きの書評

備忘録~いつか読んだ本(読書メーターに書ききれなかったもの)~

洋梨の覚え書き

2022-11-11 13:04:55 | きのたんと大自然

 洋梨の形が好きでよく買ってくる。中学の時に、美術室で静物画の見本に置いてあったプラスチックの置物を見て以来、「なんてキレイなんだ!」心を奪われてしまってもう大変。その梨たちは2種類あって、緑のずんぐりしたのと黄色の細長いやつ。当時日本に洋梨なんてどこにも売っていなくて、この世のどこかにはこんな美しいフルーツがあるのだなと、その絶妙なカーブを眺めまわしてはうっとりしていた。

 

ラフランス

 おそらく緑のやつはこれだろう。一番汎用的な品種だろうから。緑の果物は珍しい。小ぶりでほぼ丸型。ゴツゴツしている。味はいいそうだが、最近見慣れてそんなにテンションも上がらない。10月~11月。たまにサビ色がつく。

 

 洋梨はただでさえ追熟があってめんどくさいのに、ラフランスは熟しても色が変わらない。知らないうちにズルズルになっていたらどうしようかと、近年贈答品の1箱をもらって毎日押したりして確かめていたが、そのせいで柔らかくなったのでは?

 

 音はどうだろう。(きの)「ぽこぽこ」人差し指の腹でペシペシしてみたが、何か違うのか。熟すとデンプンが酵素で分解されて糖分と水に変わるそうだから、もしかしたらぶよんぶよんした水っぽい音がするのかもしれない。スイカ?酵素で分解されて甘く・・・それって腐敗プロセスの第一段階では。

(きの)「ポコポコ・・・ポコポコ」買ってきた8個ぐらいを全部叩いてまわったが、とくに違いはわからなかった。絶対音感を持っていたら「ラからファに変わったら食べごろだ!」などとわかるかもしれない。

 洋梨の食べごろは、品種によって違うから何とも言えない。他に肩の辺りに細かいシワが寄ったら、軸の付け根が柔らかくなったら(毎日グリグリやって確かめるのか?)、匂いがしてきたら食べごろというのもある。色づくタイプは黄色くなるか赤くなるかすればいいが、サビ色は何だかよくわからない。緑主体の毒々しい赤紫になった後で冴えない朱色になるのもいる。

 キウイなどの熟した果実と一緒に置き、エチレンガスを漂わせる手法もあるらしいが、結局のところテーブルの上に置いてあきらかに果物の匂いがしてきたら食べるとちょうどよい。完熟するとねっとりとしたクリームのような格別の何かになるらしいが、もうそうなると水分だらけでつかめもしないし、むいている最中にズルズルになってきたならしい。フルーツと刺身は切り口が鋭くあってほしい。

 温度については、収穫後10℃で何週間の後に4℃で何日で、店頭に並んで買ってきて室温で数日した後で3時間冷蔵すると一番いいのはわかるけど、めんどくさいのでもっと自然に考えて、北国で秋の終わりに霜が来るのでさっさと収穫して倉庫に置いといたらだんだん気温が下がって行き、数個ずつ暖かい居間に持ってきていい匂いのやつから食べると。店ではそれを人工的にやろうとしているのだな。ふむふむ。

 

 

 

カリフォルニア

 大きくて赤い。スタークリムゾンも赤いが、ああいう赤黒いようなのとは違って、生麩や練り切りのもみじのような黄色と赤の紅葉具合だ。そして肌がデコボコ。ラフランスといい勝負。先も尖ってないし、カリンや鹿ケ谷かぼちゃのような大変力強い印象で、肩幅のあるアメフト選手のような体型の割に軸は細い。こんなんでは木から落ちてしまう。サビなし。10月。

 

 

マリゲット・マリーラ

 超早生。9月~10月。黄色くて、いかにもといった洋ナシ型でやたらに大きい。量ったら500gもあった。ラフランスが200gなことを考えると1.5倍だ。そして、なんだか先が尖って全体がつるんとして、クリーム色の肌がのっぺり。首が野太いというのか、何に似ているかというと、はやと瓜とか博多のひよこという饅頭。それか洗ったジャガイモ?この梨特有の点々が少ないのが悪いのか。バーバパパみたいで全然美味しくなさそうだが、味はそれなりの洋梨の味がする。サビなし。

 洋梨のデコボコに規則性はあるのだろうか。最初に買ったのは全面つるりとしてバランスがよかったが、2回目別の場所で買ったものは片方だけが盛り上がっていて、太い茎がU字に曲がっていた。どんな姿勢で枝からぶら下がっていたのか。洋梨は左右非対称だが、どうやら進むべき方向というものがあるようだ。最初に上を向いて花が咲いたところからのスタートだからなのかもしれないが、それならリンゴも和梨もグレープフルーツだって同じはずだ。なぜ洋梨だけが垂れ下がったロウソクのようになってしまったのだろう。

 

 種がない。うぬぬ。おのれジベルリンをかけたな~(恨)せっかく庭に予定地まで決めて、もしこの絵がうまく描けたら植えていいと勝手に自分に約束して、精密なパステル画まで仕上げていたのに。

 そもそも早生は暖地に向かなそう。実が重いから枝を吊ると良いらしいが、そんな磔刑みたいな姿はいやだ。もっと小ぶりの果実が自然に風に揺られているようでないと風情がない。11月の終わりまで霜が来ないから遅くまで収穫しなくて良い利点を考えると、マリーラのような超早生を植えるよりも、逆に超晩生を植えて、それがさらに年を越すことも可能なのではと夢想する。

 コミスというクリスマス・ペアと呼ばれる晩生の種類があるが、お正月ペアというのも乙でよろしい。床の間や三方に巨大ポテトを飾りたい。マリーラの形はいいのになぁ。そういえば、胴体にうっすら紅い頬紅のような箇所がある。

 

 

フレミッシュ・ビューティー

 11月になり、マリゲット・マリーラだと信じ切って何度も買いに行っていた店の洋梨が早生のマリーラの出荷時期を過ぎ、小ぶりになりだいぶ赤みが差しているのを見るにつれ、これは何か違うのではないかと思い始めた。値札に洋梨としか書いてなかったが、調べてみたら特徴的にフレミッシュ・ビューティーなのか。

 日が当たったところが赤くなるから日面紅(ひめんこう)とも呼ぶらしいが、妖怪の名前みたいだ。フレミッシュはベルギーのフランダースから来たとかいう地名のようなもの。どうせならブラッシュ・ビューティー(Blush/テレで顔がポッと赤くなるような)という方が、見た目をよく現わしている気がする。

 

 

 

ボスク(Bosc

 小ぶりな茶色の縦長。北米でよく採れるそうだ。日本では売ってない。よく絵のモデルや写真撮影に使われるいかにも洋梨といったタイプだそうだから、美術室のオモチャはこれだったのか。とにかく細長いと訳もなくテンションが上がる。いつかアメリカのスーパーで夏の終わりに見かけて、ノドから手が出そうな勢いで近づいてすごい早さで買ってきてしまった。

 ラフランスのずんぐり型もいいが、リンゴが丸くてもそんなに感動しないのに、どうしたことだろう。もしも、ものすごく長くてヒモのような洋梨があったとしたら、それを見て自分は大喜びするのだろうか??とにかく、庭で風に揺れているとしたら、こういうのがいい。特に色づいてきたらカラスに狙われるから、赤くならない方が。リンゴを植えた時も、赤くならない青リンゴを植えたりして植える前からカラスのことばかり考える。

 

 

 

王秋

 滋梨(ツーリー)×新世紀梨に雪梨をかけ合わせた栽培の難しい希少種だそうな。本当は、中国梨は鴨梨(ヤーリー)が食べてみたかった。先が尖って茶色い。大きい。追熟の必要はなさそうだが、そうならそうでいつ食べたらいいのか。数日置いておいたが固いまま。ベシベシ叩いてもわからない。味は和梨と一緒。

 

 

 

 

後はコミスとアンジュ(D’anjou/フランス)が食べてみたい。

 

 

カベルネ・ソーヴィニヨン(Cavernet Sauvignon)

 洋梨ではないが、ブドウの覚え書き。赤ワインの品種。いつもカメムシにやられて干しブドウのようになっていた。今年は思いついて袋をかけたら、まともな一握りができた。初めて食べれそうな房がなった。

 11月の初めに取ってまずは仏壇に供えてから食べてみたら、酸っぱくて甘くて渋い。最初に酸っぱさが来て皮の間が甘いなと思っていると口中に渋みが広がる。そして種多し。ワイン用の品種だからさぞかし素敵なものなんだろうと思い込んでいたが、食べているうちにこれは「加工用にするしかない」という言葉が浮かんだ。

 

 そもそも巨峰のような大きさだと思っていたら、デラウェアのような小ぶりな粒だった。しかし養分が足りなくて小さくなっただけかもしれない。そう思った理由は実の付け根がやたらに立派だったから。スチューベンやキャンベルといった昔ながらの小粒の集合体がひしめき合うような雰囲気に似ている。それに比べるとデラウェアの軸は細い。

 もう少し房の中身が増えたら、果汁100%ジュースができるかな。いつかもらった贈答用の津軽スチューベンをどんぶりの中で握りつぶしたらおいしかった。3房ぐらいでコップ1杯の飲み物になった。高かったのに!と怒られたが皮の部分が酸っぱいブドウをちまちまと食べる気になれない。

 

 そういえばシャルドネ(白)が枯れてしまった。悲しい。植えてから10年ぐらいかかって規模縮小していって枯れてしまった。肥料をやったり水はけを考えたりしたが、元からソービニオンに比べて樹勢が弱かった。水が多すぎたのか。薄い茶色になりかかったような果皮が、秋の日差しに照らされて輝く美しいブドウであった。

 

