井沢満ブログ

後進に伝えたい技術論もないわけではなく、「井沢満の脚本講座」をたまに、後はのんびりよしなしごとを綴って行きます。

天皇陛下の靖国参拝

2014年03月17日 | 歴史・政治

朝食を摂りに外出したら、のぼり立ての太陽が黄金だった。
車道の街路樹脇には、季節の椿が咲き開き、驚いたことには小さな樹ながら
桜が満開で、双方好きな花なので心が浮き立った。

靖国神社さんの「みたままつり」に掲げる灯籠に下手な揮毫をするようになって
今年で3年目だが、またそのための和紙が送られて来て、いつまでも
持っていると気が重いので、今年はさっさと書いて送り返させて頂いた。

靖国問題の成り立ちは極めてシンプルで、単に政治的恫喝・取引きカードとして
中韓が切って来ているだけであり、そもそも「靖国問題」じたいが、
以前は存在してはいなかった。朝日新聞がそれを書き立てるまでは。

靖国参拝が問題視される理由はA級戦犯が祀られているから、とそれも
こじつけの「口実」に過ぎない。

東京裁判自体が事後法に基づくもので、A級戦犯を裁く根拠となった
「平和への罪」などというものは、裁判を開くに当たって、慌ただしく
でっち上げられた罪名であり、国際法上は無効であり、また
国内法では無罪ということでもう決着している。よく言われるが、
"Judgements”、という複数形、つまり「判決」それぞれは敗戦国としての
余儀なさで受諾はしたが、裁判の過程や裁判の示した歴史観まで全て受け入れたわけではない。

しょせん戦勝国側に都合のいい犯人でっち上げ裁判であり、いみじくも原爆投下のアメリカ人が述懐したごとく、「日本が勝っていたら、私が戦犯になっていた」。

A級戦犯が祀られていることがおおやけになってからも、歴代首相は
ずっと参拝はしているが、中国も韓国も何もこの間言ってはいない。
この事実を腹に据え憶えておいていただきたい。

A級戦犯合祀がおおやけにされたのは、1979年4月。
それから1985年7月まで、大平正芳、鈴木善幸、中曽根康弘が首相就任中に
計21回参拝をしている。

この6年間、中国韓国共に、いっさい異議なし。

それが朝日新聞がいわゆる「靖国問題」として、報道した途端食いついたのが中国で、報道の1週間後には、史上初の靖国参拝への公式非難が表明されている。

要するに他ならぬ日本の新聞が付け火をしたところへ、素早くガソリンを撒いて大火事にしたのが中国である。韓国が便乗してその後に続いた。

ちなみに捏造従軍慰安婦に付け火したのも、朝日新聞である。
吉田清治という国籍も疑われている“日本人”がカネと名声欲しさに
「強制連行した慰安婦」というフィクション(「小説」)を書き、それがノンフィクションとして
売り出され、最初は穏やかだった話が、吉田があちこちで呼ばれ講演するにつれ
脚色がより「効果的に」施され、悲惨な話へと過激に仕立てられて
詐欺師がすった一本のマッチの火が燎原の火となって燃え広がって現在に至る。
元は根拠もないマッチ一本なのである。

すられたマッチに飛びついたのが朝日新聞であり、現代で言えば例の作曲詐欺師のごとき
吉田の「フィクション」を事実として報道し、それが瞬く間に韓国と中国に悪用されて
燃え広がり、現在に至るわけである。

A級戦犯じたいが、いいかげんな存在であるにもかかわらず、天皇陛下が参拝されないのはA級戦犯が合祀されているからだという説があるが、これはない。

なぜなら、私も現場に居合わせたことがあるが、靖国神社の春秋の例大祭には
天皇陛下からの勅使が古代の装束に威儀を糺して訪れ、供物をご名代として
祭神と英霊とに捧げられるのである。
うやうやしく捧げられる対象には、むろんA級戦犯と、実質のないラベリングをされた方々も
含まれている。

