きの書評

備忘録~いつか読んだ本(読書メーターに書ききれなかったもの)~

レイチェル・カーソンの「われらをめぐる海」を読んで

2018-07-23 08:49:22 | 書評
前から読んでみたいと思っていた。
 
 挿絵もないのに、読む人の頭の中に動きのいい映像を想起させてくれる。
ただ文学的に美しい言葉を並べたかったわけではなく、
著者の頭の中にある地球を、そのまま文字にしたらこうなったということなのだろう。
 
自然を守らないと!とか一言も書いてないけど、
読めば何でこれを書いたのかわかる。
 
ナチュラリストの聖典だね。
 
 
 やわらかい太古の地球が回っているうちに、太陽に引っ張られて、
どんどん「たぷんたぷん」なっていって、
最後ぶちんっとちぎれて、月になるというところの描写がたまらなく好きだ。
 
月のような重心のズレたものは、地球の引力から離れてもし回りだしたとしたら、
どんなふうになるのだろうというのが前からの疑問だ。
 
 
以下は、この前のSF「竜の卵」の読書感想画(われらをめぐる海には出てきません)。
夏休み~♪。
コメント

竜の卵(ハードSFだそうだ)

2018-07-15 11:34:21 | 書評
 前から題名だけは知っていて、機会があれば「夏への扉」と同じぐらい
読んでみたいと思っていた。
しかし読み始めて、延々と物理の教科書のような説明が続き、
もしや全編こうなのかと危惧しだした頃、
どこかの星の、人間とは別の進化過程を遂げた生物の話になっていって、
面白かった。
 
 挿絵もないし、映画化されてるのか知らないけど、
何も映像的なものを見ないで、本を読んだだけで想像すると、
形を変えられる「ナメクジ」、
もしくは、「アメフラシのような大王グソクムシ」??
 
腹足って何だろ?
 
それが、ヌルヌルで戦闘!?
みんなで農耕!?
ヌルヌルで!?
 
ナメック星みたいなものか。じゃあいいだろう(何がいいのか)。
 
そういえば、ナメクジだったら、彼女とかの区別いらないんじゃあ?
しかし英語では、性別でしか言い表せないから、「 It  」とかでは味気ない。
 
 時間が違うのでは、向こうから見たら、
大きな生き物がスロー再生で何年もかかって、何か言ってくるという
非常にもどかしい状態だろう。
なぜ人間の文明を全部吸収してその先を行って、
それをこっちに教えてくれないのだろう。
お互い知ったうえで切磋琢磨して、文明が進む速度を早めるのも一つの方法だし、
それとは別に、完全に独自の発展を遂げた姿も見てみたいとも思う。
 
 地球上ですらこれだけ違うのに、人類とは違った価値観で暮らすとは、どんなものか。
宇宙社会学が必要だな。
Ethno-centrismどころか、Anthrop-centrismにならないようにしないとね。
コメント

エーリッヒ・フロムの「愛するということ」を読んで、いろんなことを考えた

2018-07-10 09:47:14 | 書評
 愛には技術が必要だとか書いてあったが、いくら愛する技術とやる気があっても、
目の前にOZの魔法使いに出てくる東の魔女みたいな人しかいなかったら、
どうするんだろう。
対象は何でもいいとか書いてなかったか。
値しないと言って誰も愛さないか、
それでも何もしないよりマシということで、だましだまし人生を送るのか。
 
「♪ちゃちゃらっちゃら~ら イ~ヒッヒッヒ!」 
・・・ぜったいヤダ。
 
 こっちの気持ち次第だと言うことはわかるが、選ぶ権利も少しはあると思う。
まだ博愛の意識が足りないのか。
一回、ガンジーとかマザーテレサに聞いてみたい。
バットマンのジョーカーみたいな奴が来たら、どうするのかを。
優しくしてると屠られるだけだとわかっていても、分け隔てなく愛を与えて、
それでも尽きない命の泉のようなものを持っているから、余裕なのだろうか。
 
 
 愛は「覚悟と約束」とあったけど、愛の本質が覚悟と約束なんじゃなくて、
その人は好きな人に対して、覚悟と約束をしただけの話ではないのかね。
じゃあ覚悟と約束が愛の高次なのかと考えてもねぇ、覚悟と約束だけでは無味無臭な気もするし。
そういえば、世の中で愛と名前のついているものの多くは、
だいたい「欲」の字に代えても意味が通る。
 
 
愛って、本来「そばにいたい」ぐらいの単純で純粋な意味しかないような。
 
 
 愛については、ゴキブリのことを考えてみたらよくわかった。
自分はゴキブリは愛していない。
なぜなら一緒に居たくないからだ。
そして、何もしてあげたいと思わないし、こっちを向いてほしいなど何かしてほしいこともない。
ていうか、むしろ何もしないでほしい。
健やかな成長を願ってない上に、できれば生計を共にしたくない。
遠くに行ってくれるよう切に願うだけで、
同じ生き物でも、やわらかな猫さんとはえらい違いだ。
 
 
こういうのはいっつも思うけど、対象から離れてるからよく観察できるんだろうね。
今まさに愛の真っただ中にいる人には、冷静に分析なんかできない。
 
 愛するついでにやってあげたことを投資と考えるから、
見返りがないと言って怒りだして、うまく行かない人が多い、というのはわかる気がする。
むしろ寄付ぐらいの気構えでいた方が。
自分から進んで寄付をしておいて、むしり取られたと考える人はいない。
そんな気がしたら、やめればいいだけの話だし。
断れない寄付は、そんなもの寄付でも何でもない、ただの恐喝でしかないから論外。
 
 
愛はお金では買えないと言うが、
それが、等価交換しかできない経済活動を上回る、人の「気持ち」の強みだ。
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