 ソービニオンの根元から最近変に力強い葉っぱが出ている。タキイか国華園かどっちだったか忘れたが、日本の気候に合うようにと山ぶどうに接ぎ木したらしいから、台木が勢力を盛り返してきてるのだろう。これを挿し木にすればヤマブドウがなるのかな。食べてみたい。ヤマブドウならまばらになって、そしてえも言われぬ魅力的な味がするはずだ。

 

山柿:

 供えてあったので食べてみた。小さい。種の形が独特の縦長で、種の部屋が多い気がする。あまりに可愛らしかったので、きっとやさしい甘さがするのだと思い一口かじってみたら、(きの)「もぐもぐ・・・」一瞬遅れて口中にシブさが広がった。

(きの)「うおぇぇ」あまりのことに思わず立ち上がった。部屋の中をうろうろするがシブさはやはりついてくる。CMで油の中に洗剤を一滴垂らした時のように一瞬で広がった。下唇の内側まで渋い。以後膜のように口の中に貼り付いてどうにもならない。恐ろしい果物だ。こんなんではサルもカラスも一口も食べられない。

 タネのまわりは甘かった。もう少し熟せば全部が甘くなるのかもしれないが、ぐちゃぐちゃのフルーツはいやだ。タンニンめ。うちの元からあった柿は多分富有だから、採ったらそのまますぐに食べれる。すべての柿はそうだと思っていた(泣)

 選択肢はお湯、アルコール、エチレン、炭酸ガス、干す、燻蒸。パキっとしたい。かじる時に歯ざわりがぐにゅっとしたらとても嫌。このなかでお湯とアルコールと干すのは柔らかくなるからダメ。後はエチレンと炭酸ガスと燻蒸。硫黄は用意できないし、エチレンは結局熟すのを早めるだけだから残るは炭酸ガスか。木の下に石灰岩を山ほど置いて、酸性雨で反応し始終大量の二酸化炭素を発してくれないだろうか。そんなとこ人間が危なくないか??

 グニグニは苦手だが、いつか 突き出し・・・先付けで出てきた柿バターのグルグル巻いたのが、どうしたことか美味しいとすら思った。あれはよく考えたら干し柿に固まった油を塗って食べただけだから、ちっともサッパリしてないし、体にも良くない。謎だ。あれを考えたの誰だろう。どうして柿とバターが合うと思ったのか。しかも、柿の生クリームや柿のパウンドケーキとかではなくて、直接隣接しようと思うセンスが画期的だ。

 奈良県の食べ物は常温の寿司や黒い漬物など躊躇するものが多々あるが、柿バターなら喜んで食べれる気がする。自分でわざわざ買おうとは思わないが、だれか贈答でくれたらいいなー。

 

 

ゼネラルクラーク

 まだまだ梨の探求は続く。大きい。450gあった。ちょいサビ。青森の南部と書いてある。南部鉄器のとこかな。においを嗅いでみたら、マジックペンのような匂いがした。シンナー?

 そんな変な果物はあるのだろうか。揮発性にも程がある。11月下旬、店頭で一番シワの寄ったのを買ってきて、次の日に特にそんなに柔らかくもないし、いかにもといった芳香が漂ってきてもいないのに食べてみた(もうちょっと落ち着いて待ってみたらどうか)。

 切ったらやわらかい。クリーミーで、これぞ洋梨という口当たり。今まで食べた中で一番洋梨として優れているように思う。そして実にも匂いがうっすらと健在。解せない。

 種はない。なぜなのか。いつもいつも、これはというものにはまともな種は入ってないじゃないか!むやみに植えるなという天の采配か何か知らないけど、種無しスイカは甘くないというのが常識だろうから、種があった方が甘いと思うのだが。

 

ル・レクチェ

 12月中旬に、ゼネラルクラークがちょっとゴツゴツしたようなのを見つけたから買ってみた。味は別に。匂いはよかった。コミスと同じぐらい晩生なのか。種がある。しかも中身の入った立派な種が。ちょっと植木鉢の土の上に置いてみよう。もしかしたら春になって何か出てくるかもしれないから。

 

追記:冬至の2,3日前から、あれ?日暮れが遅い?と思い、早くも四国は暖かくなり始めた。そして大晦日(芽)「ひょこ」何これ?

ソービニオンの鉢に蒔いた何の種だろう(いつものパターンだ)。そう思っているとヘーゼルナッツの鉢からも何やらズロォ~っとしたものが首をもたげてきた。

ヘーゼルこんなにぬらりひょんみたいなのかな。何しろ初めて植えたから知らない。ソービニオンの方はどう見てもブドウじゃない本葉が生えてきた。くっついてる種がバラ科だ。とすると暮れに蒔いたレクチェ?そんなに早く出る??今まで木になっていたものが!?それとも腐葉土に元から入ってた種か。

年を越して、ヘーゼルの鉢のは柿ではないのか。どう見ても何か・・・こう、ぬるっとしている。あの山柿?(きの)「何これ、お菓子の柿の種の形してる~アハハハハ。グサッ」と土に差したところまでは覚えている。

反省:ちゃんと名札を書こう。そして書いた鉢にはやみくもに何でもかんでも蒔かない。

 

 

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柑橘覚え書き3

2022-10-15 14:33:09 | きのたんと大自然

すだちの皮のエキス

 徳島駅の川のほとりで、オシャレな空き瓶の並んだ雰囲気のいい店があったので(きの)「イタリアンかな」入って行って(きの)「ノドが渇いた。この店はアルコールしかないの?」(店)「いいえ、ありますよ。普通のソフトドリンクが」コーラやカルピスにまじって、スダチの炭酸割りというのがあった。スダチは徳島県の名産だから豊富だ。これにしようかな。

 

 外から見えたオシャレな瓶は全部ビール瓶で、クラフトビールの専門店だった。(きの)「この炭酸割りというのはどういったものですか」(店)「スダチのエキスをトニックウォーターで割ります」それはただの酸っぱいだけのドリンクではないのか。(店)「甘さ控えめですよ」(きの)「ほう、ではそれにしよう」なんでそんなに偉そうなのか知らないが、やってきて飲んだソーダが

 

(きの)「うん!これはおいしい!!」

 

 大騒ぎだ。(きの)「この苦みがいい!いいですね、これ」(店)「はぁ」後でシェフに伝えてくれたまえ。フハハハハ。

 帰り道に思い返すとあの味は、世にいうデトックスウォーターなるものが時間が経ってレモンの皮のエキスが出てとても飲めたものではない代物になった時の苦みでは。

 あれを素の状態(砂糖なし)で飲もうとするから苦行なのであって、甘みを足すと急に安らかに飲めるようになるから不思議だ。しかも、皮にはポリフェノールやらが含まれている。陳皮エキスを飲んでいるようなものではないのか。漢方だ。体にいいに違いない。

 

・スダチで作ってみた。最高だった。やはり同じ味。うまいことを考えついたものだ。さすがは飲み屋。こんなものをファミレスで出したら怒られるだろう。スダチにヘスピリジンは入っているのかな。

・レモン。とても香りがよく(きの)「う~んこれは効きそうな」唸りながら飲む姿は、さながら自身の体験を元に研鑽を積む神農のようだ。

・ライム。これも良い。なんとも言えない匂いが。これこそは晩飯時にウヒヒヒヒ。酒飲みとは違う。レモンは国産無農薬があったが、ライムはなかった。輸入品は皮に防カビ剤がいっぱいかかっているだろう。洗ったくらいで落ちるとはとても思えない。それを抽出して飲もうというのだから体にいいのか悪いのか。

・みかん。匂いがしなく味もしない。これが陳皮の原材料のはずだが。香酸柑橘のようにテンションが上がらない。ジャバラでやってみたい。

 

マーコット&ロイヤルハニー

 一緒に買ってきたので味を比べてみよう。どちらもマンダリンと書いてあるが、どちらかといえば手でむけるタンジェリン。

マーコットの方は安定の濃いおいしさ。酸味も少しあって完璧だ。

 ロイヤルハニーは薄皮がちょっと分厚い。味は確かに大変甘いが、それだけ。前に買った時(12~3年ぐらい前)に、確か中心部に蜜の固まりのようなものがあって気になった。今回はないみたいだ。そもそもあの時買ったのが、ロイヤルハニーという名前だったのかも不明。

 

 両方ともオーストラリア産。マーコットはむいている時にとてもいい匂いがした。ハニーはそうでもない。ロイヤルは丸っぽい種が1個入ってたからとりあえず土に蒔いておいた。マーコットの方には種はない。ちっ。

 

ジャバラドリンク(専用グラス付)

 発祥の地である北山村が宣伝をしていたので通販で取り寄せて濃縮原液3本セットを買う。このように定期的に味を確かめないと、どんな匂いだったか忘れてしまう。届いて早速(きの)「フガフガ・・・こんなんだったっけ??」もうわからなくなってしまっている。

飲んでも(きの)「??」苦っっ!!かくなる上は本物の果実を手に入れて気が済むまで嗅いでみなければ。

 

 

璃の香(りのか)というレモン

 何かと掛け合わせて病気に強いらしい。確かにいい香り。ただしデカい。これはオシャレなティーカップには入らないだろう。

 

チャンドラ・ポメロ

 前から狙っていたが、なんのことはない。ピンクグレープフルーツのようなものだ。ただ、どちらかというと文旦寄り。外皮も、匂いも、身ばなれの悪さも。

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柑橘&オランジェット覚え書き2

2021-12-20 20:42:30 | きのたんと大自然

覚え書き1の方に足してきたが長くなってきりがなく、

試した種類もますます増えてきたので新たに項目を作る。

 

Rangpur Lime (ラングプール ライム)

 GOOD NATURE STATION という、高島屋の裏に近年オープンした意識の高さで新風館と争うようなショッピングモールで手に入れた。余談だが以前に訪れた時、2階の黒を基調とした薄暗い店はバリ風エステだろうとばかり思っていたが、今回よく見たら高級ステーキ屋だった。そんな。じゃあ、あのピンクの細長いベッドのような写真は?・・・近づいて行ったら肉だった。表示ははっきりしよう。