少なくとも、日本人はA級と名指しされた人たちの、生前の人となり、教養のほどを
調べてみるがいい。犯罪者と呼ぶにはばかる、立派な人格の方たちである。

またまた余談に逸れるが、都知事選の際に「朝まで生テレビ!」に出演された時の
田母神氏の、「武器としての言葉」の乏しさに私は触れたことがあるが、
田原総一朗氏に舌鋒鋭く、天皇参拝が叶わぬのは、A級戦犯ゆえだ、と
突っ込まれ、言葉を返せなかったことに、私はもどかしい思いをしたのだが、
田母神氏に知識が欠落していたわけではなく、ディベートに不慣れであり、
マスコミ用必殺技を仕掛ける田原氏のごとき言語の刃に不慣れでいらしたのであろう。

今後も政治に携わられるなら、武器としての言語の磨きと、理論武装を常々なさるよう
再度忠告申しあげたい。
それと事前調査。調査するまでもなく、田原総一朗という論客がいかなる理論を
振りかざして斬りつけてくるか事前に読むのはさほど難しいことではなく、
それに対して斬り返す言葉を匕首(あいくち)として懐に前もって忍ばせておけばよいだけのことである。
慣れればとっさに切り返せるのだけど。
田母神氏は、独演で語られる時は流暢であるのだが、とりわけある意図を帯びて
斬りかかる田原氏のごとき刺客には弱い。

この点、櫻井よしこ氏は手練(てだれ)であり、テレビ番組で田原総一朗氏が同じ
論法で斬りかかったのを、優雅な微笑ですんなり切り返して鮮やかであった。
挙措は楚々と優美で、しかし舌鋒は刃物の切れ味で、こういう論客がいることを
日本のために寿ぎたい。世界にも櫻井さんのような華やかにはんなりとした論客はいらっしゃらない。

櫻井氏は、昭和天皇の靖国参拝中止を、国会で憲法論議に持っていかれた
せいにされていて、これが根本原因だが、中韓の過激な反応以降は、御自らの参拝が政治外交利用されることをお避けになられた、と思っている。

そして元宮内庁長官・ 富田朝彦がつけていたとされるいわゆる「富田メモ」に対しても、私は櫻井氏と同じく、信用はしていない。幾つか理由はあるが、明晰な櫻井氏が敢えて持って回った言い方をなさったあることに加えて、これは明確におっしゃっている、昭和天皇の
東條英機への親愛の情は自明だからである。

A級戦犯が合祀されたのは1978年。昭和天皇が最後に靖国に行かれたのが1975年。
参拝をなさらぬ理由がA級戦犯合祀ゆえということは、時系列の点からも断言はできない。

合祀分祀というが、騒ぐ割に中韓それから日本の国会議員さえ、その実体を知らぬまま
物を言っている人たちが多いことに、失笑を禁じ得ない。
靖国神社にお祀りされているのは「魂」だけである。魂をどうやって「分ける」のか?
教えて欲しいものである。

おそらく単にイメージとして遺骨や位牌の類を漠然と思っているのだろうが、そんなものは皆無である。神道の儀式に寄って呼び込まれた(招魂された)みたまが、そこにあるだけ。
霊魂など信じてもいない中国が、それゆえに靖国を撃つのは茶番であろう。
日本の唯物主義の人たちも同様である。

あっけないほどの事実であるが、案外誰も知らない。靖国神社に合祀したり、分祀したりと物理的に出来るものはなにもありません。魂という形而上のものをどうやって、分けるのですか? と常に問い返すことはしたほうがいい。

また日本人以外の海外の戦没者の慰霊も行われているのだということも、中韓は、そして日本人すら知らない。この間の安部総理の参拝が大々的に報道された割に、靖国敷地内にある、海外の戦没者のみたまをお祀りした鎮霊社を総理がお参りしたことは報道されない。

また靖国神社にお祀りされているのは、軍人ばかりではない。これも案外知られていない。5万7千余の女性のおみたまも供養されている。従軍看護婦の皆さん、沖縄は「ひめゆり」「白梅」など、女学校舞台の生徒たち。「対馬丸」で沖縄から鹿児島へ疎開中、アメリカの潜水艦に撃沈された小学生たちのみたま。

