prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

フジヤマ・ゲイシャ・ハラキリ(9)

2005年08月08日 | フジヤマ・ゲイシャ・ハラキリ(シナリオ)
90 同・第6ステージ
早川が扶桑に呼ばれる。
扶桑「なんだか知らないが、怒っているんだ。
なだめてくれ」
×   ×
扶桑、何かまくしたてているビリーと早川が応対しているのを見ている。
早川が困惑し、ますますビリーが大声でまくしたてているようす。
扶桑「何やってんだ」
大平「(すまして)言葉が通じないんですよ」
扶桑「通じないって…」
ビリー、何か言う。
扶桑「?…英語じゃないな」
大平「ロシア語です」
扶桑「いーっ?」
大平「話しますか?」
扶桑「え?…ああ」
大平「(近づきロシア語で話し出す)…あなたは何と説明されてここに来たのか」
ビリー「(ロシア語)英語だったので、よくわからなかった」
一同、大平が流暢にロシア語を喋りだしたのでびっくりする。
こそこそと離れる早川。
扶桑「(早川に)おいっ」
早川「…(びくっとする)」
扶桑「おまえ、一体誰を連れてきたんだ」
早川「いえ、なんか英語が通じたから」
扶桑「ほんとにビリーなんて名前なのか」
それまでビリーと話していた大平、扶桑の方を向いて、 大平「違いますよ」
扶桑「(大平の方を見て)なんて名だ」
大平「イォシフ・ビサリオノビッチ・シュガシビリ」
扶桑「…なんだって?」
早川「ロシア人みたいですね」
扶桑「(早川に)おまえは日本人みたいだな」
早川「…」
扶桑「二世だと?(嘘つけ)」
イォシフ「(日本語で)私は帰る」
扶桑「(日本語と思わず大平に)なんだって?」
大平もいきなり日本語で話しかけられて戸惑っている。
大平「帰るって言ってるけど」
扶桑「(早川に)出ていけ」
早川、すごすごと出ていく。
イォシフ「…(自分が出ていけと言われたよう)」
入れ違いに赤沢が上半身は鎧で覆い、下半身は赤フンひとつという格好で入ってくる。
扶桑「…なんだあ?」
赤沢、開き直ったようにふてぶてしい態度。
扶桑「あいつが二世だったなんて、真っ赤な嘘だったんだぜ」
赤沢「それがどうかしましたか」
と、ぴしゃりと裸のお尻を叩く。
イォシフ「私は日本語でしゃべれます」
大平「…私は日本語をしゃべれますって…」
扶桑「(それに気づかず)ああ、外人の言うことはわからんよ」
赤沢、奇声を上げながら三人娘の方にはねていく。
三人娘、キャアキャアいって喜んでいる。
イォシフ、ため息をつく。

91 同・正門
清水と溝口がやってくる。
花山が森岡に制止されて入れないでいる。
森岡「関係者以外は立ち入り禁止です」
花山「俺がホン書いたシャシンだぞ」
清水と溝口、やりとりを聞いていて顔を見合わせる。
清水「(台本を持ち直し、花山に)ちょっと…」
そのそばをすうっとイォシフが通って出ていくが、誰も気にとめない。

92 同・第6ステージ
赤沢「(三人娘に)やってみないか。
こういう格好」
福田「悪趣味ね」
赤沢「だから気持ちいいんだ」
山崎「恥ずかしくない?」
赤沢「だったらみんなでやろう」
広瀬「やりましょう」
その一方、大平が出て行く。
×   ×
扶桑「ビリーはどこに行ったんだ」
黒井「ビリーじゃなくてイォシフ・ビサリオノビッチ・シュガシビリですが。
愛称はコーバ」
扶桑「なんでイォシフがコーバになるんだ?」
黒井「(大声で)それどころじゃないでしょう。
ヒロインまで怒ってひっこんじゃったんですよ」
扶桑「(もっと大声で)それを連れてくるのがおまえの仕事だろう」
三人娘、赤沢の真似をして、奇怪な扮装をしている。

93 同・控え室1
入って鍵をかける大平。

94 同・正門
清水・溝口・花山の三人が、まだ森岡と押し問答している。
花山「これが俺のホンかあっ」
と、台本を振り回している。
森岡「(すまして)違うんでしょ」
そこにすうっとキャデラックが乗り付けられる。
窓を開けて、浅間が顔を出す。
森岡「すみません、関係者以外は立ち入り禁止です」
その目の前にどんとジョニ黒が置かれる。
森岡「(うっ…)」
その様子を見て取った溝口、素早く浅間に名刺を出して頼み込む。
すっと降りてきた浅間、丁重な動作でドアを開け、足元に小さな足拭き を出す。
見事に機械的な動作。
それに乗せられるように乗り込む清水と溝口。

95 同・構内
やってきた黒井、そのようすを見ている。
急いで回れ右して元来た方に向かう。

96 同・正門
車が出たあと、一人取り残される花山。
花山「…これが俺のホンかあっ」
と、台本を振り回す。

97 同・第6ステージ
戻ってくる黒井。
扶桑「おい、連れてきたのか」
黒井「それどころじゃないですよ」

98 同・構内
ゆっくりと走るキャデラック。

99 キャデラック・中
豪華な毛皮張りの内装。
清水、思わずそれを撫でる。

100 撮影所・第6ステージ
扶桑「(小人に)どうしましょう」
小人「俺が行く。
来い」
と、黒井を連れて出ていく。
残された一同、たがが外れてきている。
赤沢「もう、勝手にやろうぜ」
団、すました顔で来る。
一升瓶を何本も抱えて。

101 同・構内
足早に歩く小人と黒井。

102 同・第3ステージ
の前を通る二人。
昼休みで開けっぱなしになっている。
小人、ちらっとのぞいてすぐまた歩き出す。

103 同・構内
二人、走っているキャデラックをつかまえる。

104 同・駐車場
キャデラック、止まって一同出てくる。
田中「(浅間に)口笛を吹いたら来い」

105 同・控え室2
小人「しばらくここでお待ち下さい」
と、清水と溝口を押し込み、ドアを閉める。

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