 

その柑橘は、下の食料品店で売っていた。姫レモンという名前で流通しているそうだ。小さなレモン形でオレンジ色。

切り口はオレンジ色で部屋数が少なく、丸い小さな種が多く入っている。皮は薄めで果肉はみかんの匂いがするが酸っぱくてそのまま食べられず。

 皮の匂いはちょっと山椒。ミカンの皮の匂いの他にピリッとしてツンとくる山椒の匂いがうっすらするが、不快ではない。山椒の匂いにジキルとハイドのような側面があったとして、こちらはジキル博士の方だ。静謐で善良な粉山椒の匂いで、ふんふんと嗅いでしまう。これは自分にとって良い匂いなのではないか。

また東大和の庭に咲いていた沈丁花のことも思い出したから、花良治の要素もあるのかな。

 果汁を砂糖と混ぜてみたら非常に美味しかった。しかし通常の倍ぐらい砂糖を入れたような気がする。余程酸っぱいのか。少し入れた皮の山椒の匂いがアクセントになり、キリッとしたミカンはひときわ特別なものであるような印象。ヨーグルトにかけたり炭酸で割ると美味。

 

植えるんだったら自分が気に入った匂いのを植えた方がいいと思う。

 マイヤーレモンの強烈なチモール臭や、セトカの山椒ハイド臭(湿った木質/吸い物の新芽を間違って食べた時のような芋虫のピース)、西海のフナなど、人は誰しも嫌な臭いほど嗅いでしまうが後で落ち着いた気分になれない。

 

逆に、違う人が嗅いだら、姫レモンはちょっと・・・となるのかもしれない。

 他の人が嗅ぐとスパイシーでSavory(燻したよう)な匂い、となるらしいから人によって違う上にネットからは匂いが漂ってこないので、こればかりはいくら通販全盛の時代でもどうしようもない。

種はとりあえず植木鉢に蒔いといた。

 

 皮がもったいなので、1/3シロップに入れ、1/3干して、1/3肥料にしよう。乾いてもいい匂いなので陳皮のようにして七味に入れたり、紅茶に入れてアールグレイや通のオレンジ・チャイのようなことにならないかななどと思って干しておいた1/3を、う~んいい匂いとばかりにベッドサイドのテーブルに置いて寝たら布団でめちゃくちゃにし、朝起きたら全部床の上にちらばっていた。

 

 無惨にも野望が打ち砕かれ悔しさでいっぱいだが、やったのは自分なので静かに現実を受け止めるしかない。肥料用の傷がある大きめのをちぎって流用するとしよう。負けない。

オレンジピール(皮の砂糖煮):それを煮た。非常に香り高く素晴らしい食べ物であった。

オランジェット(チョコレートがけ):まだやってないうちにピールを全部食べてしまった。味見のしすぎ。

 マイヤーレモンはみかん×レモンだそうだが、こちらはみかん×シトロンだそうで、さらにもう一段階原始に還ってしまっている。せっかく人はえぐみのある匂いを避けるために改良して改良して温州ミカンにしたのに、

また戻してどうする。

 

 

年末年始の柑橘あれこれ

仏手柑:暮れの京都の商店街で、生け花で言うところの草月流のような草花ばかり売っているエキセントリックな花屋の店先で購入。ガラス戸の向こうで(仏手)「クワアァァッ」よく開いてこちらをつかもうとしている。喉から手が出そうだったが、値札などはない。これは売り物なのか、ただのディスプレイなのか。よくわからないまま用事があったので前日は通り過ぎた。

 翌日に見ると昨日5個だったのが10個ぐらいに増えていた。小さいテーブルの上を占拠し這いまわる黄色いハンド達。これが装飾だとしたら随分思い切ったセンスだ。(きの)「ガラッすいません。これ売り物ですか?」満を持しての入店。(店)「えぇ、こちらが値札で・・・」物陰から小さいプレートを出してきた。うほほほ。どこかの道の駅で飾り物を見たことがあるだけで、手にしたことはなかった。

 (娘)「・・・これを買ってどうするの?」いい質問だ。(きの)「匂いを嗅いだり触ったり、最終的には食べてみたいと思っている(興奮)!」こんな人、東京喰種にいたな。(きの)「これはシトロンの変種で木が未熟なうちは指はあまり開かない。だんだんと成熟してくるにつれてこう・・・パファアァと」聞かれてもいない説明を早口でまくしたてる。早く包んでくれないかな。

(きの)「しかも、切っても中に実はない。」(娘)「???」(きの)「そして!もしかしてこれはシトロンの変種ではなくてこちらが原種だったのではないか。それがだんだんまとまって行ってシトロンになったのでは?う~~ん。昔これを森の奥で最初に見つけた人はどう思っただろう。」さっきから何をそんなにお釣りをベラベラと数えているのだ。いつまでも蘊蓄をたれるウザい客になってしまうではないか。

 やっとのことで白い高級紙にぐるぐるになったものを抱え、飛ぶように家に帰り(きの)「フンフンフン・・・さぁ?」特に何の匂いもしない。ザラザラしている。(きの)「いいことを思いついた!」だいたいろくでもない。

 

(きの)「これで輪飾りを作ろう。」

 

 大丈夫だ。まだ飲んでない。一回年末の集まりで作ったことがある。確か藁(まっすぐ)と柑橘(常緑)とシダ(裏白)があれば。(娘)「全部違くない?」(きの)「もしイスラエルで新年が迎えたくなったらどうするか。ユダヤ教徒のところへ行ってエトログを分けてもらってくるんだ。」はぁそうですかとしか言いようがない。そのままそのタコの足のようなものをつかんで紙袋に入れ大雪で遅れた新幹線に乗って一路博多へ。

 今回は飛行機でなくて良かった。どうせタコの足の先が折れたら嫌だとか言い出して手荷物で持って入ろうとして空港の(検査)「これは何ですか?」(きの)「いい質問だ!」もうAnnoying(迷惑)という言葉しか思い浮かばない。

 

 博多に着いて大宰府に寄りお礼参りをして梅干しを買う。年越しの中州の店の軒先にぶらさがる輪飾りを参考にしよう。

 (きの)「・・あれ?なんか違くない?」カーテンのようなものが真ん中ピラッと開いてる。「輪」は?輪っかで仲良しっていう、それが一番重要なところではないの?初めて見た。あまりのことにホテルの人に(きの)「輪は?」聞いてみた。(ホテル)「えっそんなに珍しい?」本州の他の地域も全部ああだと思っていたようだ。

 もういい。自分の記憶を頼りに、確か家の庭にシダ植物が生えていたはずだ。それと山からツタを引っ張ってきて丸めブッシュ柑を固定。和風なモチの木もあるといいだろう。紙垂を添えて、静かに新年を迎える。(親戚)「あら、素敵なリースねぇ」(イトコ)「お花?」(通行人)「・・・??」何だろうあれはという顔をして通り過ぎて行った。

斬新すぎて誰もわかってくれなかった。

 正月も過ぎ、パラレルワールドの輪飾りも解体し、有効に活用したブッシュ柑を食す時がやってきた。これは1本1本切り離した方がいいのだろうか。イトコにオランジェットを食べさせたいが、悪魔の指のようなものを出されたら嫌だろうか。細長いものと細切れを用意してみた。包丁で切っている間、どうもタコの足を調理しているような気がしたが。

 花屋で売ってるものは食品ではないだろうから農薬がかかっているかもしれない。しかし、あの店の口ぶりでは(店)「寒さでちょっとやられた」と言っていたので、ご自宅の木になったものではあるまいか。大きさもバラバラで、確かに一か所白っぽい霜焼けのような部分がある。

(娘)「それはペットの立ち位置じゃなかったの?あなたはウーパールーパーを買って来たら最後食べるんですか!」やりにくい。お正月の橙を最後ただ捨てるだけならうまいこと料理して食べたらいいじゃないかと思うのだが。

 煮てみた。にがい。レモンの匂いがする。みずみずしかったので毎日段々砂糖をまぶして雪だるまのようにしていったら最後の方は甘いだけの固まりになった。しかし噛んでいるとやっぱり最後の方はニガい。こんなに砂糖があって尚にがいとは。さすが原種。ここまで苦労してちょっとレモン似の強烈に苦い果肉もないような指を食べる必要があるのか。

 

「縁起物だから」

 

この一言でどんなに奇矯な風習も許される。

 京都に戻り、夜にきどった花屋の店先を通ったら、入り口の上に飾ってあった!やっぱり同じことを考えるやからがいるんだ。仏手柑の向きは真横一文字で、左が取っ手で丸まった足が右側だった。尾頭付きの鯛のようなものか。ウチは斜めからサーッと裾をはらうブローチとか礼装のサッシュのイメージだった。橙やミカンは丸いので左右の向きはない。上か下かぐらいだ。

 そういえばエトログ(シトロン)の使用方法はどうなんだろう。Youtubeでラビが仮庵の祭具について説明しているのを見てみたが、ヤシ(まっすぐ)に、マートル(3つ葉が対生/3本)、柳(互生/葉っぱの裏白いね)2本はちょっと低めに束ねて市松模様の繊維状のもので包み、根元にエトログ(常緑)を足して部屋の四隅で振るらしい。葉っぱが左で柳が右だそうだが、これは自分から見てであって、正面はこれと逆か。エトログも本来実がなる時の方向(すなわち上下逆)か。橘の家紋のような状態だな。ふむふむ。Oneness とtogetherness とharmony を現しているそうだ。ふぅん。門松と輪飾りとお祓いを兼ねている。

 

 

