スゲロで楽しむ遂行的矛盾

今回の上京の主目的は歯の検診でしたが、メインイベントは久しぶりの 「スゲロ」 でした。
花見などはほんの行きがけの駄賃にすぎません。
「花より団子」 とはよく言ったものです。
以前は上京するたびに通っていた 「スゲロ」 ですが、
日曜定休になってからめっきり行く機会が減ってしまいました。
土曜日にイベントが入っていると行けませんし、
土曜日が空いてるときは毎回連絡してみるのですが、
満席だったり貸し切りだったり、シェフが結婚式出席のため臨時休業だったりして、
このところなかなかタイミングが合わなかったのです。
で、今回は歯医者の予約が取れた瞬間 （１週間以上前） に、
シェフに Facebook を通じてメッセージを送って予約を取りました。
「てんぷら　ひら井」 といい 「スゲロ」 といい、贔屓の店が繁盛するのはうれしいのですが、
なかなか予約の取れない敷居の高い店になってしまうのは少し残念です。

前回行ったのは昨年の５月だったのではないでしょうか？
その翌月から 「糖質制限ダイエット」 を始めたのでした。
つまりシェフはダイエット成功後の私の姿を見たことがありません。
店に入っていくなりシェフの第一声は 「痩せましたねぇ」 でした。
シェフは前述したとおり Facebook 友達ですから、私の糖質制限ダイエットの一部始終を知っており、
最近では自らも糖質制限ダイエットに取り組んで成果を上げていらっしゃいます。
テレビ出演したときはパンパンに張っていた顔がシュッとすっきりしていました。
お互いに成果を讃え合い、ダイエット中の苦労話などを分かち合ってから、
その日のディナーをスタートさせました。

まずは、富山のホタルイカと佐賀産グリーンアスパラの温かいサラダ。



富山のホタルイカはわかるとして、アスパラガスがなぜ佐賀産なのか、
佐賀県出身の私としては気になったので聞いてみたところ、
特にアスパラガスが佐賀県の特産というわけではないけれど、
旬のアスパラが出回るのは九州のものが早く、今日はたまたま佐賀産だったとのことでした。
続いて春の定番。



言わずと知れた、新たけのこのロースト、アンチョビバターソースです。
春が来るたびに何度これを食べたかわかりません。
新たけのこは熊本産だそうです。
先ほどのアスパラといいこのたけのこといい、九州の食材がフィーチャーされているように思います。
そのきわめつけが、大分産どんこしいたけのトリフォラート。



シェフは大分県出身なんですね。
これは実家から送られてきたしいたけを使ったメニューです。
Facebook ですでに大量に送られてきた巨大なしいたけが何度かアップされていました。
最盛期のしいたけはもっと大きかったのですが、これも十分なデカさ。



比較のためのタバコとかを置くのを忘れたので、これでは大きさが伝わらないかもしれませんが、
大きさばかりでなく味もものすごく濃厚でした。
トリフォラートというのはイタリア国旗の三色を表す言葉だそう。
チーズとパセリとプチトマトでその三色を表現しています。
そして、メインディッシュ。



これもシェフのふるさとから、湯布院牛のビステッカ。
ビステッカはステーキのことです。
ＪＡおおいたのＨＰによると湯布院牛は日本一の牛だそうです。
たしかにきれいにサシの入ったとろけるように軟らかいお肉でした。
湯布院牛を扱ってるのは東京ではこの店だけだそうです。
これは１人前を２人分にシェアした分量です。
そして、なぜかメインディッシュの後に手打ちパスタ。



トロフィエ、蛤と菜の花のペペロンチーノ。
トロフィエというのはショートパスタなんですが、
トロフィーではなくカンナの削りかすのことだそうです。
たしかにそんな形の可愛いパスタです。
蛤と菜の花というのも季節を感じさせます。
これも半人前の分量です。

メインディッシュの後にパスタを食べてだいぶお腹は落ち着いていたんですが、
連れがもうお腹いっぱいで何も食べられないと言いながら、
デザートにフレッシュイチゴミルクのジェラートを頼みました。



言ってることとやってることが矛盾する 「遂行的矛盾」 以外の何ものでもありません。
が、人間というのは遂行的矛盾から逃れられない生き物ですね。
負けじと私もデザートを頼みました。



タリアテッレ、蛸とセロリのアラビアータです。
糖質制限ですから甘いものは食べてはいけないので、
さっきトロフィエを頼むときにどっちにしようかものすごく悩んだアラビアータを頼んでしまいました。
おっといけない。
甘いものの代わりにパスタを追加注文してしまっては、糖質制限でも何でもないではありませんか。
これもまた遂行的矛盾です。
そもそもこの日の最初は糖質制限の話で盛り上がって、
お互いダイエットがんばろうという話になったはずなのに、
その舌の根も乾かないうちに大糖質摂取祭りになってしまいました。
やはり人間は遂行的矛盾から逃れられないのですね。
翌日の体重測定を恐れながらも大満足で帰途についたのでした。