まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

Q.変わらないものはないのか?

2010-05-03 13:05:21 | 哲学・倫理学ファック
どう答えていいのか難しい問題ですね。
質問してくれた方は、この問いのうしろにカッコで、
次のような質問も付け加えてくれていました。

(人の気持ちは何故変わるのか?)

たぶん質問者は、人の気持ちがどんどん変わっていってしまうことに悩んでいて、
それで 「変わらないものはないのか?」 と質問してくれたのではないでしょうか。
答えるときには、ただ質問に答えてしまうのではなく、
問いを問い直さなければならない
その一環として、質問者がなぜその問いを発したのかも考えてみなければならず、
それがわかったら、その質問の動機を満たせるような答えを探す必要があります。
しかし、ここでは質問者の本意はわかったうえで、
まずは冒頭の問いに、自然科学的に答えてみることにしましょう。

A.変わらないものはありません。

ビッグバン理論が明らかにしてくれたことは、
この私たちが住む宇宙そのものが、
その始まり (=ビッグバン) 以来ずっと膨張拡大を続けている、
ということでした。
つまり、宇宙はどんどん変わり続けているのです。
ほんの一昔前までは、宇宙や自然というものは、
自然法則に従ってずっと変わらずにあり続けていると思われていたのですが、
ビッグバン理論は、宇宙や自然は人間の目から見ると不変であるように見えていたけれども、
実は刻一刻と変わっていたのだということを解明してくれたのです。
地球が太陽のまわりを回り、四季が繰り返されて時が過ぎてゆくということは、
永遠に変わらないかのように私も昔は信じていましたが、
長い時のなかでそうしたことも変わってしまう可能性があるのです。
こんな質問をしてくれた人もいました。

Q.人間が地球にいなくなることはこの先あるのか?

この問いも自然科学的には簡単に答えられるので答えてしまいましょう。

A.人間は必ず地球からいなくなります。

それがいつになるのか、どういう形でいなくなるのかはまだわかっていませんが、
いなくなることだけははっきりしています。
だってそもそも地球がなくなってしまうのですから。
星にも寿命があって、ガスが集まって星が生まれ、だんだんと成長を遂げ、
最後はまたガスに戻っていくということが明らかになっています。
地球がなくなってしまうのですから、そこに住んでいる人間は必ずいなくなります。
まあ、地球がなくなってしまう日まで人類が無事に生き残っているかどうか疑問ですが、
その日まで生き残っていたとしても、地球がなくなれば人類もいなくなるでしょう。
あるいは、その頃までには地球の代わりの星が見つかり、
そこに移住する手段も開発されているかもしれませんが、
その場合も人間が地球からいなくなることに変わりはありません。
というわけで、人間は必ず地球からいなくなるのです。

地球があるとか、人類がそこに住んでいる、ということですら変わってしまうのですから、
それはやっぱり変わらないものなんてなにひとつないということになるでしょう。
このことから、カッコのなかの問いに対する答えも見えてくるように思えます。

Q.人の気持ちはなぜ変わるのか?

世界が変わり、地球が変わり、宇宙が変わりつつあるのですから、
そこに住む人間が、世界や地球や宇宙に適応するためには、
人間もどんどん変わっていかなければならないのでしょう。
だから人の気持ちも変わっていくのではないでしょうか。
というわけでカッコの問いに対する答えはこうなります。

A.変わりゆく世界に適応していくために、人の気持ちは変わってゆくのです。

こんなふうに考えるのは寂しいですか?
気持ちだけは変わらずに持ち続けたいと思ってしまいますか?
しかし、自然や宇宙ですら変わってしまうのだとしたら、
人間の生み出したもの (=文化) なんてどんどん変わって当然です。
人間関係なんて、人間が生み出したもののなかでも、
最も儚くて変わりやすいものでしょう。
その変わりゆく人間関係を反映したものが人の気持ちなのでしょうから、
人の気持ちが刻一刻と変わっていったとしても、
私はさほど驚きはしませんし、むしろその変化を楽しみたいと思います。
昔アン・ルイスの 「Four Seasons」 という曲がありましたね。
私もそんな気分なので、最後に引用しておくことにいたしましょう。

人の心は変わるものさ
  変わるから美しいとも云えるよ
  四季即是空
  空即是色
  深いね 不思議だね


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1 コメント

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古今集より (塚本惠一)
2010-05-03 18:17:36
729 色もなき心を人にそめしよりうつろはむとは思ほえなくに 貫之
797 色見えでうつろふものは世の中の人の心の花にぞありける 小町
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