きの書評

備忘録~いつか読んだ本(読書メーターに書ききれなかったもの)~

京都・冬の一人旅~もう騙されないぞ~

2023-06-21 12:48:02 | 古都探訪

 最近、悪質な旅行社(娘)に悩まされているので事前に苦情をひとつ。(きの)「ひどいと思う。」結果、次週は最初から京都行きのバスに乗せられた。一緒に行く意味とは・・・。これなら一人で気ままに出かけた方が。出がけに(娘)「(ニヤリ)人込みで迷ったらどうするのかな?」大声で騒いでやる。

 

ブツブツ言いながらまたも懲りずに出かけていく。今回は2つ重要なミッションがある。

 

ミッションその1:頼むから誰か募金を受け取ってくれ!

ミッションその2:どこかのカッコイイ火伏せのお札が欲しい

ミッションその3:船岡山でドングリ拾い

ミッションその4:練りきりを探す

 

 ミッションは2つのはずでは。まぁいい。この要件を満たすコースは・・・チッチッチッ、チーン。はじき出された答えは、松尾大社→嵐電四条大宮からの46系統千本通り和菓子コース→山を越えて9番西本願寺経由で良かろう。

 

 

1:松尾大社

 去年から策を練っていた件の交通安全の募金をどこかの箱に入れたい。あのヤチマタという会は松尾大社が総本山?らしい。行ったことないが、まあいい。参拝がてらとうとう神社庁に乗り込む。

 京都駅のバスターミナルで案内の看板を見ていると(係)「お探しですか~」(きの)「えぇちょっと松尾大社に」 (係)「Bの12」(きの)「どうも。スタスタ」バス停に着いたらすぐ来たので滑るように乗り込む。

 おおよそ京都市内とは思えない鄙びて曲がりくねった道を進み、川を渡って松尾大社に着いた。初めてこっちの方に来たが、ずいぶん苔むしている。降りたところに不気味な字体で書かれた喫茶店があったが、とりあえずは大社に行ってみよう。中にうどん屋あるかもしれないし。

 どんどん入って行ったら中は結構広かった。茶店のようなものもあった。その奥が松尾大社らしい。入ってぐるっと周ってみたが、中々これぞというお札がない。奥の方には水を祭った場所があった。そういえば松尾大社は酒造りの神様らしい。それらしい募金箱も置いてなかった。

 入り口の近くに神社庁と書いた建物があったから、出るついでに行ってみよう。あの茶店は売店なのだろうか。しかし、とりあえずは主題の募金からだ。どこから入るのか探していると、向かいの交番の前に立ってるお巡りさんと目が合った。トイレを借りようとしていると思っているのかな。裏に通用口を見つけてそこから入る。

(きの)「すいませーん」(声)「はいはい」事務所から出てきたのは普通の事務員さん。(きの)「やちまたの募金て・・・」(事務)「あぁやってますよ」やったー。(きの)「もうどこに行っても出会えなくて。メールも返事来なくて。これどうぞ。どうか祈ってやってください」ちょっとした知り合いの香典ぐらいの金額を渡してきた。(事務)「他の神社さんにも箱を置いてくださいってお願いしているんですけれどもね。毎月25日に北野天満宮でも街頭募金やりますからぜひ来て下さいっ」意外にフランクで丁寧に送り出してくれた。

 

 

 

 やりきった満足感でいっぱいの顔で出てくる。向かいのおまわりさんご苦労さん。さて、昼飯だが、茶店は通り過ぎてしまった。さっきバスを降りて独得の焙煎 だとか書いた個性的な看板があったな。喫茶店のメニューは洋食みたいであまり好きではないのだが。(扉)「カラン」すごい洋食器を並べた本格的な店だった。なるほど。ブルーオニオンはマイセンか。

 

