今日は午後からの再放送で、「ドクターX」と、「相棒」を見た。
私は書く側なので、一般とは多少違う見方をする。
単純に面白い面白くないという価値観だけで見るわけではなく
脚本その他八方に目を配りながらなのだが、
この2作に「科捜研の女」の、とりわけ脚本には感心することが多い。
私は長いこと、医療ドラマのシリーズをほぼ一人で書いていたので
調べが必要なドラマの大変さはよく知っている。
テレビ朝日の3作共に、大変調べが入念でどうやっているのかなあ、と
いつも思いながら見ている。
むろん専門家がつくのだが、そもそも発想段階で知識を知らなければ
この物語は浮かばないのではないかと思うことも多々。
いったい、どういう仕組みなのか。
専門領域に詳しい人達を雇って、アドバイザーを兼ねたグループが用意
されているなら納得は行くのだが、よそさまの現場のことはわからない。
ただ、作家はその都度交代交代なので、私のように一人で書き通していた者とは
置かれた状況も違う。
私はほぼ文芸ものしか書かなくなって久しいが、それでもサスペンスや医療ものの
出来のいいのに遭遇すると、学ぶところがある。
「ドクターX」は、私が書いていた当時の(医療ドラマの先鞭をつけ、また題名に主人公名を
つけるドラマの走りであった、と当時のスタッフの皆さんと自負しているが)作劇とは違って、
かなりリアリズムから劇画寄りになっているが、
それも時代であろう。
米倉涼子さんと、水谷豊さんの主役の張りぶりは、これぞTHE 主役という
個性と華とを兼ね備えていて、さすがである。
ところでCMで、やたら滑舌のいい女優さんがいるなあと思ったら
倍賞千恵子さんだった。
あの時代の俳優さんは浅丘ルリ子さんもそうだが、口跡が良い。
もっと遡って、市川雷蔵、高峰秀子、若尾文子さんによる「紀の川」など
見ていると、画面を見なくてもお三方のメリハリの効いた、いい声音を聴いているだけで
楽しめる。
今どきあんな、くっきりしたエロキューションと美しい声で芝居を演ったら、日常感は失せる
けれど。