prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

フジヤマ・ゲイシャ・ハラキリ(11)

2005年08月08日 | フジヤマ・ゲイシャ・ハラキリ(シナリオ)
115 撮影所・控え室2
清水、溝口、出ていく。

116 同・構内
溝口「(通りかかった人に)あの、第3ステージってどこでしょうか」

117 同・第3ステージ 来て、入っていく二人。

118 同・中
清水、中の人と押し問答している。
別の組の人「…そんなの知りませんよ」
清水「そんなはずはないでしょう」

119 同・第6ステージ
台本で×印がない場面を開いている扶桑。
扶桑「(黒井にそっと)あとの主役の外人が出てくる場面、どうする?」
小人「頼りにならない奴だな」
と、メガホンをひったくる。
小人「貸せ。
俺が仕切る」
扶桑、呆然としているが、やがてとことことカメラの前に出て行ってハラキリする。
*    *
小人「おアップちょうだい」
と、大平の顔にカメラを向けている。
小人「よーい、スタート」
カメラが回る。
大平「(何もないところに向かって芝居を始める)…私はうれしゅうございます」
田中、その話しかけている所に座る。
すぐその横に台詞を書いたボードが出されている。
大平「(台詞を読む)わたくしは一生あなたさまについていきます」
小人「カット」
後ろでしきりとボードに何か書いていた黒井に向かって 小人「次の台詞はできたか」
黒井「はい」
と、少し離れても読めるように大き く書いた台詞を見せる。
「おまえはわしのものだ」
と、まんがの吹き出しのように田中の真横に出される。
小人「馬鹿、相手の台詞はいいんだ」
大平「もういいです」
小人「いいって、何が」
大平「台詞なしでもなんとか適当にしゃべるから」
小人「そう。
そうしてくれた方が時間が助かるんだけどな…よし、そうしよう。
じゃ、いくよ」
大平「どうぞ」
小人「よーい、スタート」
カメラ、回る。
大平「(田中に向かって言う格好で)…ねえ、もういいかげん別れてくれない? 」
田中、一瞬ぎょっとした表情になる。
大平「いいかげんお金使うのも飽きちゃったしね。
お金しかないっていうのも退屈なものよ」
田中の表情、険しくなる。
大平「(にこやかに)これはお芝居よ、お芝居」
田中、釘をさされた格好で曖昧に笑 う。
大平「十五歳だったっけ? 新しいお相手は」
大平、芝居している芝居を続ける。
田中、青ざめてくる。
けたけた喜んでいる扶桑。

120 同・第3ステージ
もう日が暮れている。
やっと出てくる清水と溝口。
溝口「何やってるんですか」
清水「(聞いていない)こうなったら、片っ端から当たりましょう」
溝口「片っ端からって、どれぐらい(敷地面積が)あると思ってるのかね」
清水「いいから」
溝口、うんざりしている。

121 同・第6ステージ
田中、ゆっくりと立ち上がる。
田中「…帰る」
小人「そうですか」
田中「こいつ(大平)も一緒だ」
小人「え?」

122 同・他のステージ
を当たってまわる清水と溝口。

123 同・第6ステージ
田中、大平を引っ張って出て行こう とする。
小人「ちょっと、そんな無茶な」

124 同・外
近づく清水と溝口。

125 同・中
田中、強引に大平を引っ張って扉を開ける。
小人、その手元に割り込むようにして、外の清水と溝口と鉢合わせする。
あわてる小人。
その間に田中と大平は外に出る。
小人「(態度を一転させ、田中に)どうもご苦労さまでした。
(さらに清水たちに)ご苦労さまでした」
清水「ご苦労って…(わけがわからない)」
小人「気をつけてお帰り下さい」
田中、フィ!と鋭く口笛を吹く。
すっとほとんど間髪を入れずにキャデラックが乗り付けられる。
あまりの早業に呑まれる一同。
浅間が降りてきて、ドアをうやうやしく開け、足元に足拭きを出す。
足拭きを出されると足を乗せてみたくなる、足を乗せると車に乗らないではいられなくなる。
溝口と清水、勢いに乗せられ乗ってしまう。
田中と大平も乗りこんだところで、すうっと出るキャデラック。
冷や汗を拭って中に戻る小人。

126 同・正門(夜)
出ていくキャデラック。
花山「…(まだつったっていて、また置いてけぼりを食う)」

127 同・第6ステージ
黒井「主役がいなくなっちゃって、これからどうするんですか」
小人「泣き言を言うな。
いなけれゃ、他で間に合わせるんだ」

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