マドンナ:プレミアムみかんだそうな。暮れに隣人から贈答品用のを2つもらったが、ホームセンターで知り合いの知り合いの店員から個人的に店の台車を借りて家までレンガを運んでこっそり返す時にお礼として渡してしまったから食べてない。少し固そうな小ハッサク?白いあみあみの入れ物に一つずつ入っていた。

 

スィートスプリング:次の日、裏隣りの隣人から2つもらった。ミカンは出て行きもするがまたやってくる。話に聞いていたが食べるのは初めてだ。手で剥きにくい。酸っぱい。青い内でも食べれると言っていたがうそだ。上に一段輪っかがある。ハッサクとの違いがわからない。内皮の実離れも悪い。

 

まるみ金柑:これも裏隣りから。琵琶のような形。なんだろうこれは。金柑にしては大きい。食べてみたら皮が甘かった。うちの種ばかりの原種のような金柑とは大違いだ。取っ手のような茎が付いていてつまんで玄関でアイスのように食べていたらクロネコヤマトが来たのでそのまま出たら若いドライバーが「何だろう?」という感じで見ていた。ミカンの皮を齧る家というイメージがついてしまったか。

 

本ユズ:これももらった。では他は何ユズなのか。傷だらけで痛みやすく、皮が実と離れている。果汁はある。丸い大きな種がたくさん。香りが良いらしいが、そんなに際立つほどでもなかった。

 

 

父の幼馴染のおじさんのミカン畑:

 もう今は夫妻とも死んで次世代は他県にいるので、誰も世話をしに来る人はいない。夏に見たらツタにまみれていた中から何かのオレンジ色の実がなっているのが遠くから見えた。あれは何の種類だろう。十数年前に種の多い文旦をもらったことがあったが、その木はどれだったのだろう。冬の草が少ない時期に入って行って地面から伸びて幹にからみついている太いツタを何本か切ってまわった。そのついでに落ちていたミカンを拾って食べてみた。法的には「地域のあぜ道近くの環境保全活動のかたわらゴミ拾い」と。決して拾得物の横領ではない。

いよかん。小ぶりなオレンジ色。皮を剥いてみたら匂いがいよかん。普通に食べれた。ただし売ってるのほど皮が厚くない。黒い点々があって見栄えも良くない。

安政柑?黄色い姫レモンのような真円に近い皮の張り。剥いてみたら緑!?どう見ても中身がライムのように緑がかっていると思うのだがどうしてだろう。そして案の定写真には黄色っぽく写る。自分は色覚に自信があったが、少し揺らぐ。しかしよく熟していたと思う。緑・・・。

不明のみかん?皮の薄いはっさく?橙?扁平ではない。特に何の匂いもしない。強いて言うならうっすらピーマン臭。よく熟していると思われるが酸味が抜ける気配はなし。酸っぱくてそのままでは食べれない。皮は貼り付いているが薄皮は実離れが良いので砂糖をまぶして食べると普通のみかん。橘はこんなに大きくない。果汁多め。しわしわした種が数個。

ハンドボール大の文旦 種が多かったやつはこれだろうと思う木はあったが、実はなってなかった。ひたすら葛と格闘。

 

結論:

 みかんは落ちているのが一番おいしいという事実に行きあたった。落ちているものは食べれる状態なのだろうけど(法律的にではなくready to eat の意)、いくら完熟でもそんなものを集めたビジネスが成り立つとも思えない。木の近くに居る人だけの、傷だらけの超プレミアムみかんだ。

 ついでに他の知り合いの独居老人の放棄地の雑木も切っておいた。正月だというのに通りかかる地元民もいない。誰か通りかかって「ご精が出ますね」とかねぎらってほしい。

おーい、ここに人がいますよー。あまりに寂しいからって大声を出してイノシシが来たりすると良くないので早々に引き上げる。

おじさん、またね。

 

 

マイヤー再び:

 知人の知人がくれた。(きの)「フンフン・・・これはマイヤーです!」高らかに宣言。ゼッタイそう。このほんのり防腐剤のような黒カビ・チモール臭。恐ろしいことに最近は慣れてきた。(知人)「は?まいやー?」何?興味がある?知っている限りの説明をまくしたてておいた。

 後日、(知人)「あれ、なんとかっていう・・・向こうに伝えたら喜んでましたよ」わかってくれる人がいたー!という心境か。(知人)「酒にしぼるといいですね。食べてみたら少し甘い」(きの)「えぇ、それレモンとミカンの中間ですから。」なぜ食べようと思ったのか。一応レモンだぞ。

 砂糖で煮てみた。マイヤーレモンの匂いがするオレンジピールのようなものができた。もう自分の中では珍しくも何ともない。安定の墨汁液だ。

 ついでに他のも煮てみた。おじさんの畑にあった正体不明のミカンは、搾って三ツ矢サイダーで割ってみたら橙の匂いがした。橙だったのか。輪飾りに最適なのが近くにあった。生で食べれるとは思っていなかったが畑に長期間置いておくと酸味がほんの少し和らぐようだ。

 しかし、皮は薄く、煮てみたが柔らかくはならない。そして、グニグニ噛んでいると世にも苦手なあのフナのような匂いがしてきた。これってもしかして、古い油の匂いなんじゃないのか。畑に長時間置いておくと表皮の油が酸化するのでは。だったら、セトカや西海プリンセスはそのものが元からそんな匂いではなく、木にいつまでもぶら下げておいたから甘いのか。

 

タンゴ:

 トルコ産だそうだ。皮の橙色が濃いところといい、固そうなところといい、これはタンジェリンだ。いよかんのような照りもある。名前のタンゴももしかしたらタンゴールから来ているのかもしれない。

 2月に売ってた。種はなく、ほんのちょっとの酸味と、あとは水分の多くない甘味。むきやすい。内皮は薄くはない。普通のみかんのような多少しっかりした白。小さい。

 

河内晩柑:

 隣のおばさんが「これ何だろう」と言いながらくれた。どっかの畑に生えてて持ち主の本人も知らないらしい。もう少し銘柄に関心を持とうよ!

 尖っている。黄色い。大きい。中身はオレンジ。皮が薄くスィートスプリングなんかよりよっぽど実ばなれがいい。皮の匂いは・・・ん?どうも柑橘の木に付く常世様のツノの匂いがほんのり。まぁエッセンスを凝縮したということで納得しよう。

 

 

瀬戸内柑橘王国にて

黄金柑:パール柑だったっけ?この黄色い柑橘は1ジャンルあるが特にそんなに大好きでもない。すっきりとした、苦くないグレープフルーツ。

(きの)「このシリーズで湘南ゴールドというのもある。」イトコが前に送ってくれた。(娘)「湘南?」ギラギラした氣志團のような連中のことではない。あの辺りが柑橘栽培の北限だろう。

 

タロッコ:中身にところどころ赤いスジ。パサパサして別に美味しとも思わなかった。

普通のスーパーに売っていた。他にも「はまさき」「アンコール」など名前を聞いたことしかない品種がゴロゴロ。

探求のし甲斐がある。

 

木頭ゆず:旅の途中で見かけたシリーズ①ホットで甘い飲料を飲んだ。ユズはユズだが、その地域のものは品質が良いらしい。買ってホテルの部屋に持ち帰るときに、サラッと漂ってきた匂いはいい匂いだった。

 

ゆこう:②柚香と書く。徳島の土産物屋で絞った果汁を売っているのを見た。ユズと橙の交雑したものらしい。まだ味わってはいない。

 

すずか:③ユズとスダチの雑種。ホテルのデザートで出てきた。悪くはないが特徴的な香りもないような。夏に収穫できるのかな。

 

 

宇和ゴールド:さっぱりしているのだろうなと思って買ったら、これは河内晩柑ではないのか??この形。この色。皮をむいた時のほのかなアオムシ臭。

 

 

瀬戸内柑橘王国II(瀬戸内海には向こう岸もあるのだよ)

百年樹:なじみのスーパーで売ってた。見るなりスムーズなしぐさでカゴに入れ後のものは適当につかんでレジへ。

品種的には普通のネーブルだが、100年以上年経た木になったものをいう。プレミアムみかんの一種だろう。味は普通より甘いらしいが、たとえ多少酸っぱかったとしても、同じ木を100年維持してきた心意気に敬意を払い、やはり買うだろうと思う。

産業樹木は数十年で伐採したりするから、どんなに希少か考えてみただけでも夢が膨らむ。以前はよく売っていて、これを見てから柑橘の探求というか、タンジェリンへの偏執が始まった。帰ってさっそく皮を剥き、みごとな薄皮にうなりながら一句詠む。

百年樹 値段も見ないで 買うミカン 

 

 

ひょうかん:

 オープンしたての意識の高そうなスーパーで買った。ヒョウタンのような柑橘という意味らしい。長い。最初レモンを売っているのかと思った。弓削ひょうかんと書いてあった。産地だろうか。台湾から来たそうだ。文旦の一種なのだろうな。

 剥いてみた。何か一瞬独特の匂いがして、その後グレープフルーツの匂いに変わった。何の匂いだろう。柑橘と全く関係のない何かの匂い。例えばスペアミントの最初の方に人参の種のようなアニスシード臭がするような感じだ。どうしても思い出せない。

クッキー?

あのクリスマスに食べるレモンのアイシングがかかった・・・レモン?甘いレモンの匂い?