 メニューはサンドイッチのみ。京都のだし巻き卵のようなものが入っている卵サンドは好かん。(きの)「このミックスサンドには何が入っているんですか?」(店)「レタスとハムとトマトです。お野菜いっぱいですよ~」(きの)「ではカツサンドで」まさかあの一番苦手な千切り野菜をギュウギュウに詰めこんだあれではなかろうなという恐れがあるので、うかつには頼めない。コーヒーはどれも専門的な苦そうなのがずらり。(きの)「どれがいいでしょうか」簡単に選択を放棄し「おすすめはこれです」というのにした。

 注文を済ませてトイレのしつらえなどを拝見し待っていると、奥でマスターがバチバチ言わせながらカツを揚げはじめた音がする。肉が好きそうな、鋼の錬金術に出てくる肉屋のような風貌のマスターと注文を取りに来てくれた女の子は骨格が似ているのだが、親子だろうか。

 その後大丈夫だろうかと思うくらいいつまでも揚げ続け、満を持してどうだとばかりにやってきたカツサンドは(きの)「でかっ」こんなに分厚いの??薄いパンにはさんだほぼ肉といった感じの、ふくれ上がったサンドイッチだ。それを正方形で6切れ。

 横の席にやってきたガラの悪そうなカップルがテーブルに身を乗り出さんばかりにして選んでいる。どこかの独裁国家の首長のような体格の彼氏が、視界の隅にメニュー表から出たタカアシガニのような爪しか見えないが確かに居るであろう彼女と、眉間にしわを寄せてああでもないこうでもないと議論している。カツうまいぞ。(きの)「むしゃむしゃ。べろ~ん」カツにしたらどうだ。見るからにカツ向きじゃないか。共に分かち合おう。さあ!(彼氏)「ミックスサンドください」

なぜだ!

 カツを頼めよ!どうしたんだ。それとも横のもはや手づかみでカツをつまみ上げて下からベロベロと貪り食う客を見てああはなりたくないと思ったのか。それにしても、揚げたては熱いんだ。(きの)「あひあひ。」猛スピードで食べて少量のコーヒーで流し込む。会計を済ませて奥さんらしき人に念のために尋ねる。(きの)「嵐山に行きたい場合ここを出てどっちに向かえばいいでしょうかね。」(奥)「歩いて行くの!?」(きの)「はぁ。だめでしょうか」(奥)「ダメではないけど、左です」(きの)「どうも。カラン」出発。

 京都の右京の辺は、どこも宇多野のあたりに似ているなと思いながら歩いていると瓦屋根を乗せたセブンイレブンがあった。その向こうに趣のある山が控えているのはなんともシュールな眺めだ。山から蒸気が出ている気がするが。今日は湿気が多いのか。近くに苔寺というのがなかったっけ?常に苔むしているのかな。

 そのまま歩いて行くとT字路にぶつかった。さてどっちだ。なんとなく左の方に曲がる気がした。曲がると左手に見覚えのあるソバ屋ののれんが。おお!あの時のソバ屋だ。緊急事態宣言でどこにも食べるところがない中、一軒だけ明かりを灯していてくれた、あのソバ屋さんだ。今でも絶賛営業中だな。ここで食べればよかったか。う~~む。などと、なつかしく見ながら通り過ぎる。

 向こうから狭い道を鈴虫寺と書いたバスがやってきた。前回もこんなバスを見たような気がするから、たぶんこの道で合ってるのだろう。そしてその向こうに(看板)「ホテル嵐山」ここも健在と。エレベーターのない不思議なホテルで300号室に泊まった。この橋のたもとから山に続いているような小径はどこへ行くんだろうと前回も思ったが、この先にはお寺があるそうだ。行ってみたいが時間がなく通り過ぎる。

 渡月橋を渡ると外国人観光客が増えている。それも欧州から来たようなカップルが多い。それでもまだマスクはしたままだ。賑わいが戻りつつある通りを眺めながら歩き、嵐電の駅へ。

 駅の足湯は再開したそうで、構内の一番奥にあるのを知っていたからまっすぐ見に行ったが200円と書いてあって、なんだか鷹揚でない気がして入るのはやめた。嵐山ほど人が多かったら、料金でも科さないと終日イモ洗いのごとくになるのかもしれない。

