井沢満ブログ

後進に伝えたい技術論もないわけではなく、「井沢満の脚本講座」をたまに、後はのんびりよしなしごとを綴って行きます。

抱腹絶倒 「明日の君がもっと好き」評

2018年02月19日 | 日記

漫画家のカトリーヌあやこさんの、週刊朝日におけるドラマ評に大笑いしたので・・・・

 https://dot.asahi.com/wa/2018021500010.html?page=1

漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、市原隼人主演ドラマ「明日の君がもっと好き」(テレビ朝日系 土曜23:05~)をウォッチした。

【「明日の君がもっと好き」のイラストはこちら】

*  *  *
「ブラジルのリオで蝶が羽ばたきをすると、それが東京に伝わり嵐を起こすというカオス理論がある」。と、いわゆる「バタフライエフェクト」的なセリフが出て来る本作。確かに青い蝶がたびたび現れる。羽ばたく。風が吹く。社長秘書・茜(伊藤歩)のスカートがめくれる。それ「バタフライエフェクト」じゃなくて、ラッキースケベでは?

 とにかくこのドラマ、登場人物もストーリーもただごとじゃない。茜の妹・梓(志田未来)は姉の恋人を奪い結婚。茜のスカートがめくれるのをいつも目撃する植木職人・亮(市原隼人)。彼と兄妹のように育った香(森川葵)は自らのセクシャリティーに悩み、一人称「僕」。冷え切った結婚生活に悩む梓と出会い、キスを交わす。それを知った梓の夫・智弘(渡辺大)は妻を問いただしながら、カーセックスで燃え上がる(竹林じゃないよ)。

 もう設定盛り込みすぎで、見てるこっちが胸やけするのもおかまいなし。なんせ脚本・井沢満なのだ。以前の作品「同窓会」(93年、日テレ系)はフタを開ければ、テーマは「同性愛」。TOKIOの山口達也が売り専ボーイになったり、毛ジラミに感染した斉藤由貴が股間を掻いたりと、今思えばよく放送できたよね!という問題作。ツッコミ待ちでネタをぶっこむ近頃のドラマとはケタ違い、あくまでもガチなとんでもっぷりにしびれる。

 今回、特にやばいのは茜の会社の後輩・城崎(白洲迅)だ。今は亡き母親に虐待されたトラウマから、熟女を誘惑してはののしる。「女もババァになると深層外旋六筋(しんそうがいせんろっきん)が劣化して、ケツが垂れるんだよ。顔はエステで金かけて頑張っても、ケツが干し柿じゃさ!」。干し柿も衝撃的だが、生まれて初めて聞いた深層外旋六筋! こんな専門的かつゲスい言葉責めをした直後に、ポエムを語りだす城崎。

「ママ、僕はロンドンの濃い霧の中にあなたを見失い、あなたを追いかけながら永遠に追いつけないメリーゴーラウンドに乗っている」

 お前、いつロンドンにいたんだよと、すっかり視聴者の脳内も五里霧中。そして茜と亮が夜更けの街を歩けば、この世のものとは思えない巨大な満月。井沢脚本が羽ばたくと、スカートがめくれ、ポエムを口ばしり、月が巨大化する。バタフライよりも恐ろしいのだ、「井沢満エフェクト」。

週刊朝日 2018年2月23日号

 

・・・・・・・・・・・

ここ数年、コツコツと書いてきて芸術祭はじめ国内外で賞を得てきた「文芸もの」にはシーンと静かだったのに・・・・単発だったということもあるのだろうが・・・・・「もう一面の私」で書くと、とたんにこれだ。
周囲がザワザワ。嬉しくなっちまう。

もう一つ、これもたぶん週刊誌で1ページだかとって、こちらも大きなイラスト付きで評が掲載され、悪口雑言で余りの罵りのテンションの高さに、私自身は何を言われているのか咀嚼できぬまま・・・・????が
脳内蝶々になって飛び交ったのだが・・・・?????
評者の方の悪口筋のツボにはまったのだろう。