 

 古い柑橘ほど由来が不明で判明しないらしい。そういう時に鼻のいい人を連れてきてかいでもらい、ヒントを探るのはどうだろう。そんな方式でやるなら橘の片方の親はピーマンだ。

 

夏津海(なつみ):

 その意識高スーパーで次の週に行ったら売ってた。名前は聞いたことあったが、どうせ温州みかんの一種だろうと思って今まで特に注目もしていなかった。しかし、変なフルーツばかり食べるユーチューバーの青年は、日本の夏津海が一番おいしかったと言っていた。

 見たところ、普通のミカンのようだが。とりあえず買ってみた。むいてみたら、うん、これはタンジェリンだ。中の薄皮も、味の濃さも、ほんのり赤みがかったオレンジ色も。カラマンダリンとポンカンか。言われてみるとカラマンダリンのくすんだ外皮にそっくりだ。古くなったら姫レモンのようなエスニックな雰囲気がした。

なつみ・・・かんとは関係がないのか。夏に食べれるタンジェリン。

 

 この人は日本の名前が付いているが、外国の方だと思う。確かにおいしい。が、しかし彼女の個性と名前がマッチしていない。ラボで理論で作られたようなカラマンダリンと元々外国産の品種のポンカンでは、夏津海と名乗れるだけの由来も歴史もない。ドーベルマンに太郎と名付けるようなものだ。そういえば、うちの愛猫もそうだった・・・。う~~ん。ミスマッチ。ミスマッチなのか。別の問題が浮上して悩み始める。

 

 

 

ひょうかん&夏みかんオランジェット

 夏みかんは裏の方に住んでる旧知のおばさんがくれた。甘夏だとか言ってたけど、この黄色いゴツゴツの表皮!これは真正夏みかんではあるまいか。さっそく皮を煮てみた。あっという間に透き通った。なぜ昔から人々は夏みかんの皮を加工しようと思うのかわかる気がした。

 

 ユズの次ぐらいに早く煮える。あんなに分厚くて固そうなのに。そして、甘い。生の時の酸っぱいだけの味が、砂糖と混ざるとこうも香り高いデザートに変わるとは。

 

 ひょうかんジェットは苦かった。こんなことをしてみたら匂いが際立って最初に何の匂いがしたのかわかるかもしれないと思ったが、ただのグレープフルーツの砂糖煮だ。

 

ジャンドゥーヤ(チョコとナッツとカラメルと)

 まず、始まりは高知の黄金生姜だった。豚の生姜焼きにした後、余ったショウガをジロジロ見ていた。何かに使えないかと画策していたところ、オランジェットの残りの砂糖汁が目に留まった。

 

ショウガの砂糖漬けもいけるな。

 

 しめしめとばかりにスライスして煮始めて、ショウガは固いのでどこまで煮たら柔らかくなるのかもわからず、焦げてもいけないので数日かけて15分沸騰させたり冷蔵庫で冷やしたりを繰り返したらどうにかなるかもしれないと思い、気長に作っていた。ある日、また出してきて沸騰させている間にちょっと冷蔵庫の中をあさっていて、振り返ったら茶色い泡が吹いていた。

 

 しまった。水分が臨界点を突破し、飴化を通り越してカラメル化してしまった。急いでショウガを取り出したが、こりゃ何だろう??というものが出来上がった。さすがに焦げ臭いまではいかないが、香ばしいベッコウ飴に包まれ、絶妙な角度で体をひねったショウガ達・・・。ガリガリする。

こんなお菓子あるだろうか。しかし昔からの名産ですとか言いながら堂々とアイスのてっぺんに挿したらどうだろう。ジャリジャリ。

 

 そして、どうするこの残った大量のカラメル。そうだ!ジャンドゥーヤを作ろう(良からぬことを思いついてしまった)。どちらかとうとプラリネかな。どこかにピーナッツがあったはず。ガサガサ探し出してきて全部ぶち込んで、うん!チョコレートも入れるといい。パンに塗るやつを1瓶投入。まぜてみた。

 

あれ?

 

 なんか全体がうまくまとまらなくて個別の曇った麦チョコみたいになった。何だろう、この豆菓子は。まあいい。むしゃむしゃ。後は鍋のフチにこびりついた残骸に牛乳を入れて溶かしホテルでもらったインスタントコーヒーを足し(きの)「キヤラメルマキアーートぉぉ!!」オレンジのエキスとキャラメルと、チョコにナッツの複雑なフレーバーだ。

気持ち悪い。

 

ココア飲みすぎた時みたいな感じになった。おぇぇ。

 

負けない。次!

 

夏みかんのマーマレード

 性懲りもなくまた創作料理を始める。だって国産無農薬の夏みかんは昨今なかなか手に入らない。大丈夫だ。作り方は知ってる。前に叔母に教えてもらった。同量の砂糖を入れればいい。叔母は見た目で大体同じ感じの砂糖を袋から手でつかんで入れていた。糖分が50%を超えると細菌は繁殖できないらしい。

 煮てみた。中の薄皮が苦そうなので、中身をしぼって果汁だけ入れた。薄皮を入れないとペクチンがなくて固まらないそうだが、どうせ絞った中ににじみ出ているだろう。表皮も数枚薄切りにして入れた。おおっと種も入った。前に作った時は砂糖を入れて七輪の弱火でかき混ぜたが、最初から砂糖を入れたら焦げるのではないか。

 だったら果汁だけ濃縮しておいて後で砂糖を加えたらダメなのか。グラグラ煮て1/3以下になったところで砂糖を投入し、しばらく弱火で恐る恐る煮てみる(何を恐れているのか)。搾った当時はうす黄色であった液体が煮詰まってくると赤みがかった濃いオレンジ色になってきた。おぉ!これが橙色だ。夏みかんの正式名称は「夏代々」。夏にも食べれるダイダイ。萩藩の武士が維新後もいつまでも家が続くようにと願って植えたダイダイ。実に奥深い。

 そもそも、最初に同量入れて煮詰めたら糖分80%とかのジャムができるのではないか?もはや砂糖汁に夏みかんフレーバーを付けただけの強烈に甘い代物ができあがるだろうな。くひひ。ぺろり・・・(きの)「なにこれ!にがっ!!」なんだこの苦渋に満ちた液体は。おかしい。前はあんなに簡単にできたのに。

 それは家庭科の教師が横で監視していたからではないのか。もっと砂糖を入れればいいのか?もう散々入れたと思うが。オランジェットの端から剥がれ落ちた余りの砂糖を足してみる。萩の人たちはどうやって作っているのだろう。これは体にいいのか悪いのか。

 

 そして固まらない。なぜだ。全然できない。こうやってはダメという失敗例をことごとく踏襲したのか。今さらだけど、前は実を全部むいてから入れたような気がしてきた。出来上がりも粒々だったような。それではペクチンが足りないかもしれないと叔母が言い出して、煮ている途中で薄皮の塊を1つ入れて後で引き上げて回収していた気がする。やはり搾ったら苦みも一緒に出てしまうのか。しばらく冷蔵庫で寝かしてみたがサラサラしている。こんなんではトーストから流れ落ちる。

 もう一度煮てみよう。低温でもはや温めるに近い状態で30分以上放置。上からのぞき込んだらあったかい夏みかんの匂いがした。30年前にかいだ匂いだ。できたのかもしれない。水分も飛んでいい感じ。しかし、まだ苦い。もう上から追加のスティックシュガーをかけまくる。

 そのまま置いておいたら砂糖が下に落ちないで表面で固まっている。液体は熱いのに。急にペクチンが効いてきたのか。まとまった時間煮なければ作動しないようだな。ふうん。今何%だろう。もう夏みかん飴のようなものだろうか。いや、考えない方が良い。

明日の朝これを食べるのだから。

 

胃酸グミ

 夏みかんのゼリーを作ろうと思った。前にどっかの菓子屋で売っていたのを買ったら、シャリシャリして不思議な食感であった。うん、あれがいい。ゼラチンを買ってきて作ってみた。

 嫌な予感がしたが、案の定固まらない。タンパク質分解酵素はオレンジにもあるのかな?酸は・・・煮たからってどうにかなるものでもなさそうだ。原液ではさすがにと思って全部で250mlになるようにして水で薄めたのに。ゼラチンは沸騰させたらダメと書いてあったからグツグツしなかったのがいけなかったのか。もう1回煮て激しくかきまぜてみたが、固まらないものは固まらない。炭酸で割って飲んだ。

 では、次はすごく煮た上で、どうしたんだっけ?あ、そうだ。2倍のゼラチンを入れて作ったら固まった!ホラ見ろできるじゃないか。ぶにんぶにんに固まった奴をナイフで切って一口(きの)「あ!」砂糖入れるの忘れた。固まるかどうかばかり考えてた。

 ものすごい味だが固まった。へー。貯蔵してある夏みかんシロップをかけたら不思議なあん蜜みたいになった。でも最後の方(きの)「ぎゅにゅぅ~」顔がゆがんでいく音。こんな安らかな顔で食べれないデザートはダメだ。

 

次。

 

 ちゃんと薄めて、ちゃんと煮て、砂糖を入れたら(きの)「パラアアァァーッ!!」完成した。おいしい。これは普通のゼリーだ。しかし、前に店で売ってたのはもっとスプーンで削ったらシャリシャリと崩れてきた。ゼラチンではないのかな。アガーとか、もしかして寒天?