学徒動員の軍需工場で爆死した生徒たち。1945年、ソ連の侵入を最後まで日本に通信し続け、自決殉職した樺太真岡の女子電話交換手の方たち。

そして日本の、靖国の優しさは人のみの鎮魂にとどまらず、戦地で共に戦った
馬、犬、鳩にまで供養は及ぶ。これも、海外には報道されない。政府は言われるまま
言い返しもしない。イルカ漁をケネディ大使があげつらい、あたかも日本国民が
動物虐待の民であるかのように世界に喧伝された。悲しいことである。
韓国の、犬を撲殺して食べる習慣はよいのか、ケネディ大使よ。

あの戦争の是非はひとまずおいておくとして、日本のため、そこに暮らす父母、きょうだいのため、命を懸け人々の「想い」が祀られているのである。

宗教色のない「施設」に祀れという論も、無意味なのであって祭祀無くしていかに
鎮魂するのか? 祀るという言葉自体が当てはまらないではないか。

「靖国で会おうぜ」を合言葉に散っていった人々の想いを無下にしてはならぬ。

一度か二度・・・・・靖国神社の奥まったお部屋でお茶を頂いたことがあるが、
その時伺ったお話。
天皇陛下がいついらしてもいいように、天皇陛下のためのお部屋は常に清掃が
丹念になされているとのこと。お話を伺った瞬間、私はそこに座すべき主を延々と
待ちわびている仄暗い部屋が脳裏に浮かんだのだった。

お椅子や卓はそのつど、皇居より運び込まれるのだという。
皇后陛下から託されたお言葉というのも、その時伺ったのだが
何か私、他に気を取られている時で、失念してしまい残念なことである。
あるいはしっかり聞いていたとしても、ここに記すにははばかることであったかもしれない。

日本が整い穏やかになるのは、おそらく私は天皇陛下が靖国神社に参拝なさる
時であろうと、それは理屈でも何でもなく思いなしているのだが、
当面、しかしご参拝は叶わぬと思う。

これも理屈ではなくふと脳裏に揺曳するだけの思念なのだが、
参拝なさる天皇陛下は悠仁親王殿下であると、そう思っている。
世が整うのも、この方が無事天皇陛下となられた御代であろうと。


8 コメント

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「氷雪の門」 (ナデシコ)
2014-03-17 04:28:51
幼稚園、学校では8月6日は登校日。8時15分には黙祷し、先生からお話を聞いてお昼には帰る。広島市は次代に伝えています。祈りを捧げる日は我が家でもお楽しみ(海やプールで遊ぶなど)は慎んできました。橋の上で被曝し翌月に亡くなった身内がいるせいもあるでしょう。
靖国神社におまいりしてみたい。そう思うようになりました。
「氷雪の門」という映画は南田洋子さん(わたし好きなのです)が出演されているから観に行きました。オークションで昔の絵葉書や写真を探すと少し見ることができました。戦前の樺太、昭和初めの原爆ドーム付近。日本はおだやかで美しい国です。建物、町並み、掃除が行き届き清潔な道。わたしは日本にうまれて幸せものです。うまれかわっても日本がいい!
朝日新聞やめてからだいぶん経ちますがウソつき記事をかいた人間に怒りを覚えます。子どもにもそう広めて不買!!二度と購読しません!
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Unknown (achabi)
2014-03-17 07:45:22
アメリカから、かなりの恫喝。
それに、いとも簡単に、見直しを引っ込めて継承するとの発言。
その発言により、万歳をしている国や団体や組織など、数え上げたらキリがないですね。
一体どんな恫喝なんでしょう。

安倍総理がダメなら他に誰がいいのか……と問われても、他に見当たりません。
でも、今回の(見直しはしない)発言は、日本国内の日本人はもちろんのこと、いわれなき差別や虐めを受けている日本人までも切り捨てた事になります。

靖国問題、慰安婦問題、領地問題。この発言を言質にとられ、すべてが、あちら側の思う壺になってしまうんでしょうか?