テレビは何より無視がこわく、悪評も賑わいのうち、突っ込みは人気のうちで、めでたい・・・・。

「お行儀の悪いほうの私」をずーっと封印して来たので、開放できて気分が良い。

あたしゃ、もともと不良だもん。優等生じゃないもん。・・・・・ま、双方なんだけど。

双方の振り幅が私だ。

作品として頂いた賞は、もはや途中から数えてもいないけど、国内外に相当数あり・・・・このまま書き続けたら現役作家では最多記録をいずれ作りそうな・・・・・って誰もそんなもの興味もなかろうけれど。
ただ、そういう形で評価される作品だけだと、私自身が息苦しくなるので、たまにお転婆やらせていただきたく、各位。

・・・・・・・・しかし、実は文芸作品より、お転婆作品のほうが腕が要り難しい。プロなら思い知っているだろうことだけど、一般には言わずもがなか。

 

誤変換他、後ほど。


2 コメント

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月がとってもデカいから♪ (ぱたた)
2018-02-20 13:05:03
お久しゅうごさいます! ドラマもさることながら、「評」にもたのしませていただいています♪
何々評、は見方を通して評者自らを語るもの、かつエンタテインメントで読む人が「だよねー♪」とキャッキャできれば上々吉♬ 批評の対象はいつしか単なるオカズと化してたりして^^; そのうえ作者ご自身大笑いw とくれば、もう評者冥利に尽きるでありましょう。やったね☆あやこさン!

で、不肖も遅ればせながら3話4話の (「評」ではありませんです!)感想をば。
3話、それまでよりドラマの速度がややゆっくりで、じっくり人物と付き合えた感が。あっ、なんかフツーのドラマっぽい、と安堵の?ひとときがあったのは、食事のシーンがあったからでしょうか。しかしなんとも気まずい不穏な「団欒」...。(4話もさらに不穏な三人で鍋!消化にわるいです。観てる側の...^^;)  食事シーンを介して、登場人物と視聴者とが食卓を共にするということがとてもだいじな気がしますが、海外ドラマではあまりそういう場面は意図的に設けられていないような。その場でどんな会話があり、いかに火花が散るかのほうにずっと比重があるというか。だからか、海外ドラマではくつろげない(!)感じがするのかしらん??(´・ω・`)

今回の井沢作品も、純日本的な?ドラマとはちがうものを感じます。ヘンなはなし、先生の魂のルーツ?は海外なのだな、この方は西洋の精神的土壌に育まれてきた人だと、そんな印象がありました。なんでだろうな? 先生のベスト作品が『処女の泉』と伺ったからでしょうか。土着の神に結びつく人間の原初の情動とキリスト教の愛との相克、というきわめて西洋的な主題を扱う映画... 不肖は不勉強にして、これ以外にこの問題を掘り下げた映画を知りません。そして、コクトー描くの西洋の「美」をきわめた映像...。

(不肖は同監督の『美女と野獣』がめっぽう好きであります。 CGを駆使したディズニー版より、ローテクでここまでファンタジーできるんだ!という驚きが。なにより、美女が本当に美女だ! いじわるな姉さん二人もまたまごうかたなき美女、こうでなくっちゃ♪スクリーンの上で夢は見せられない、ため息の出そうな豪奢なコスチュームといい、ほんとに贅沢な目のごちそうです。こんな石像みたいにととのった顔のどこに人間の感情が宿るのかと心配になりますが(!)、抑えに抑えた演技の中にちらちら炎がみえる...これもみごとな演出だと思いました。)