 

結局、三ツ矢サイダーに搾って入れるのが一番おいしいということがわかった。

 

あとこの1箱ある夏みかんをどうやって消費したらいいんだろう。

コメント

柑橘レビュー(主観による自分のための覚え書き~特徴的な味と匂いくらべ)

2019-12-07 21:48:32 | きのたんと大自然
西海プリンセス:温州みかん系
 初めて聞いた名前。むきにくい。からヘタの方からむいた。
しかし、味はみずみずしく甘い。酸味をどこかに置き忘れてきたような。
繊細ではかなげなミカンだ。
 
 西の海のプリンセスって何だろ??西王母では力強くドーン!て感じで違う。
もっと繊細な。
そう、例えば海の彼方の竜宮城で、乙姫様がそっと手渡してくれるとしたらこれだろう。
 
決してザボンではないはずだ。
 
ネーミングは「竜宮」や「乙姫」の方が良かったのでは。
 
 味の組み合わせ。
見た目は丸い温州で、皮は特に芳香もしない。
剥くと身は八朔のような肩ののっぺり具合い。
袋は薄いが破れない。どちらかというと黄色い。
黄金柑と特徴が似ている。
 
 水分の極端に多いバレンシアオレンジの味。マーコットやらの気配もする。
そして最後に残るかすかなえぐみ。ライムの皮?
何と何の掛け合わせだろう。
温州とハッサクとバレンシアとタンジェリンと陳皮?
不思議なみかんだ。
 
 
追記2021年12月:
またしても生協で売っていたので買ってみた。前回はお買い得な中に1袋だけあったので見つけて何だろうと思って買ってみたが、新しいのだとまた違った味がするのではないか。
 
前は黄色だと思ったが、今度のは少しオレンジがかっている。皮を剥いてみた。結局剥きにくい。少しずつ剥いていくと・・・ん?なんか今釣れたてのフナのような匂いがしなかったか。気のせいか。ベリベリ・・・やっぱり柑橘のいい匂いに混じってかすかに古いゴマ油のような梅雨時のカエルの匂いがする。
 
中身はおいしい。おいしいがこの皮の匂いはなんだろう。さっき食べる前に掃除をしていて汚れを落とす目的で油を手に付けたが、それが関係しているのか。柑橘は原種に近いほどテレピン臭(美術室の匂い)がするらしいから、気になる。次の日に剝いたものは、カエル臭少しと石油ストーブを消した後の匂いがした。今度は手に何もついていない。テレピン油も油だから、なにかの油の匂いということか。
 
見た目は普通の温州みかんと違って楕円形ではない。肩が高くて真円に近い。底にネーブルとかはるかのような丸い何かの跡がある。皮のブツブツが大きくてザラザラしている。このサメ肌はせとかと似ている。調べたら西海プリンセスに関するサイトはなかった。商品名なのに?シールに長崎産と書いてあったので、長崎農協のページを見ていて、特徴が一致するのは原口早生という品種ではないかなと思う。宮川品種からの枝変わりだそうだ。
 
みずみずしさが缶詰のみかんのよう。はじける果肉が詰まっている。タンジェリンのような薄皮が大変デリケートで、普通のミカンの薄皮が綿ではっさく文旦がウールだとしたら、この品種のはバレリーナの衣装とか花嫁のベールでできているようなものだ。もしくは坊さんの夏の袈裟?とにかく透けている。
 
 
ミネオラ、セミノール、マーコット、ロイヤルハニー:タンジェリンのようなやつら
 赤っぽくて固いツヤツヤのタンジェリンは、
いよかんが洋風になって味が濃くなった感じで好きだ。
みかんやバレンシアの青空を連想させる純粋な味と違って、
なにやら陰があるような、えぐみや臭気が、
凝縮された濃い味と共にやみつきになる個性を醸し出している。
 
 次も買おうと思い、日本語の男の子の名前だったと覚えていたら、
スグールだったかノリーオだったか思い出せなくなり、検索もできない。
ロイヤルハニー(ハニーベルだったか?)は、中心になにか密の固まったような茶色いものがあり、
それが気になった。
 
 ミネオラの味が好きだから、皮をオランジェットにしたらさぞかしおいしいだろうと思い、やってみた。
まず、手で剥いてる最中にシンナーのような揮発性の強い匂いがした。
 
気のせいだろう。
 
そんな刺激臭のする果物はいやだ。
なんだか、石鹸のような映像ばかりが頭に浮かんでくる。
これが Soapy Tasteというやつか。
 
作ってみたが、別に。
これはという見るべき所もなく、確かに甘くておいしいが、
それだけだった。
 
ネーブルは普通においしい。近所のスーパーで売ってた百年樹というシリーズがおいしい上に謂れもあって木を大事にしてそうだから好きだった。
 
 
じゃばら:ユズ系
 皮に独特の匂いがある。今までかいだことのないような。
固い濡れた金属をイメージする。
クネンボ臭というらしいが、九年母とはどんなミカンだろう??
見た目は、ユズを縦長にしたような、和菓子の練り切りかシュウマイのような丸い本体の表面に、
ハロウィーンのミニカボチャのようなスジが入る。
メロンパンのようなデコボコした肌に、ユズのような大きい油粒。全然おいしそうではない。
消炎作用のナリルチンが多いそうだが、中身は汁が多く普通のユズやレモンと同じ。
 
 
キノット:なんだろうこれは
 日本橋のイタリアンレストランに、瓶に入った飲み物が置いてあった。
飲んでみたが、酸味がなく、変わった味のコーラのような気がした。
 
 
ブラッドオレンジ:イタリア
 酸っぱいバレンシアのような味。
たまたまそうなのかわからないが、ジュースはトマトか人参ジュースを
うっすら混ぜたようなドロドロ感。
アントシアニンが健康に良いそうだが。
 
 昔、出始めの頃、苗を手に入れて植えたら枯れてしまった。
日本の気候に合わないのか、何が悪かったのかわからない。
以降、日本産のものをスーパーで買って食べてみたが、
やはり酸っぱい。
 
 
バレンシア:スーパーに売ってる普通のオレンジ
 何を思ったか、ある日突然チョコレートがけの砂糖漬け菓子・オランジェットが
食べてみたくなった。
たぶん、陳皮は体にいい→しかしマズそうだな→砂糖かけちゃえ→オランジェット!?
という思考の流れだったように思う。
 
 体に良いとされるポリフェノールであるヘスペリジンが摂取したかったのか。
しかし、含まれているのは温州系のみかんでは?
まぁいい。オレンジ系にはオレンジ系の、なにかありがたい物質があるに違いない。
それに、皮が厚いものでないとオランジェットは作れないそうだから、
みかんでは難しい。
普通はビターオレンジ(ダイダイ)で作るらしいが、店に売ってなかった。
 
 フランスの菓子のようだから、Youtubeで本場フランス人が作っている動画を見てみた。
フランス語はわからないので、全部の言葉が「しゃんしんしゅんしぇんしょん」と聞こえて
何一つ理解できないが、まぁだいたいはつかんだ。
やってみよう。
 
初めて作るが、全部煮ればいいようだ。
 
 途中砂糖水で煮過ぎたのか飴化してしまい、
にちゃにちゃのものが、そこら中に糸を張ってくれた。
それらをはがしてチョコレートをからめて、できた。
 
 透き通った宝石のような棒。
これを(きの)「さっそくパクッ・・・
 
 
あれ?オレンジの駄菓子のガムのにおいがする!」 
 
 
 えぇ!?せっかく天然もので作ってこの感想? 
しかし本当に人工香料のような匂いがした。どうなってるんだろう??
きっと、香料は本物を忠実に再現しているのだと解釈しよう。
 
 自分で作っておいてなんだが、非常においしかった。
これでジャバラジェットのようなものを作ったらどうだろうか。
ナリルチンは、実より皮に多く含まれているらしいから、
効率的に楽しんで消炎物質を取り入れることができるのでは。
 
 
ポンデローサ(ジャンボレモン/大実レモン):シトロン文旦
 なにもかもがスゴイ。
 
 
オロブランコ、スウィーティー、メロゴールド:さっぱりした甘さのグレープフルーツ
 どれもあっさりとした甘さ。きらいではないが歯ごたえが。
どうも柑橘類をボリボリむさぼるのは好きではない。ここにジャクソン・フルーツも加えようか。皮はうっすら何かの匂いがしたが、特にこれといって・・・。味もほぼ無味で種が3個。シワシワで羽付きで小さいグレープフルーツといった感じだ。
 
 
文旦:言わずと知れた黄色いバレーボール
 うちの文旦(おそらく晩白柚)を暮れに収穫して人にあげると
「この大きさ!うひひひ」などと言って抱えていそいそと持って帰る後ろ姿をよく見るが、
2、3か月して「あれはおいしかった。プリプリして」
という思ってもみない感想が返ってくる。
 
あれを食べたのか。
 
 苦いばかりで種が多く、どうやって食べたらいいのかわからないので
正月の飾りだと思っている。
独特のいかにも苦そうな匂いが皮から立ち上ってくるし。
 
 グレープフルーツほどみずみずしくないのでスプーンで食べることもできない。
ジュースにしようにも、固くて搾れない。
 
いつか、早くに地面に落ちた緑の文旦とキンカンとレモンをハチミツに漬けて、
怪しげな健康ドリンクを作ってみた。
炭酸で割ってオシャレなシャンパングラスで飲む。
 
レモンの匂いがして最初のうちはおいしかったが、数日経つと文旦の匂いが勝ってきて、
同じぐらいの量を入れたはずなのに、最終的には文旦を煮詰めたような飲み物ができた。
苦い。くさい。体にはいいだろうが、おいしくない。
 
九州には文旦の皮の砂糖煮という菓子があるそうだが、
これをチョコレートに浸したら、文旦ジェット?
 
