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『ゴーン・ガール』

2014年12月19日 | 映画(か行)
『ゴーン・ガール』(原題:Gone Girl)
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ベン・アフレック,ロザムンド・パイク,ニール・パトリック・ハリス,
   タイラー・ペリー,キム・ディケンズ,キャリー・クーン他

TOHOシネマズデーに2本ハシゴ。
前述の『ホビット 決戦のゆくえ』と同じく、TOHOシネマズ梅田別館アネックスにて。

原作は女性作家ギリアン・フリンの同名ベストセラーのミステリー。
まだ3本しか著作がなく、第3作のこれも2年前に発表されたばかりだというのに、
デヴィッド・フィンチャー監督は目をつけるのが早い。そして脚本も彼女が担当。
スティーヴン・キング絶賛という第1作と第2作も読んでみたいものです。

アメリカ中西部、ミズーリ州郊外の町。
共にライターのニックとエイミーは、誰もが羨む理想の夫婦。

結婚5周年を迎えるその朝、ニックは双子の妹マーゴと共同経営するバーへ。
理想の夫婦のふりをしているが、実はニックはもう懲り懲り。
マーゴにぼやきつつ一杯あおって帰宅すると、エイミーがいない。
居間のテーブルはひっくり返され、ガラスが散乱。
ニックが警察に通報すると、女刑事のロンダが部下のジムを伴って駆けつける。

エイミーが毎日何をして過ごしているのか、親しい友人は誰なのか、
何を尋ねられても、ニックはエイミーの血液型すら知らない。
ロンダが家の中を調べてみると、キッチンには血痕があったほか、
ニックの犯行ではないかと思わせる事象がいくつも出てくる。

エイミーの両親は“Amazing Amy(=完璧なエイミー)”という本の著者で、
主人公のエイミーと実在のエイミーを重ね合わせる読者の間でエイミーは大人気。
そんな彼女が行方不明になったものだから、巷では「エイミーはどこへ」と大騒ぎ。
TV番組の女性キャスターはニックが犯人だと決めつける。

妻の失踪になんて自分はまったく関わっていない。
当初は弁護士の必要などないと思っていたニックだが、そういうわけにもいかなくなりそう。
どうやらこの事件をおもしろがっている様子の弁護士ターナーに連絡を取り、
今後の対策を練るのだが……。

ネタバレです。

すべてはニックの浮気を知ったエイミーの策略で、その完璧なことと言ったら。
自分と夫が世間でどう見られるのかを計算し、
自分殺しの犯人として夫が罰せられるよう、考えに考え抜いた計画。
刑事に発見されることを見込んで書いた日記、怖すぎてワラける。

対する夫といえば、自分の教え子である巨乳の若い子と浮気して、
それが妻にバレているなんて夢にも思っていない。
バカっぽく見えるニック役のベン・アフレック、ハマっています。

ロザムンド・パイク、大好きな女優さんです。
これまでの彼女はコメディ作品に多く出ていますが、
いつも鳩が豆鉄砲を喰らったかのような目をしていて、
どんな役柄であろうとポヤ~ンとした印象があり、
知的に見える美人なのにつかみどころがなくておもしろいなぁと思っていました。

本作でも完璧に計算するしたたかなイカレ女ながら、
自分の思惑どおりに物事が進んで小躍りするシーンや、
夫が出演する番組を食い入るように見つめる顔がどこか抜けていて可愛らしい。
そんな彼女に、男刑事はことごとく騙されるのに、
日記を読んだ女刑事は何かがおかしいと感じるのもおもしろいところ。

男性にはこのうえなく恐ろしい話でしょうが、
鑑賞している女性の間からは思わずふきだして笑っているのも聞こえ、
釣られて笑ってしまうことが多々ありました。
抱き合って耳元で「クソ女」、報道陣の前で仕方なく手を挙げてニッコリ、
弁護士がにやにや笑いながら「彼女を怒らせるな」、どれもこれも笑えます。

辛辣さのなかにユーモアの見えるキャストが素敵。
エイミーの術中にはまった男性陣がちょっと気の毒でもあり。
さすがのデヴィッド・フィンチャー監督です。

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