 その横のホームに電車が停まっていて、四条と書いてあるので先頭車両から乗ってみた。整理券?のようなものが最後尾にあるのかもしれないと思い、空いてる席をジロジロと物色しながら進んで行った。混んではいないが観光客がまばらに座り、我もの顔に通路に足を投げ出している。こういうのと一緒に座るのは不愉快なので、だったら一番前に戻ろう。よく遠足の小学生が大はしゃぎで立っている運転手の隣の特等席の位置に陣取った。なぜか運転室との間の窓も空いているので計器ものぞき込み放題だ。出発~進行~~!

 運転室から外につながる窓もガラ空きで、体感はほぼ外。こんなトロッコみたいな乗り物だったのか。帷子ノ辻や蚕の社を過ぎ、途中で車道を走り、見覚えのある道の真ん中の停留所にも停まった。だんだん混んできた。降り口で女性の運転手がハキハキと客をさばいている。

 ふと気がついた。そういえば嵐山で観光客に気を取られ、カードでタッチしてなかった。車両の端に整理券の箱だけあって券そのものはなかった。あわわわ。不審な人は3倍取るんじゃなかったっけ。

 前はどうだったか。前は・・・そうだ、嵐山って書いた切符がほしい~だのごねて、わざわざ窓口でSuicaで切符を買って駅員に笑われたんだった。しかし、そもそも改札あったっけ?どうだろう。足湯を探して流れるようにスル~っと入って来てしまった。これはいけない。聞いてみよう。終点の改札でいかにも関東ものといったモノレールSuicaを見せつつ恐る恐る聞いてみる。(きの)「あのぉ嵐山でピッてやってない・・・」(駅)「あぁいいんですよ。一律220円」あぁよかった。そうなのか。

 

 嵐電が到着する前、駅の右側に大きなお寺の屋根が見えた。壬生寺という名前らしい。良いお札はないか見に行ってみよう。出てぐるっと周って行ってみたら確かに屋根は大きいが、門は閉ざされてとてもウェルカムな雰囲気ではなかった。(後で地図を見たらそこは壬生寺ではなかった)せっかくなのでその近くのデザインされた古いマンションの構造を見てまわる。

 通りの向かいにリカマンというなじみのチェーン店の酒屋があったので、入って行ってチェリー酒チョコを買い、また引き返してバス停へ。並んでいたら後ろの王将から出てきた婆さんが店の入り口で盛大に吐いていたが、一体あれはどうしたのだろう。そして、また普通に店内に入って行った。あの店はトイレはないのだろうか、ノロウィルスか、などと考えているとバスが来たので乗って千本通りを北の方へ進む。

 

 

2:カッコイイお札

 実家の台所に火除けのお札が貼ってあった。すごいボロボロで不気味。どこの神社のだろう。はたしてご利益はあったのか。今まで何もなかったのがその証拠か。剥がしてただ捨てるのはいかがなものか、と考えて、そうだ!新しいのを買ってきて貼り換えようということになった。火伏せ・・・火伏せ・・・どこかに良いお札はないものか。

 火伏せと言ったら愛宕!?愛宕山に登るの?あの京都の街の西側にあるけど比叡山ばりにはロープウエーがないという?比叡山と同じ規模なのに?1時間半の登山と、山頂にレストランも何もない過酷な行程。無理。そして縁もゆかりもないところからもらってくるのもねぇ。四国の一番霊場でも見てみたが、火伏せに特化したようなものはなかった。元三大師のお札では怖くて台所に入れない。

 だったら北区のあたりのなじみのある寺社で探してみようかな。ということで千本通りをぶらりと歩き、自然に道路の向かいの空海の冥界の井戸へと降りていく。

 ここに来るといつも持っているペットボトルはお茶で満たされているので、水をもらって帰ったためしがない。今回もそうだ。ちっ。階段の底にある苔むした石組みを眺めて、千年前の京都の地面の低さに思いをはせる。