追記:2021年。知り合いが、恐る恐る3月の終わりに貯蔵していた文旦を出してきた。去年の暮れに他所からもらったという。全体がブヨブヨして上の方が黒ずみ、もはや怖いもの見たさで剝いてみた。(きの)「ん?別に普通」上の方がちょっと変色しかかっているかなというぐらいで、みずみずしい。どうなっているのかこの果物は。
 しかも、ちょっと甘い。グレープフルーツに近づいている感じがする。収穫してから4か月後に食べる果実って。さすがあの白ワタの威力が如何なく発揮され、中身を今日まで保ってくれた。これが、5月だともうダメだろうという気もするが、柑橘は上から腐ってくるので、もしかして吊るして逆さまにして地下室のようなところに保管すれば、初夏のころにむさぼれるかもしれない。たくさんの球体がスイカネットでぶら下がり、冬を越すところを想像すると愉快だ。
 
 
ルビーレッド:ピングレープフルーツ
 アメリカでOcean Sprayと書いたブランドで
100%ジュースの瓶を売っていたのがおいしかった。
グレープフルーツだけで甘いとは、やるな。
ミニッツメイドもなかなかのものだが、あれはマスカットをまぜている。
 
 
夏みかん:はっさく系(文旦みかん)
 今スーパーで売られているのは、甘夏が多いらしい。
甘夏はオレンジっぽいが、萩で実際に山積みにしてタダでどうぞ~と気前よく配っているのは、
もう少し黄色い。匂いもすでに苦そう。
 
 小学校の国語の教科書に出てきた「これは何の匂いですか」で始まる
タクシー運転手の話では、どんなにいい匂いかと思っていたが、
そうでもなかった。
 
 小さいとき萩に行って山のようにもらってきた真正夏みかんを、
家庭科の先生だった親戚の叔母が、外の七輪でマーマレードにしてくれた。
やけに黄色かったのを覚えている。
 
 数年前、山口県の青海島まで、夏みかんの原木を見に行った。
民家の裏にひょろっと生えてた。
思ったより背の高い木で、守るのは畑にいる小柄な婆さん一人。
あまりの普通さに「これでいいのか?」と思った。
 
これがすべての元なんだ。
 
 維新後の武士の救済策も、今白壁から出てる観光用の木も、
お土産のマーマレードの缶も全部。
波打ち際に転がっていた変なみかんを、植えてみようと思ったその気持ちが
すべての始まりだったんだ。
 
じつにロマンを感じる。
 
我が果樹園の構想にもおのずと熱が入る。
 
 
ブッシュ柑:シトロン変種
 道の駅で見たことがある。
売店のおばさんに果肉はないと聞いてショック。
何のためになっているのかこの果実は。
名前に仏手とかつけるから、その動きがゾワゾワこっちに迫ってきそうでコワイのであって、
フラワーなにがしという方向の名前にしたら、エキゾチックでいいと思う。
 
 
獅子ユズ:文旦
 見た目はゴツゴツの巨大ユズ。
味はゆずではなく、はっきり言って文旦だった。
 
 
安政柑:はっさくの一種
 近所のおばさんが「今はあまりない」と言ってくれた。
黄色いはっさく。安政の頃から生えているのだろうか。
 
皮の匂いは独特だ。花良治に似ているのではないかと思った。収穫してからだいぶ経ったのは甘く、グレープフルーツに近づいているような気がした。
 
 
湘南ゴールド、日向夏:小さい文旦?
 湘南ゴールドはゼリーを食べた。果肉(果皮?)が入ってるとこだけ苦い。
これが関東でできるユズ以外なのか。
親が黄金柑と温州らしいから、西海プリンセスと同じような構成か。
 
 日向夏は、どっかの試食で食べた。
白いワタの部分が食べれるそうで、面白いと思って飛びついて食べてみた。
見た目は小さい文旦のようで、ワタが食べれるのはすごいことだと思ったが、
食べてみるとそんなに驚く程でもない味がした。
 
この黄色くてさわやかに甘いシリーズは確かに1ジャンルだ。
 
2021年5月。また買って食べてみた。したたる果汁。むいた皮の匂いをよく嗅いでみた。花良治?とも思ったが、キンカンに似ているそうな。しかも緑の金柑。調べたらDNAは橘×不明の親だそうな。 なんだろう。橘より大きくて変な匂いがして黄色いツルツル・・・文旦ではないのか。
  
 
マイヤーレモン:くさい
 菊池レモンやグリーンレモンとも。
レモンとみかんのはずだが、切ってる最中から墨のようなチモール臭がした。
ハーブのタイムの匂いだ。包丁がさびていたのではないか。
 
 娘は山椒の匂いがすると言い(山椒はミカン科)、
親戚の叔父さんはミカンの匂いがすると言った。
なぜバラバラ?色はこんなことにはならない。
 
 一事が万事こんな調子では、物事は何も伝わらないだろう。
実は人間はみんな、鼻に違う種類のレセプター(受容体)を持っているのでは?
 
youtubeのナイーブ青年は薬の匂いがすると言っていた。やはり変だと思う人もいるんだ。
 
追記:2021年7月。近くのスーパーで買ったニュージーランド産のは良い匂いがした。レモンともミカンとも言えない、なにか別種の爽やかな匂い。三ツ矢サイダーはマイヤー味出してくれないだろうか。これならマーサ・スチュワートが気に入った香りと言われても納得する。じゃあ前のは何だったのだろう。こっちの鼻が慣れたのか。
 
 
すだち:なんかくさい
 切っている最中からしびれた甘い酢のような、
顔をひねる有機的な臭気が。
和食はこれを魚にかけるのか。
 
すごく苦手だ。
 
 病みつきにならない。キーライムパイの代替として、
形の似ているスダチを勧めてくるアメリカ人がいたが、無理だと思う。
 
(Ichang-gensis×mandarin×橘byナイーブ青年)ここにも橘が!カボスと同じ始祖で温州が臭いと思ったことはない。そうすると橘か?小ささだけを受けついだ訳ではないのか。
 
 
カボス:かなり原種に近いらしい
 臭橙と書くらしいが特に臭いとは思わなかった。
自分にはこのタイプの匂いを受け取るレセプターがないのか。 
 
 柑橘は原種に近いほど臭いらしい。
野生種には、とてもではないが食用に向かない臭気を持つものがあるという。
ぜひ、かいでみたい。味はもはや二の次だ。
(Ichang-gensis×bitter Orange橙byナイーブ青年)
 
ヘベス:おだやかな香酸柑橘。大分。
 
ゆず吉:山口県産。そんなに「これは!」という程特徴的な匂いがするわけでもない。
 
 
カラマンダリン:前から気になっていた。
 カリフォルニア大学リバーサイド校の教授が作ったらしい。あの辺の地名はオレンジ・カウンティー(郡)などといったものがあるぐらいだから、大規模に栽培してて、きっと柑橘専門の部署があるのだろう。そこの先生が作ったのなら、さぞかしおいしいだろうな。
 
 見た目は、はっきり言ってパッとしない。アグリフルーツほどひどくはないが、ツヤとか特異な形、目を引く色などはない。なんだか古いミカン・・・。
 
 しかも、タネがあるのがネックだそうで。なぜその教授はこれを作出したのだろうか。むいてみる。確かに手でむけるが、ミカンほどむきやすいわけではない。中身は、面白いことに見事なタンジェリンだった。
 
 わかった。その教授は温州ミカンの剥きやすさと、タンジェリンの味を1個の果実に詰め込みたかったんだ。これぞ究極のオレンジ!と言わんばかりの組み合わせだ。
 
 そして、市場でミカンの出荷が終わった4月、5月に実るとは。かなり特異的だ。そういえば、「なつみ」の基になった種らしい。Youtubeで世界のヘンテコなフルーツばかり食べているチャンネルの、ナイーブそうな青年が言うには、一番おいしかったのは、日本のなつみだったとか言ってた。
 
 まぁ、美味しかったが、それならタンジェリンを食べればよいのではないのか。珍しいので、皮の風味も確かめたい。オランジェットだ!さっそく煮てみる。
 
 ・・・。匂いもいいのだが、これはミカンの皮だorz 手でむいたので、裏側の白い脳みたいな部分が目立ち、どうも食欲をそそらない。よく暮れのコタツの上にティッシュと共に放置してあった。あのゴミの模様だ。
 
 きっと、品種改良のかけあわせの過程で、タンジェリンの剝きにくい皮と酸っぱいミカンなどの組み合わせも出てきたはずだ。しかし、今後の進化の基になるかもしれないから、今役に立たないからと言って捨ててしまうのは惜しい。
 
カラマンシー(四季橘)とは違うらしい。
 
 
タチバナ
 右近の橘など「柑橘」という言葉の元になった小みかんだ。
紫宸殿や大宰府のは柵に守られよく見えない。
一度だけ近づくチャンスはあった。
 
 大阪のお初天神にたわわに実っていた。
あれこそが橘だな!と思い駆け寄ったが、
いかんせん横で一心不乱に実を摘み取るドイツ人観光客の中年女性の必死な姿を見ていると、
とても一緒になって観賞する気になれなかった。
 
 いつか食べてみたい。
神世の話に出てくる、非時香菓(ときじくの-かぐのこのみ)を。
橘続き:
 植物園に生えていた。柑橘エリアでないところにひっそりと生えているのでわかりづらいが、大きな木だった。落ちてる葉っぱを拾ってちぎって匂いをかいでみたら、ピーマンの匂いがした。
 
 自分の鼻がおかしいのか。その後ずいぶん考えた。
しかし家にある実生ジャバラ(たぶんそう)の葉も、よくそんな匂いがする。
謎だ。
 
 
元寇(げんこう):
 生協で売っていた。前に西海プリンセスも売っていた。
生協はどこから仕入れてくるのか知らないが、たまに珍しい物を売っている。
 
名前が、確かこれは昔のバイキングみたいな意味ではなかったか。
それを商品名につけるとは、どういうことだろうか。
 
「長崎のかくれキリシタン村に自生していた」といういわくがとても良い。
ジャバラ以来のヒットではないのか。
 
 実は小さく、匂いはミカン。種が多くて味は酸っぱい。
ミカンの形をしているが、むきにくい。外観はザラザラしている。
学名のreticulata(網目/むきやすい)の恩恵にあずかっていない。
これと言って特別な匂いがするわけでもなく、しばらく置いといてみた。
 
 熟した頃に切ってみたが、酸味は健在で、
ひとつもまろやかになろうという気配はない。
黄色くなるだけで、オレンジ色にはならなかった。
憎たらしい程みずみずしい。
 
 皮を手でむいている時に、ふとなにかラベンダーのようなベルガモットのような、
ハーブの匂い。何かはわからないが、カルダモンとか、そういう爽やかな、西洋の気配が一瞬した。
プルメリアのピーチミントか、芳香性のあるバラの匂い。
酒に入れるといいだろうと思う。
 
