まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

福大生の考える 「死んだらどうなるのか?」

2013-07-26 17:34:53 | 生老病死の倫理学
看護学校では毎年 「死んだらどうなるのか?」 という問いを出し、
みんなにそれぞれの考えを書いてもらっていますが、
福島大学でその問いを出したことは今までありませんでした。
しかし今年の 「倫理学」 では、臓器移植について考える際に、
日本人の死生観や死体観を理解してもらうために、
初めてこの問いを福大生にぶつけてみることにしました。
集計してみたところ看護学生とはだいぶ違う結果になったのでおもしろかったです。

長年の看護学校での調査結果から、
私は 「死んだらどうなるのか?」 について次の3パターンの答えしかない、
と分析しておりました (「死んだらどうなるのか?」 参照)。

A.何もなくなる、もしくは、骨や灰など物質だけが残りそれ以外のものは何もなくなる。
B.何らかの形で私たちの意識 (魂とか霊など) が存続する。
C.星になる、または、風になる

この3種類です。
このうちBの 「何らかの形」 というのはさらに3パターンに分類されます。

B-a 死んだ後の存在者が集う世界 (天国や地獄など) があり、そこに行く。
B-b 別の人間や動物として、現世に生まれ変わってくる。
B-c 一般の人には見えない形で (幽霊など)、現世のなかをさまよう。

この B-a や B-b や B-c は組み合わせて出現する場合も多いです。
(いったん天国に行ったあとこの世に生まれ変わってくる、など。)
まずは最初のA~Cの3種類だけに限定して集計結果をご報告しましょう。

A.無になる…………39名 (57%)
B.意識は残る………26名 (38%)
C.星・風になる………0名 ( 0%)
わからない………… 3名 ( 4%)

実は看護学校での回答については集計結果を出してみたことがないんですが、
しかし、目分量でいっても福大生は看護学生よりもAの比率がむちゃくちゃ高いです。
看護学校では40人のクラスでAが2ケタに達することはゼッタイにありません。
たいてい5名以下ですから、せいぜいいても10%台といったところでしょう。
それに対して福大ではAの人が余裕で過半数を超していました。
まあきっとそうだろうなあとは思っていましたが、
これほどはっきりと現れるとちょっとビックリです。
私は、血液型でも考え方でも投票行動でも常に少数派に回されていましたが、
この件に関しては福大のなかでは多数派に属しているようでちょっとホッとしました。

Cのロマン派が1人もいなかったことも驚くとともにちょっとホッとしました。
実際のところ 「星になる」 とか 「風になる」 ってどうやってそんなものになれるのか不明ですので、
小さい子どもや詩の世界でならそういう発想もありえるかもしれませんが、
死んだらどうなるのかについて真面目に考えたら、
この選択肢は生まれてこないのだろうなと私などは考えているところです。
さて、それではBの内訳を見ておきましょう。

a 現世の幽霊………1名 ( 1%)
b 死後の世界………3名 ( 4%)
c 輪廻転生…………9名 (13%)

a or b ………………1名 ( 1%)
(「魂だけが身体から抜けていく。それが地上界に留まるか成仏してなくるかのどちらか。」)
a or c ………………2名 ( 3%)
(「魂のみになり、現代の世の中にとどまる、または別の生物に転生する。」)
b + c ………………3名 ( 4%)
(「肉体と魂が分裂して、魂はあの世へ行き肉体だけがこの世に残る。
  私が考えるあの世とは、”この世ではない世界” である (天国ではないと思う)。
  そして、そこで決められた者たちだけがまた違う肉体にやどることができる。」)
a + b + c …………1名 (1%)
(「魂は肉体と分離する。魂はあの世に行き、天国か地獄に振り分けられる。
  天国に行った者は来世でまた生まれ変わる。地獄に行った者は罪を償わされる。
  現世に留まり彷徨い続ける者もいる。」)
d 分類不能…………6名 ( 9%)