 よく考えたら、ここもそういえばお寺だ(じゃあ何で入ってきた!)。トゲ抜き地蔵尊ということで、なにやら ペンチ やっとこがいっぱい飾ってあるが、閻魔様とは関係がないのかな。ここは最初に見た時からなぜか浅草の気配がした。北区の微妙に新しい建物の中にあって、ここだけ急に古くそして賑わっているような感じが、六角堂あたりの雰囲気に通じるものがある。売店(社務所?)をのぞいてみたが、誰もいなくお札もそれらしいものがなかった。ちょっと休もう。

 通りを渡り、前から狙っていた和菓子屋で店先の銀色の缶にたぎる熱々の液体に浸かっている団子を今まさに引き抜いてきたもの(大変危険)を買う。以前に寒い時に通って、あの湯気の出た箱は何だろうと思っていたが、急いでいたので通り過ぎてしまった。今日こそは、大手を振ってあれに近づくチャンスだ。

 ふと思いついて店先のベンチに(きの)「ここに座って食べてもいいんですか!」(女将)「えっ?ええどうぞ」物珍しいものを見るような感じにしていたが、そもそもそのためにあるのだろう?このイスは。最近そんなことする人いなかったからなのか。

 ゆったりと座ってはふはふ食う。目の前をなじみの若草色の市バスが通っていく。ちらほらといる通行人がさりげなくこちらを見てくる気がしたが、昨今の時勢のなか観光客がわざわざ寄るあたりこの店も盛況だねという印象を付けられたら幸いだ。みなさん、これおいしいよ!

 そういえば練り切りを探しに来たのだが、ないみたいだ。今は特になのかもしれないが主に今日食べる餅などを多く売っている。若店主にあれこれ説明を聞いた上で立方体のシナモン芋饅頭?とウサギの餅を買う。(きの)「ごちそうさん」次に隣の漬物屋で赤カブの漬物を買い、あられ屋や金物店を確認した後に、そうだ、こっちの列にもなんかあった。

 通りからでもよく目立つ閻魔様のハリボテの巨像が好きになれなくて中に入ったことはないが、行ってみよう。入ったら奥まっていて狭くて古くて苔むしてて由来がありそうで、いい感じのお寺だった。ひんやりする暗い本堂に1人で立っていると、京都の人が何でも取っておく奥の深さを味わったような気がした。

 急に後ろから参拝者が入ってきて、大声で真言?みたいなものを唱えだした。こういう人真言宗系の寺院でたまにいるけど、何なんだろう。うるさいので少し離れた社務所へ。奥の方から盛んにインコの声がする。自宅で飼っているのかな。(きの)「火伏せのお札はありませんか。」見習いのような頼りなげな跡取りの(作務衣)「火伏せ限定はありませんが」見本の写真を見ると黄色い札の隣に、何やら赤い紙に弓矢の絵が書いてあるお札があった。今までで一番「これだ!」感があった。

 赤いお札は赤十字以上に非日常な気がする。しかし火除けとは書いてない。(きの)「この厄除けの赤いお札。とてもいいんですけど、火事が災いだとしたら、厄をよけるということで代わりに台所に貼ってもいいでしょうかね」(作務衣)「ぐ・・・」突然こんな込み入った質問をされるとは予想していなかったのか、チラチラと奥の座敷をうかがい今にも隠居した親に聞きに行きたいという面持ちで落ち着かなかったが、いいや、ダメだ、ここは自分で対処するべきだと思い直したのか(作務衣)「なんとも言えません」とりあえず返答はしてきた。

 そりゃそうだろう。はい、何にでも効きますよ!というのもセールストークみたいで胡散臭いし、あ、そんな考え方もありますね、と言うなら最初から書いておけばいいじゃないかという話になる。そして、(きの)「愛宕は遠い。近所のお寺からもらいたい」ありがちなアドバイスをけん制して縁を強調し、退路を断つ。(作)「う~~ん。ご判断はそちらで・・・」効能を消費者にゆだねてきた。もうこのくらいにしといてやろう。

