出版されるやベストセラーに。

どデカい日本語版を私も持っています。
飲んでいるときに人から勧められて後日買ったのですが、
読んでみたらおもしろいのなんのって。
思えばこの本を読んだがゆえにヒッチコック映画に手を出したのかもしれません。

本作はその伝説的インタビューの音源をもとに、
現代を代表する映画監督へのインタビューをおこない、
ヒッチコックの映画理論とテクニックを解き明かすというもの。

登場する監督は、マーティン・スコセッシデヴィッド・フィンチャー
アルノー・デプレシャン、ウェス・アンダーソン
ジェームズ・グレイ、オリヴィエ・アサイヤス
リチャード・リンクレイターピーター・ボグダノヴィッチ
ポール・シュレイダー、黒沢清

ヒッチコック映画は、大衆受けがよかったにもかかわらず、
評論家たちには酷評されることが多かった。
不真面目に見えたのかもしれないと監督たちは言います。
しかしこの本のおかげで正当に評価されるようになった。
この本は単なる本ではなく、トリュフォーの映画でもあるのだと。

めちゃめちゃ面白くて興奮しました。
監督たちの解説が凄い。
アンタらどんだけ繰り返してヒッチコック観てんねん!?とつっこみたくなるほど。
こんな解説をされたら間違いなくヒッチコック映画をもう一度観たくなります。

技術的にきちんとした映画をつくっていれば、世界中の人に受け入れられる。
良いもの面白いものは万国共通なんだなぁと実感。
映画作家としての誇り、意気に感じます。

本題とは関係のないことですが、デヴィッド・フィンチャーって男前だわ。

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