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『ハイ☆スピード』読破

2013年09月08日 16時49分53秒 | 急行特急TH発2007年→2019年5月1日AM11:59


おおじ こうじ著『ハイ☆スピード』を読破してみて、改めて思ったのは、勝ち負けが全てではなく、いかに楽しんでやるか、それもひとりではなくチームメイトと共に。大会に出て勝利、敗北と言う区分けではなく、その一瞬を繋ぐところに重きがおかれた様に思えた。私には苦手な、協調性を伴う「仲間意識」や「絆」がそこには描かれていた様でもある。
水泳は、個人競技な面もあるが、リレーと言う集団競技の側面もあった事を私はすっかり忘れており、1つの再確認にもなった。
物語の中だから美しい、そう思えてならないのは、私の黒歴史の中で見た虚構の所為である。実際に三次元と言う現実の世界で見る「仲間意識」だの「絆」だのは、毒々しいというか生々しく、それこそ「美辞麗句の虚構の世界」でしか私にはない。2011年の3月の震災により、絆だの仲間だの都合の良いときだけの虚構の言葉が横行するのは甚だ嫌な話ではある。
小学生4人が成し遂げた水泳を巡る話であったが、友情めいた雰囲気はあまり感じられず、それぞれのキャラクターが感じたまま、思うがまま、と言う感じで、自由な雰囲気があったように思う。寡黙な七瀬遙は昔からかい、だったが、それでも、割りと皆、慕われる側面があり、存在感があって良いなと思う。きっと頭もいいんだろうと思う。模範生とまではいかないにしても、文武両道と言う雰囲気は私から刷れば羨ましい限り。葉月渚の憎みたくなる純真無垢さも変わらずであり、人の気持ちを充分理解し、上手く立ち回る橘真琴もそのままで。松岡凛を見ていたら、かつて読んだ鷺沢萌の『少年達の終わらない夜』の「何か楽しいことしようぜ」が口ぐせだったリンと呼ばれたキャラを思い出してしまった。彼が現れて、物語が始まり進む感じがあり、重要人物なんだなと思う。
最近、私はすっかり活字離れをし、小説の類いは読んでなく、2013年はこの本で2冊目の小説読破と言う大人にあるまじき事態であるが、こう言う風に、仲間意識とか絆とか友情とか、美辞麗句をならべるよりも、少年のキャラクター達が和気あいあいとお互いの距離が離れず楽しく物語の世界で活動する姿は良い。一歩間違えれば“BL”と言う世界に入ってはしまうけれど、なかなか、そんな少年達の日常をミステリーやらロボットやらがなく、自然なままで動き回る姿が私は好きであるけれど、なかなか、こんな風に、日常系で少年キャラクター達が動く作品には出会う機会が薄く、あっても有名どころの作品ばかりで、手が出にくい。
話がそれてしまったけれど、なかなか三次元の世界では形になっても、感じ得ない、そんなものをこの様に思う物語で表現されるからこそ、私は物語を追いかけるのかも知れない。小学生時代に築いたこの記憶を、この4人達は将来どうみるのか?ちょっと楽しみではある。
勝ち負け、出来の良し悪しは関係なく、何か楽しいことを思うがままに、仲間と共に行い笑いあえ語りあえ成し遂げあえる姿に巡りあえて良かったし、それを知るうるきっかけを私にあたえてくれた作品にもなった。以前に話にもとりあげた『おおきく振りかぶって』においても、そんな、キャラクター達が試合ともに野球そのものと向き合いプレイし楽しんだりなんだり出来るその姿を表現すると言うが、新たなスタイルなのか?と言う1つの考えを私に与えることになったように思う。ただ、お決まりに試合に勝ち続け優勝して、わー、となるだけでは薄く深みが無いことを改めて思わされたようにも思う。
スポーツは、そうにしても、私は見るのもやるのも嫌いな口なので、大口は叩けないが、こうして二次元あるいは文字だけと言う一次元の世界の話だからこそ良いのだと思う。三次元と言う現実にはどうも生臭さがあって私は好きにはなれない。

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