(きの)「じゃこれください」あっさり決めたらホッとしたようだった。ご出身はその先の佛教大学かい?大谷?龍谷?立命館ではなかろう。そこに駐車してあるポルシェは誰のかな。これから外国人も増えてどんな客が来るかわからないぞ。温室育ちで平安時代からの寺を守る覚悟はあるのかい?どんな目線から負荷をかけているのかわからないが、とにかくカスハラの練習台にはなっただろう。先ほどの和菓子屋も息子が後を継いでいるようだし、若い世代が古いものを継承し発展していくのは良いことだ。

 御朱印も頼み、落ち着いて筆で書き始める。ほう、細い筆でなかなか字は上手だな。そこでそんな風に戻るのか。最初に意気込んで一文字目を大きく書いて後で全部収まりきるかな。興味津々といった顔でのぞき込んでくる中書くのは気づまりだね。フフ

 書き終わって、さて、(作務衣)「あのお札ですが、かなり大きいのですが大丈夫でしょうか」は?(きの)「どのくらい」(作)「ええとですね。」立ち上がって後ろの箪笥の引き出しから(紙)「ズロロロ」出してきたのが、大きい。確かに(きの)「まぁうちのだいどこ広いから・・・ハハハ」非常識なデカさだ。B4を縦に2つ折りにしたような。これで真っ赤なのは目立つ。こんなの貼る人いるの?

(作)「裏書きしますので(メモ)ここに名前を書いてください」また奥の方から複数羽の鳥の(さえずり)「ピーッ。ピチチチ。」後ろから(マントラ)「ほんにゃらほんにゃら・・・・」集中できない。酒落たつもりで屋号の方を書いたが、急に(きの)「うん?こんな字だったか」ゲシュタルト崩壊が発動。急いでスマホで調べて(きの)「合ってます。こっちの字が汚いだけでした。」人騒がせな客だ。

 

後日:

 貼ってみたら案の定すごく目立つ。普通のお札が表札とかカマボコの大きさだとしたら、これは5倍ぐらいある。買ってきた時から何かに似ているなと思っていたが、大昔の中国キョンシー映画で、老師が額に貼るやつ?そうならそれで却って古代からの様式なのかもしれない。

 効きそうといえば効きそうだが、すごすぎてちょっとでもやらかしたら閻魔様に怒られそうだ。朱色の和紙にべっとりとした墨で刷ってある。それにしても、不思議なマークだ。それぞれに何か意味はあるのだろうか。この毛の生えた雲みたいなものは何だろう。その隣の〇3つをくの字の線でつないだ(きの)「シェア?」

古いお札は、なじみの神社にお賽銭と共に納めた。

 

 

 

 

3では、ここからこのまま進んで裏から船岡山に入ろう。秋のドングリ拾い大会がしたい。旧サル舎の方の登り口に着くかなと思い、なんとなくそれらしい方向に向かって進んで行くと、目測を誤り気がついた時には追い越しそうになっていたので慌てて軌道修正し、健勲神社の石段を左に逸れる。この先に、甘いドングリの木があるはず。去年拾ったのは、ここか頂上の東屋の裏。

 ジョギングの人もいないひと気のない山の裏側で、せっせとドングリを拾う。スダジイでもなく、鞠のような線の入ったまん丸の赤茶色。それらしいのを大急ぎでいくつか拾って山を下りる。さっきからだんだん山全体がしっとりしてきた。通りのマンションの壁の大理石が結露で全面したたっている。すごい湿気だ。今日は暖かい気がする。そういえば嵐山も湯気が出ていた。前日雨だったのかな。

 

肝心のドングリお味は:

