prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

フジヤマ・ゲイシャ・ハラキリ(3)

2005年08月09日 | フジヤマ・ゲイシャ・ハラキリ(シナリオ)
21 第3ステージ 黒井、食紅を大平の口に含ませる。
扶桑「アクション」
大平、肺病の発作の芝居を始める。
ごほごほせきをする。
芝居でやっているうちに、本当にせきが止まらなくなる。
扶桑「…(目を覆う)」
大きくせきばらいして、やっと止まる。
顔に当てていた手をどけると、食紅が手からついて、顔が赤鬼のように真っ赤になっている。
×   ×
扶桑、(まともに見てられない)という感じでサングラスをかけている。
何か読んでいる大平。
扶桑「…台本なんて読まなくていいから、早くきてくれ」
大平「台本じゃありませんよ」
扶桑「なんだい」
大平、カメラ前に向かいざま、読んでいた本を渡す。
扶桑「(見て)…?」
横文字の本だ。
戸惑うが、すぐ仕事に戻る扶桑。
×   ×
団扮する侍が捕り手に囲まれている場面。
団が次第に傷ついていく。
シリアスにやったら、悲壮美の場面になるところだが、捕り手役が少ないので、切られた奴が横にずっていって立ち上がると、またかかっていく。
しまいには、かかっていく捕り手の方が笑いだしてしまう。
笑いながらかかってくるのを団の方はひたすら大真面目に切り倒す。

22 黒井の台本
×のついたページが増えていく。

23 日めくりカレンダー 一枚一枚めくられていく。

24 撮影所・第3ステージ 芸者姿の三人娘、輪唱するように一斉にあくびする。
スタッフは大平にかかりきりになっている。
ぐだぐだやっているうちに三人の位置が変わってしまう。
黒井「キャメラ、OK?」
宮下「OK」
位置を変えたのに気がつかない。
黒井「ロール」
三人娘、あわてる。
扶桑「はいっ」
そのまま撮ってしまう。
扶桑「カット。
OK」
結局誰も気がつかない。
がっかりする三人。
×   ×
そのままのポーズで、貧乏暮らしに いる姿になる。
(気がくさっているのがそのまま姿 に出た形)

25 日めくりカレンダー
1月13日になる。

26 黒井の台本
ほとんど×で埋められているが、まだ残っているところもいくらかある。
小人の声「撮らなくていい。
終わりだ」

27 小人の事務所
電話している小人。
秋月、傍らで事務をとっている。
小人「スケジュールの変更はしない。
撮れなかったら、撮らなくていい」
その大声に、秋月がちょっと小人の方を見る。
小人「命令だ」
電話を切り、開けてあった金庫の扉を脚で閉める。
一瞬金庫の中の札束が見える。

28 撮影所・正門
キャデラックがゆっくりと乗り付ける。
浅間(運転手)「(窓を開けて、受付に)扶桑組の見学に来ました」
毛利(受付)「あそこの撮影はもう終わりましたよ」
田中「終わりぃ?(後部座席で、きょとんとしている)」
丁度そこに黒井に送られて大平が来る。
浅間、いともいんぎんにすっと降りてきて、後部座席の扉を開く。
そして小さな足拭きを地面に敷く。
大平、ちょっと足を拭いてすっと乗り込む。
浅間、さっさと運転席に戻って車を出す。
あくまで流麗な動き。
田中「(まだきょとんとしている)」
電話の呼出音。
出る音。

29 小人の事務所
秋月「…(小人に聞かれないようにしながら電話している)」

30 同・スタッフルーム
秋月の声「…まだ解散しないでおいて下さい」
不完全燃焼といった感じで撮影スタッフたちが休んでいる。

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