軽井沢からの通信ときどき3D

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軽井沢のスミレ(5)アオイスミレ

2022-05-06 00:00:00 | スミレ
 今回はアオイスミレ。早春、ヒナスミレよりわずかに先に咲き始める種である。昨年春、雲場池で3月下旬に咲き始めたとのSNS情報を妻が得て、毎日の散歩コースの足元を注意深く見ていて、ようやく見つけることができた。目立たない、誠に地味な種である。
 
 その後、しばらくするとたくさんの花をつけた株も見つかったが、紹介するタイミングを失した感もあり、次の年にしようと思い1年間待っていた。

 今年、咲き始めたら真っ先に撮影して、このブログで紹介したいものと思っていたのであるが、なぜか昨年咲いていた場所周辺を注意して見ていたのに今年の春はアオイスミレを見つけることができなかった。

 そうこうしているうちに、少し後から咲くはずのヒナスミレが咲き始めた。そして、何故か今年はこのヒナスミレがとても多いのである。さらに、タチツボスミレも咲きだして、4月中~下旬には、雲場池の周囲にはこの2種が満開の状態になっている。

 アオイスミレはというと、タチツボスミレに混じって咲いていたが、既にしおれかかっている1株が見つかったという状態であり、次のようである。一体どうした事だろうかと思う。


やっとみつけたが花がしおれ始めている雲場池のアオイスミレ(2022.4.25 撮影)

花が咲かなかった今年の雲場池のアオイスミレ(2022.4.27 撮影)

 以下に紹介するのは昨年撮影したもの。

雲場池のアオイスミレ(2021.4.2 撮影)


雲場池のアオイスミレ(2021.4.2 撮影)

雲場池のアオイスミレ(2021.4.2 撮影 )

 このアオイスミレ、雲場池の他にも南軽井沢の別荘地内で見かけることがあるし、我が家の庭にも自然に生えてきたものがあるが、とにかく地味で目立たない。図鑑の説明を見ると、栽培されるニオイスミレの仲間で、日本にはアオイスミレとエゾアオイスミレの2種が自生するということで、アオイスミレの方は、ほぼ日本特産とされる。

 外来種であり、園芸種であるニオイスミレの方は、大きな花を付け、紫色と白色の2種があって、4月下旬には庭で咲き始めているが、実に対照的である。

自宅庭のアオイスミレ(2021.4.9 撮影)

南軽井沢の別荘地内のアオイスミレ(2021.4.6 撮影)

南軽井沢の別荘地内のアオイスミレ(2021.4.6 撮影)

南軽井沢の別荘地内のアオイスミレ(2021.4.10 撮影)

 花期のアオイスミレの葉は両側が巻いているものがあり、先端はあまり尖ることがなく、葉全体が丸く見え、植物体全体がビロード状の毛でおおわれている特徴がある。

 和名のアオイスミレという名の由来は、葉の形がフタバアオイに似ているからとされるが、これは花が終わってからのことで、果期のアオイスミレの葉は見違えるように大きくなり、この時期の葉を見るとなるほどという感じがする。


やや大きくなったアオイスミレの葉(2022.5.6 撮影)

 フタバアオイというのは、ウマノスズクサ科の植物で、きれいなハート形の葉が特徴であり、徳川家のいわゆる「葵の御紋」のモデルになったことでも知られるものである。軽井沢の山地にも自生しているのを見ることができる。

南軽井沢のフタバアオイ(2022.5.6 撮影)


名前通りのフタバアオイの双葉と花(2022.5.6 撮影)

 ところで、このアオイスミレ、各所で見られるというものの、それほど多いわけではない。
 
 スミレ類の種子には、はじけ飛ぶものが多いが、アオイスミレの果実は球形で毛が多く、株の根元につ付いてはじけることは無くぽろぽろと落ちるとされる。そうした性質がアオイスミレの増殖を抑えているのだろうと思う。先に紹介したように、同じ頃に咲き始めるヒナスミレの方は種子を元気にはじき飛ばすので、浅間石を積んだ擁壁の隙間など様々な場所で生育しているのである。

 今回は雲場池周辺の観察なので、他場所のことは分からないが、昨年に比べ今年アオイスミレが少なく、ヒナスミレが多かった理由はなぜか。暖冬の時には、咲かないこともあるとされるアオイスミレであるが、それが原因だろうか。来年また様子を見てみたいと思っている。

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