 帰ってよく見てみたが、なんか違うような。(きの)「食べてみる?」(娘)「虫がちょっと」嫌そうな顔をされた。台座が狭すぎるとか、もっとまん丸だったとか、去年の写真と見比べてみる。あれはすごかった。スダジイでもないのに甘く、可食部分が多い。割っても真っ白でアクが出る様子はみじんもなく、生で食べれて栗のような味がした。これを救荒食として全国の公園に植えれば、絶対に食べ物には困らない。そのかわりクマがうろうろしそうだが。

 

 

 

 

4:松風が食べたい松風が食べたい松風が食べたい~~~~。今回は別バージョンも試してみたい。ということでなんとごひいきの大徳寺の方は素通りし、本願寺の方へ。西本願寺の向かいの店を訪ねてみる。ここのは大徳寺納豆のカステラ風とは違ってケシの実が乗っている。しかも薄いシート状になっているのが8枚。

 

帰って食べてみた感想:

(きの)「おいしい」400年前の戦の兵糧食らしいが、しょっぱくておいしいと思う。なぜこれだけバクバク食べれるのかわからないが。ベーキングパウダーを使ってないからか。どこかに松風パンケーキの専門店できないかなー。関東勢は赤味噌で膨らましてみましたとか。いやいやうちはクコの実を乗せていますとか。

 

 

 

 全ての用事をやり終え、夕方に勝手知ったる新大阪で余裕で待っていると電話でミッションが課された。(娘)「そのままひとりで天王寺まで来てごらん」てんのう??そうやって初心者を鍛えているだろう。

 

 前回も乗った赤とシルバーのウルトラマン・カラーの電車に乗り(これが御堂筋線なのか)、娘と待ち合わせてオススメだという下町のオリエンタルな雰囲気のカフェへ心斎橋からバスで向かう。どこへ向かっているのか知らないが、しばらく乗ってバスを降りて延々と歩く。

 途中のコンビニに寄ってのど飴を買う。アメが下の方にあったので通路にどっかりしゃがんで選んでいたら後ろに幼い兄と妹が来て、後方から控えめに選ぼうとしているから(きの)「ちょっと待ってね。今立ち上がるから。よっこらしょっと。」2人してすごい見上げてきたが、固いブーツで一旦しゃがんでしまうと立ち上がるのが大変なのだよ。店の外では高校生くらいの娘さんが警察と話し合ってまた店内に入って行った。何か問題があったのだろうか。

 その横を通って巨大な横断歩道を越え、まだ進む。(きの)「どこ?」(娘)「あっちの方」あっちのどこ!?さっきからずっと誰もいない住宅街の中を歩いているのではないのか?こんなとこにあるのか??と思いながら進んで行くと、あった。

 

 古い下宿を改造したという、好きな人はものすごく好きそうな手作り感だ。個人的にあまり食指が動かない健康メニューばかりなので、今日は思いもよらない春雨定食を頼んでみよう。待っている最中に、大工仕事の跡も真新しい奇抜なしつらえや、置いてあるチベットの本などを読む。

 やってきた料理は(きの)「なんだか色んな味がする」乗ってる人参の素揚げや2、3片の彩り野菜に到るまで、全部違うスパイスで繊細な味付けがしてあった。こんな手の込んだことをしておいて、お値段は普通とはやるな。食べてる最中には横から民族調の(音楽)「♪ホヘッヘ ホヘッヘ ヒョウロ~ゥ・・・」笑い出してしまいそうになり慌てて料理に集中する。棚には店主の焼いた手びねりの器が飾ってある。

 ミントチャイというものが飲んでみたい。ドリンクメニューにはミントの種類が10以上書いてある。ほとんどは園芸センターで売ってる苗をまとめて買ってきたようなラインナップだが、タイミントなど、中には知らない名前もあった。そしてペニーロイヤルは入ってない。なぜなら唯一毒だからだ。すごい。知識もいいかげんではないな。これは飲んでみなければ。

