マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

前回の「カオマンガイ」の鶏の胸肉を使った、とっても美味しい棒棒鶏(バンバンジー)

2012年11月03日 | 魚やす UO-YASU のまかない料理
今日のバンコクは朝から晴れて気温も33℃を超えているが、先月(10月の30日)にやっと雨季が明けた。

前にも話したが、今年の「カオパンサー」(入安居)は8月3日からで、10月30日の「オークパンサー」(出安居)までの約3か月間、お坊さんは寺に籠って厳しい修行をする。

また、その期間は「雨季」と重なり、毎日のように雨が降り続く。

以前(6年程前)にもプーケットのマグロ工場やバンコクで3年程仕事をしていたが、その頃の雨季の大雨は風が吹いてきたかなと思ったら急に雨雲で空が真っ黒になり、スコールのような雨が降ってきたが、30分もすれば降り止んだが、最近のバンコクの大雨はバケツをひっくり返したような大雨が1時間も2時間も降り続き、道路は水でいっぱいに溢れ、洪水になって車も動けなくなってしまう。

特に今年の9月、10月の大雨はランチタイムが始まる頃と、夕方の交通渋滞時に大雨となり、普段でも渋滞している道路がさらに大雨で、まったく車が動けないような状況の日が幾日もあった。

たとえば、夜の6時に予約が入っていた団体のお客さんの場合、最初の人は時間通り6時にお店に来たが、大雨で交通渋滞がひどく、全員が集まるのが8時半過ぎという日も珍しくないような状況だった。

特にランチタイムの大雨では「お茶をひく」のではないか?と思える日が何日かあった。

「お茶をひく」の意味は「お客さまがゼロ」のことで、昔、吉原の遊郭でお客さんが付かなかった遊女が何もすることがなかったので、「お茶を挽かされていた」ので、暇なこと、お客さんがゼロのことを「お茶をひく」と言うが、以前、日本で勤めていた「料亭」の「おかみ」は「お茶をひく」のは縁起が悪いと言って、天気の悪い日には常連のお客さんに電話を掛けまくっていたのを思い出す。

そういうこともあってか、「お茶」というのは「縁起の悪い物」とされていて、お祝いの席ではお茶の代わりに縁起の良い昆布茶や桜湯を出すところもある。

寿司屋でも「お茶」という言葉を使わずに「あがり」と言うところが多い。

うちのお店はお蔭さまで、開店以来、先日のエアコン修理時の臨時閉店以外はランチタイムもディナータイムも「お茶をひく」ような日はないが、本当にお客様に感謝したい思いだ。

大雨が降る度に、あの料亭の「おかみ」のことを思い出すが、今、こうしてお店を預かる身になると、「おかみ」の気持ちがよく分かる。

さて、また話が長くなってしまったが、今回は前回作った「カオマンガイ」の胸肉を使って中国の四川料理の「棒棒鶏」(バンバンジー)を作ってみようと思う。

昨年の12月にバンコクに来る前には5年間、中国の大連や上海を行き来して9店舗の日本料理店店の総料理長をしていたが、当時は中国料理の食べ歩きもし、自分でも友人の中国の特級調理師の王さんから中国料理の指導も受けていた。

「棒棒鶏」はとても変わったネーミングの料理だが、日本には中華の料理の鉄人で四川飯店の陳健一のお父さんの陳建民が紹介して広めたと言われている。

陳建民が日本に紹介した海老のチリソースや痲婆豆腐などと同じく、陳建民の棒棒鶏は日本人向けに辛みを抑えてある為に、日本で棒棒鶏を食べると辛くない場合が多いが、本場中国四川の棒棒鶏には芝麻醤(ゴマソース)に、ラー油がたっぷり加えられていてピりっとくる味だ。

さて、なぜ「棒棒鶏」と言うのかだが、それは中国で中国料理店に行き(前菜などを作っているオープンキッチン)を覘いてみると直ぐに分かる。

実際に「すりこぎ」のような棒を使って、料理人が茹でた「鶏の胸肉」を叩いているのだ。

鶏肉は日本の「棒棒鶏」では「モモ肉」を使うことが多く、クラゲやキューリやトマトが添えられていたりするが、本場中国の場合には「胸肉」を使い、クラゲや野菜が添えられることも少ない。

また、茹でたばかりの熱々の胸肉は柔らかいが、「棒棒鶏」は冷菜なので冷たい場合が多く、胸肉は冷めると直ぐに固くなってしまう。

その固い胸肉を棒で叩いて柔らかくして細かく手で切り裂いて皿に盛り、胸肉という脂のない部位の肉に芝麻醤(ゴマソース)のコクと、ラー油の辛さと油分を加えて食べやすくししたのが「棒棒鶏」という料理だ。

今回は友人の王さんから教わったタレを紹介しよう。

◆棒棒鶏(バンバンジー)の作り方。

<材料>

鶏胸肉(前回、カオマンガイの時に茹でた鶏の胸肉)

キューリとトマト  適量(飾り用)

下の写真が特性(棒棒鶏のタレ)の調味料の集合写真。

写真手前の左から、醤油(大さじ5)、砂糖(大さじ3)、ゴマ油(大さじ1)。写真中央の左から、ラー油(大さじ2)、酢(大さじ2)、芝麻醤(大さじ5)。写真後ろの左から、ネギの粗みじん切り(大さじ5)、生姜のみじん切り(大さじ1)。

<棒棒鶏(バンバンジー)のタレの作り方>

①酢と砂糖を透明になるまで、よく混ぜ合わせる。


②醤油を加える。


③芝麻醤を加える。


④ゴマ油を加える


⑤ラー油を加える。


⑥よく混ぜ合わせる。


⑦生姜のみじん切りを加える。


●ネギの粗みじん切りを加えて出来上がり。(ネギから水が出るので、あまりかき混ぜないように注意!)


さて、棒棒鶏(バンバンジー)のタレが出来上がったところで、前回のカオマンガイの時に茹でた鶏の胸肉を包丁で食べやすいように切ろう。


さらに、トマトはスライスしキューリは千切りにして、綺麗に盛りつけて、上からタレを掛ければ出来上がりだ。


カオマンガイと棒棒鶏(バンバンジー)は一見、とても似ている料理だが、カオマンガイは鶏のモモ肉の方が脂があって美味しく、また、棒棒鶏(バンバンジー)は鶏の胸肉に脂が無いので、このコクと油分のあるタレがピッタリだと思う。

どちらの料理も簡単なので、実際に作って食べ比べてみるのもいいだろう。

最後に両方の料理の写真を貼りつけておこう。