prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

フジヤマ・ゲイシャ・ハラキリ(10)

2005年08月08日 | フジヤマ・ゲイシャ・ハラキリ(シナリオ)
106 同・控え室1・外
に田中を連れてくる小人。
小人「申し訳ありませんけど、出てくるよう説得していただけませんか」
田中「わかった」
と、ドアの前に立つ。
田中「(ノックして)私だ。
開けてくれないか」
鍵が開く音。
田中、中に入る。
小人「(黒井に)すぐ戻って、まともな格好した連中を集めて第3ステージに移れ。
それを見せてごまかす」
黒井「そんな…無理ですよ」
小人「いいから、行け」
ドアが開き、田中が顔を出す。
田中「ちょっと来てくれ」
小人「はい…行け」
と、中に入る。
黒井、去る。

107 同・控え室2・中
壁のコップに耳をつけて盗み聞きをしている溝口と清水。
田中の声「ちゃんと台詞を書いてくれるなら行くそうだ。
どこだって?」
小人の声「第3ステージです」
耳を離し、小人が呼びに来るのを待つ二人。
ところが、誰も呼びに来ない。
溝口「…」

108 同・構内
歩いていく小人、田中、大平。

109 同・第3ステージ
小人「ここです」
と、扉を開ける。

110 同・中
別の組の撮影中。
いぶかしげな視線が一斉に集まる。
あわてて田中をひっぱって出る小人。

111 同・外
田中「なんだ、今のは」
小人「間違えました。
どれも似たような建物なもので」
冷や汗をかきながら歩き出す小人。
首をかしげる田中。
冷ややかな大平。

112 同・第6ステージ
に近づく小人たち。
小人、中がどうなっているかわからないが、入らないわけにいかない。

113 同・中
入ってくる小人たち。
中で展開されているのは、一大乱痴気騒ぎ。
扶桑は統率力を失ってうろうろするばかり。
キャストばかりか、スタッフまで思い思いに勝手な格好をしだしている。
床の間に「東海道四谷怪談」
という掛け軸をかける奴。
欄間から巨大な銅羅を吊るし、アーサー・ランク作品のタイトルばりにぐわあーんと裸の男が叩く。
花柄のまわしを締め込み、相撲ならぬ空手の試合をやっている奴。
それらを勝手放題に撮りまくっている宮下以下の撮影部。
どこから仕入れたのか丸ごとの魚をさばいてメテッパンヤキモにしてつついている。
その他、その他、あらん限りのフジヤマ・ゲイシャ式の悪趣味の限りを尽くしている。
どこからか桜の枝を持ってきてあしらい、酒も入って花見的無礼講となっている。
小人「…(真っ青になる)」
田中「…(あっけにとられている)」
×   ×
福田が日本髪にチャイナドレスに割烹着という格好で出刃包丁を構え、魚の頭をはねている。
山崎はザ・グレート・カブキばりのインチキ歌舞伎調メイクで行灯の油をなめ、ぷーっと油を吹いて炎を吐く。
広瀬は自動人形のようにほほほ、ほほほと意味もなく笑っては三つ指をついてまわっている。
やがて三人、ちょっと疲れて車座になって座る。
宮下「(それを見て)…おい、さっきと位置が違うよ」
×   ×
床の間がどんでん返しにくるりと開き、とんぼをきって黒衣の代わりに日章旗を着込んだニンジャが扶桑の前に現れる。
扶桑「おいっ」
ニンジャ(赤沢)、指先から水芸のように水を噴出させてその顔にかける。
大平「(笑い出す)」
そして、乱痴気騒ぎの輪に飛び込む。
田中「…よくわからんが」
小人「(びくっとする)」
田中「あれは気にいっているようだ」
小人「(冷や汗を拭う)」
田中「…わしも気に入った」
小人「は?」

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