マルコ・ルビオ氏でしたか?次期アメリカ大統領の一番候補とされている氏が、予想通り大統領になられたら、日本は変われるでしょうか?
それまでねかオバマ政権で、次から次へと腰を折られ、完全に腑抜け日本になってしまわないでしょうか。いえ、日本は無くなっているかも知れない……。不安ばかりよぎります。
悠仁様が天皇となられる姿を是非見たいです。
歪曲された歴史を根底から覆し、誇れる日本の日本人として、悠仁様が陛下となられ、靖国を参拝されるお姿を、何としても見たいです。

それにしても、与党自民党。仮面を被って日本を売り渡そうと画策している輩が、なんと多いことでしょう。
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Unknown (井沢満)
2014-03-17 14:36:55
ナデシコさん

明治期の日本の姿を絵画で残した西洋人がいて、その美しさには韓国人が素直に感嘆しています。

(CGだというひねくれ者もいますがー笑ー)


achabiさん

>一体どんな恫喝なんでしょう。

あちら命がかかること、平然とやりますからね・・・・。
それは中韓共に同じでしょう。穏やかな日本が異例なので。

>安倍総理がダメなら他に誰がいいのか……と問われても、他に見当たりません。

正しい立ち位置にあり、気骨のある人はいますが、首相は運も含めてそれだけの器量が必要なので・・・・

批判で是正を求めながら、安倍さんを擁して行くしか当面は選択肢がないですね。

>靖国問題、慰安婦問題、領地問題。この発言を言質にとられ、すべてが、あちら側の思う壺になってしまうんでしょうか?

今の流れではそうですね。
アメリカの、今は実はもう実体がなくなりつつある「力」に怯えず、日本が自分の足で立ち上がるのを覚悟すべき時でしょう。

>マルコ・ルビオ氏でしたか?次期アメリカ大統領の一番候補とされている氏が、予想通り大統領になられたら、日本は変われるでしょうか?

オバマ政権よりは、風向きは良くなると思ってはいますが、アメリカの国是そのものが日本を叩き抜き、隷属させよ、ですから基本形はさほどの変化を期待できないのかもしれません。様子見です・・・・・。

>オバマ政権で、次から次へと腰を折られ、完全に腑抜け日本になってしまわないでしょうか。

もうすでに腑抜け状態、約70年です。
ここから、どうやって立ち直って行くのか。
常に考えていますが、地道に日本人が真実を知り、
それをコツコツと広めていくしかありません。


もうダメかなあ、と思うことはしじゅうありますが、その都度気を取り直して何とかやってます。

政権がどうあれ、誰が首相であれ、対米関係ではやられるしかないので、国民が自覚して闘うしかないのですが、その国民がねえ・・・・・・。呆れ果てるばかりの有り様で・・・これまた、もうダメかなあ・・・・しじゅう思い、これもまた何とか立ち上がっては、微力ながら事実を伝え続けているわけです。名と顔をさらしつつ、また立場がありつつの発信なので、大した内容も語れませんが・・・・・。






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微力ながら・・・ (ぱらまた)
2014-03-18 00:03:44
井沢 様

私も微力ながら、周囲に発信し続ける努力をします。
先の都知事選の田母神氏の得票を見ても、明らかに新たな潮流の兆しはあります。
私はその中の一滴でありたいと思います。
祖父母父母の生きた時代の名誉と誇りを取り戻し、日本が再び輝きを放つ日を夢見て・・・

追伸 もし、差支えなければ、こちらの記事の転載をさせていただきたいのですが、いかがでしょうか?
返信する
ぱらまたさん (井沢満)
2014-03-18 00:19:11
どうぞ、転載なさってください。
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今我々がいるのは。 (ささぞう)
2014-03-18 14:17:53
日本の現状は未だに戦後であり、世界のなかでは、未だに敗戦国であることを痛感します。

日本人がマスコミなどの発言を鵜呑みにせず、世の中の常識を自ら学び、自ら考えることができるようにならなければならないと思います。

日本国内にいる反日思想を駆逐しないといけませんね。。。
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ありがとうございます (ぱらまた)
2014-03-18 20:15:31
井沢 様

ご快諾いただき、ありがとうございます。

私の拙いブログではありますが、転載させていただきます。
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素晴らしい記事 (スナネズミ)
2014-03-19 20:57:53
愛国の情切々と、しかし情に流されることも無く
分析は鋭く理論武装されるも優雅さを失わず淡々。
井沢先生はただものではない!(失礼はお許しを)
それにしても悠仁親王殿下の御代まで・・ですか。
今後も日本が日本であり続けられますように。
靖国は代え難く美しい場所として大切なのですね。
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