最後の分類不能というのは、a、b、cには言及せず、
ただ意識が残るとのみ書いてくれた人たちです。
例えばこんな感じ。

「魂が抜けて何も行動や思考はできないが、
 存在しているという意識のみ感じることができるようになると思う。」
「魂の類は在ると信じたい。無いことを証明はできないから。しかし天国・地獄が在るとは思えない。
 だから、いわゆる 『転生する』 魂は無いけど、意識 (心?) だけは残っていると思う。」
「(意志も記憶もない) 全く関係のない他人として死者を客観的に見る、繰り返す?」
「死ぬ瞬間の意識のまま永遠に感じる。痛いとかなら、いた―――――――――――いみたいに。」
「死んだら、ずっと眠りについているような感じだと思う。」

下から2番目のやつはちょっとイヤですね。
もしもそうだとすると痛い死に方だけはしたくないなあ。

ところで今回初めて福島大学でやってみて、分類に困ったものが出てきてしまいました。
今の一番下にあった 「ずっと眠りについているような感じ」 というのは、
Bに分類しましたが、似てるんだけどちょっとBには分類できず、
けっきょくAに数え入れたものがあったのです。
こういう↓やつ。

「眠っているような (夢はみていない) 状態がずっとつづくと思う。」
「夢を見ていない時の睡眠状態のような感じ → 意識の断絶、何も残らない」

夢を見ていない睡眠状態というのは意識はないですよね。
でも存在はしているような…。
だから 「A.無になる」 に入れてしまってはいけないような気もするのですが、
こんなふうに↓書いている人もいて、

「死んだら無になると思う。つまり、思考を働かせることもできないし、動かせる体もなくなる。
 常に意識がなく、夢を見ていない睡眠状態になると考える。」

この人ははっきりと最初に 「無になる」 と書いているので、
とりあえず今回はこれらはまとめてAに入れてみることにしました。
ただ、「夢を見ていない睡眠状態」 というのはなかなかいい比喩かもしれません。
そう言われてみると、脳死というのもまさに 「夢を見ていない睡眠状態」 と言えるかもしれません。
これらの結果をもとに、私の死後観3+3分類説はちょっと見直す必要を感じてきました。
少なくともBのa、b、cのほかに 「B-d ただ意識だけが存続する」 というのが必要ですし、
「夢を見ていない睡眠状態」 を入れるにふさわしい新カテゴリーを作る必要もあるかもしれません。
これら分類の難しい意見を書いてくださった皆さん、
皆さんの意見はどのへんに分類されたらしっくりくるのか、
コメント欄で教えてもらえるとたいへん有り難いです。


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2 コメント

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コメント ()
2013-07-26 22:09:46
昔、その問いをされて、土に返る、というような答えをしたような気がしますが、じゃあ、本当に、死後の世界がない、という証拠があるか、と言われたら、ないよね~、みたいな話しになって、それで、迷路に迷いこんだみたいになったようにおもいます。


それからですが、死ぬのはどんなもんか?と、興味みたいなものはずっと持ち続けています。


死んでみなきゃ分からないし、分かったとして、伝える術もないですが、意識が存在する間は、その答えは少しでも分かるのかな~と。

死後の世界があるならば、あの世で感想を話しましょう(笑)。


母曰く、行ったら誰も帰ってこないんだから、あの世はいいところなんよ~!(対高齢者)だそうです(。-∀-)
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土に返る (まさおさま)
2013-08-15 18:31:45
桃さん、コメントありがとうございました。
コメ返しが遅くなって申しわけありません。
ぼくも死んだら土に返ると思ってはいるのですが、
2人で同じ意見では哲学にならないので反対論を述べてみただけだったと思います。
ぼくはやはり死後よりも死ぬ過程のほうが興味あるなあ。
これもまた誰にも教えてもらうわけにはいかないのですが…。
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