不肖のベスト作品は、成瀬巳喜男の『浮雲』です。何度もみているのに、時々無性にみたくなります。すんごい波瀾万丈の女の半生なのに、映画一編を観ての印象はそれこそ水に流れる木の葉、空ゆく雲をみるような...。この女の一生もおなじく、流れ着いた果てに静かに終わる。なにか、なにか大きなものに生かされている大きな流れの中に、木の葉も女も、そして自分も消えていくのかと、しんとなるような気持ち。がまたあじわいたくて、何度もみてしまうのです。
浮雲の女は、相手がど〜〜しようもない男であることはよく分かっている。家庭があるのも百も承知。もう思い切ったと思っても、また言い寄られると安定した生活をかなぐり捨ててついていく。いくら”だめんず”に目を眩まされても、ダメと思えばキッパリ吹っ切って、水の一杯もぶっかけてやれる茜さんとはまったく違います。時代のせいもあるでしょうが、どこか「出自」の違いというか、茜さんには明澄な精神と意志を感じる。浮雲の女に意志がないとは言いませんが、その我を折って流れに身を任せる勇気???というか諦めのようなものがある。それは端からどう見えようとも、弱いものでもわるいものでもない、そうなるしかないものなのだ...。
これも後付けの言い訳で、ほんとはオマエ他人の不幸が見たいだけだろ、と言われても否定はできませんが^^; 不肖お気にのヒロインに引き比べ、茜さんって、精神がガイジン?と思ったことを、文字にしようとしたらこんなに長くなってしまいましたー!!

長くなりついでにもうひとつ。(まだあるのかよ!!)
話題沸騰の?! 「デカ月」でございます。たしかに「実写」でみるとたじたじとなりますが、こんくらいのデカさ、マンガではフツーですしお寿司。井沢作品においてはリアルのレベルが、私達の現実とは一段階(じゃきかないかも)ちがいます。人物の足が、地上から数センチ浮上している。それゆえに、わざわざ「足を地に着けて」みせなければならなかったかも。(亮が生みの親の井沢先生から、健康習慣のひとつを受け継いだというのみでなく!)
ちがう次元に属している人達だからこそ、”蝶のはばたきが...”と独白したり、”このイキモノが払います!”とか、現実世界ではなかなか耳にできないスーパーナチュラルなせりふがぽんぽん言えてしまう。マンガ世界には決め台詞がいっぱい!むしろそれが命!ってとこにも通うものがありますね。あらためて、井沢世界とマンガとの親和性?を確認したことでした。
(もしかして、もう「あすきみ」コミカライズの企画、始まってます??)
だから、あのくらいの月はあって当然。このあともどんなビックリが仕掛けられているのか、どきどきしながらもたのしみです。( ̄^ ̄)ゞ
(ビックリといえば。「静かだな」これですよコレ! あーびっくりした。ひえ。このあとおばーさんとどんな悶着が...。はっ! あの茜さんの”かかってこい!”大活劇のさなか、もしかして「やけに騒がしいな」と窓からチラ見してたりして? 幸い五輪のお蔭で一回お休みなので、アプリ「TVer」で消えないうちに確認、っと)
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ぱたたさん (井沢満)
2018-02-20 23:05:10
私はルーツはエジプトです。
「和」はどこか、外国人として理解し大事にしているかもしれません。

浮雲は美学がある映画です。貧乏を描いているのに、貧相ではなく豪奢です。

カトリーヌあやこさんはさすがに漫画家の感性で、正確です。もうお一人評論家? の男性もまる1ページ費やし、たぶん絵も同じように添えて? (ちっとも頭に入って来ず記憶があいまし)何か、お気に召さないことだけは解かるのですがテレビ朝日がどうとかいうことを批判していらして、ドラマのつくり手である私やスタッフは置いてけぼり、とそんな印象で・・・・たぶんカトリーヌあやこさんとの違いは感性でストレートに受け止めるか、それとも「頭」で考えたことかその違いなのか・・・・もしれません。何を言われているのか解らなかったのは、私の理解力のせいもあるのかも・・・? 嫌いなのは分かりましたが、好き嫌いは自由ですが、評にはならんので・・・・。
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