 呼んだら、奥から年齢不詳の女将さんが長時間をかけて注文を取りに来てくれた。最初は民族の格好をするのが好きな不思議ちゃん女子かと思っていたが、近づいてきてよく見ると年季の入りようが断然違うようだ。(きの)「ミントチャイを1つ。タイミントってどんな味ですか」(店)「バジルに近いです」ほう。ではそれを。(店)「あの、これ・・・全部入ってます」はい?(店)「全部。だから混ぜたの・・・」なぜ混ぜる!確かにオーデコロンミント(ただの香水)単体が入ったチャイは飲んでみたくないが、それにしても混ぜたら何が何だか分からなくなってしまうではないか。

 まぁでもとりあえずミントチャイは飲んでみたかったので注文して待っていると奥からふかわりょうを善良にしたような店主がすいません、すいません言いながら持って来た。この人があの超個性的な器を作ってる人か。もっと芸術家然としていればいいのに。なぜ必要以上にあやまる。

 ブーツを脱ぎたくないから土間の席にしたが、土間は寒いのではなかろうか。と思いきやファンヒーターが各席にあって暑い。この手の暖房器具は親戚の家にあって正月のお年始に行くと顔ばかりがのぼせ上っていつもフラフラになる。そう思っていたら、なぜか店主が遠くのもう一台をこっちに向けてギチギチ動かしてくれていた。お気遣い大変ありがとう。けどとっても熱い!

 

 この店を選んだ理由の一つとして、看板猫がいるらしい。接客担当の店員という位置付けだ。今日はいないのかな。それとも2階にいるのかな。

 

 今日は店内にはいないと思っていた白黒の猫さんが実はいた。隣のテーブルの下で静かに寝ていた。隣の客も帰る間際に気づいたらしく大慌てでかまって帰って行った。しめしめ。静かになった。存在を確認しつつ見るともなしに見ているとゆっくりと目を1回閉じてきたのでこっちも同じようにする。たまにやつらはこのように目で挨拶をしてくるが何だろう。

 他に聞こえないような声でこっそりにゃーうと鳴いてみたら、不思議そうにこっちを眺めている。こいつは人間じゃないのか?と思っているだろう。ふふ。ヒト科の猫もいるかもよ。そのうち、ふいと立ち上がってこちらを気にしながら向こうの厨房の方に消えた。しかしみだりに追いかけたりはしない。

 店の人が申し訳なさそうにしている。猫好きといったらやたらめったら頭頂部を触りたがると思ったら大間違いだ。外界の汚らしいウィルスが付いたらどうする。こっちは彼女の個性を見極めてからじっくりと話をしていきたいと思っているだけだ。

 

 そろそろ高速バスのバス停を探さねば。JR大阪駅に戻ってきた。この駅のまわりのどこかにあるらしい。ヒドイ旅行社(笑)の案内が不確かでとっぷり日も暮れたビル街を走り回らされる。(きの)「1階に行きたいならその右のエスカレーターの方が。」(娘)「そして右」言うとおりに進んで行くとなぜか工事中の鉄橋の下に展開する三角コーンと電飾ピカピカゾーンに入り込んでしまい(きの)「そっち側に行っても何もないよ。」(娘)「ヒルトンが」(きの)「だからヒルトンはあっちだよ。」

 うろうろ高層ビルを見上げた挙句、結局よく知った四つ橋線の方だった。(きの)「そんな変な風にコの字に曲がるのなら、最初からその横断歩道を渡って右にまっすぐ行けばよかったのに!こっちは駅周辺の地理を知っているのだから最初からどこに行きたいか言えば?」(娘)「そんなの行ってみなければどうなるかわからなかったっっ」ぎゃあぎゃあ言い合いながら数分前にたどり着き、何食わぬ顔でやってきたバスに乗り込む。

 

 席に座って寸評。(きの)「いつもこうですね」(娘)「おかしい。」(きの)「乗り遅れたらどうしてましたか」(娘)「泣きながら大阪で泊まるとこ探す」ずいぶんふてぶてしくなった。

 

今回は、2万7千歩も歩いて翌朝左足のふくらはぎの上がちょっと筋肉痛な気がしたが、気のせいだった。こうして心身共に鍛えられ強くなっていく。

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