 キリシタンの宣教師が持ってきたオレンジと交雑したんじゃないだろうか。
そう考えるとロマンがある。
 
ポンカン:
 店でイヨカンの隣にポンカンが売っていた。
ふと先日買ったイヨカンが酸っぱく、自分は今までイヨカンが好きだと思っていたが、
もしかして違うかもという疑念が頭をもたげ始めていた。
 
 だって、八朔っぽいし。自分が好きなのはタンジェリン系のはずなのに、
一向にその気配はない。
前にこれはおいしかったと思って名前を憶えていたのだが、
もしかしてこのように隣に並んだイヨカンとポンカンの札を
読み間違えたのではなかろうか。
イヨカンの皮の匂いは好きなのだが。
 
 買って帰って食べてみる。ゴツゴツしたオレンジ色の縦長。
剥きやすい。非常に実離れが良い。
そして、あきらかにタンジェリン系のしわが寄ったガーゼのような弱々しい内皮だ。
甘い。けれど、あまり特徴的な匂いはない。
こんなんだったら、ミネオラかネーブルの方が。
う~~ぬ。微妙だ。
 
 
天山プレミアム:
 オレンジ色が濃いみかんだったから、何か違いがあるかと思い買ってみた。
甘い。ものすごく甘いのだが、ただそれだけで酸味はない。
皮も特に特徴的な匂いがするわけでもなく、普通の小ぶりなみかん。
 
 
花良治(けらじ):
 北野天満宮に梅を見に行き、歩いていたら郊外に大きな店舗の生協があった。生協にはよく珍しい柑橘を売っているので、ここはどうだろうかと思って入ってみた。ポンカンの隣に袋に入って売っていた。喜界島の島みかんと書いてあった。生協の流通ルートは謎だ。
 さっそく近くのわら天神に登って行って誰もいない社のベンチでむいて食べてみた。味は酸味のない甘いみかんだが、皮の匂いが独特だ。今までにかいだことのない、何の匂いに似ているかも言い当てられない。古いレモン?昔のどこかの景色を思い出した。小さい頃住んでいた東大和の空き地。こういう記憶はかなり頼りになる。沈丁花?
 黄色いのとすこし橙がかったのもある。大きさはハッサクとユズの中間。頭頂部にかけて少し盛り上がっていっているのもある。皮はむきやすいとは言えない。貼り付いたユズ(実離れが悪い個体)みたいだ。袋に「香りが良くジャムにマーマレードに」と書いてあったが、ベルガモットと考えて紅茶や炭酸に入れてみたらいいのではないかと思う。
 内皮は分厚いが、あまり気にならない。シブ味という成分をどこかに置き忘れてきたような、ただただ甘い春の平和主義者のような味だ。
 
 何個か食べて、ふと思い至った。これ日向夏とかのあっさり甘い系ではないか。見た目も黄色いし。相変わらず果皮の匂いは謎のままだが、植えるかどうするか。種は本体に1個だけ入っている。カエデの種のようなプロペラ付きだ。原種っぽい。とりあえず、この貴重な皮を捨てるのは惜しいので1cm四方に切ってみた。だからなんだという気もするが、保存のため半分砂糖漬けにして、半分干してみよう。
 
 一晩経ち、皮の匂いは健在かな。(きの)「あれ?」この匂いは。フンフンフンフン・・・(きの)「プラスチック?」そんなわけあるかと思って落ち着いて嗅いでみたが、どう見ても新しいビニール製品。なぜこんな匂いがするのだろう。生の時は良かったのに。これを植えるかどうするか、非常に悩む。完全に乾いたら、ジャバラの匂いを思い出した。違うかな。
 
 ちらっとネットで調べてみる。「柑橘最上、No1ともいわれる芳香」う~む。剥いている最中に漂ってきて目に入る。確かにすごい芳香だ。抗がん効果のなんちゃらを含み、由来は2つ。
 
 1:200年前に誰かが台風の際に漂着した島に生えてた苗木を持ち帰って植えたところ、喜界島の気候で突然変異を起こした。伝説風だ。
 
2は:大学の研究結果。種の親はクネンボで、花粉の親は島ミカンではなかろうかと。科学的だ。そうすると、あれのどこかがクネンボ由来か。クネンボはジャバラの親とも温州ミカンの親とも言われている。独特のクネンボ臭というテレピン油のような松脂臭があるらしいが、あのビニールのような香りがそうなのか??
 
年々収穫量が減ってるそうだ。オランジェットには向かない。
 
 
 
ついに橘:
 神社の隅に落ちていたのがあった。今までもぎ取るのはどうかと思っていたが、さすがに落ちているのを(しかも半分腐っている)もらってくるぐらいならいいだろうと思い、ひとつ拾ってくる。
 小さいミカンみたいな扁平な実をナイフで切ってみた。外皮は薄くてつるんと照り輝き、熟れたキンカンみたい。コロっと中身が出てきた。実離れが良すぎる。
 肝心のお味は(きの)「べべべべ!!!」酸っぱかった。すごく酸っぱいし、後まで口の中がピリッとした。田道間の守はなぜ「これだ!」と思ったのだろう。南国の果実を持ってくるなら、別にランブータンでも良かったのでは。まさか可愛かったからではないだろうな。砂糖をまぶして食べてみたら、普通にミカンの味がしておいしかった。
 
砂糖をまぶせば。
 
 大昔は砂糖はなかった。これが菓子の祖らしいが、酸味しかないぞ。どうする平安時代。葛の根から取ったささやかな甘葛煎で太刀打ちできるのか。まさか金柑みたいに皮ごと食べるのか??大体、天竺(インド)やら南の国から持ち帰ったと明言しているのに、日本の固有種という説明はおかしいだろう。もらってきた先にはもう残ってないのか。と思ったら台湾に自生。田道間守は台湾まで行ったの??良く帰ってこれたね。しかも帰ってきたら頼んだ帝はもう死んでるし(悲)
 
 なぜ今はこれを香酸柑橘類として焼き魚の隣に置いたりしないのかな。みやびで良いと思うが。温州ミカンみたいな粒が口の中に感じられた。
 
 そして、問題の果皮だが、皮がピーマンの匂いがする。どう考えてもピーマン。しかも、新鮮なピーマンだ。植物園の葉っぱもピーマンの匂いがした。伝説の果実にふさわしいのは、やはり澄んだジャスミンのようなかぐわしい香りではないだろうか。ピーマンて。種があったから植えてみよう。実の小ささに反比例して、樹高は意外にもかなり高くなるようだ。
 
 
麗紅(れいこう):
 名前だけは知っていた。濃いオレンジ色でタンジェリンが入っていそうだから、前から食べてみたかった。ふと見ると、スーパーで売っていたのでそのままカゴに入れ、流れるように買って帰って食べてみた。すごい扁平。餅っぽい。そしてヘタのまわりに筋がある。菊花状とでも言うべきか。マーコットが親だそうだ。なるほど、たしかにスジがあった。そして、大きい。巨大鏡餅などの上に飾るとめでたくて良いのではないかと思ったが、出回るのは3月前後か。
 
 皮の匂いは・・・皮の匂いは、う~~ん。シンナーと接着剤をまぜたような。まったくいい匂いいとは思われない。中身は普通の甘いミカンだった。
 
 しかし、何だろ?あの匂い。生のグリーンピース。鮭の皮?いずれにしても、どうしたのか?としか思えない匂いだ。
 
清見(タンゴール)とマーコットを掛け合わせたようだ。やはりか。皮が橙色だという以外は、温州ミカンの性格が強く出ているように思う。
 
扁平のミカンの目的は何だろう。なっている枝から垂直にボタンッと落ちて動きたくないのか。そこがちょうど親の木の範囲のギリギリ外で、そうやって10万年ぐらいかけて少しずつ広がっていきたいのか。それとも房のデコボコをフルに活かして、フレンチクルーラーのような重機のタイヤとなって、縦に斜面を転がり降りたいかのどちらかなのか。小鳥に留まって食べてもらいたいのか。
 
 そもそもレモンのように円錐形だとつつくのがむつかしいし、酸っぱいと鳥さん達の助けは得られない。あの尖った部分でグサッと地面に刺さって、そこから一歩も動きたくないのか、もしくは横に転がりたいのだろう。うちの文旦の実を、一口かじってやめていたカラスがいたが、「食べるに値しない」と判断したのか。来られたら来られたで迷惑だが、途中でやめるとは失礼だ。
 
 遠くに行きたいのなら甘くすればいい、という法則をまったく無視したシトロンと文旦は、粘り強くじりじりと進むことを決意したのかもしれない。
 
 
不知火(しらぬい):
 デコポンという名でも売っている。どっかの家の裏庭に実ったとか、決死の思いで外国から持って来たとかの謂れもなくて、現代人が技術力で品種改良して作出したものは、あまり心情的に思いが寄らない。と思って今まで買わないで来たが、最近売り場の面積を増やしているようで、山積みでばら売りしていたので1つだけ買ってみる。
 しかも、どうせ買うなら一番それらしいものをと思い、ものすごくゴツゴツした取っ手が付いたようなのを選んだ。持つとブヨブヨと中で実が離れているような手ごたえがあったが、はたして、このツルツル全盛のミカン界においてそこはかとなく Zombie 感がする個体のお味はいかに。
 皮の匂いは先般の花良治(けらじ)に似ているような気がする。どちらかというと良い匂いだ。取っ手がないからと選ばなかった個体のほとんどに、麗紅のような菊花のスジが入っていた。スジが入ったものは、割とどっしりする傾向があるようだ。
 
味は、うん、納得した。
 
 この一言につきる。なるほど、これは人が好むだろうと思う。ドラマチックな歴史がないので個人的にのめり込んで応援しないが、恐ろしい見た目と酸味で出荷はあきらめて置いておいたところ甘くなったという逸話に、少し近寄る理由を見出したような気がする。失敗だと思ったものを捨てずに取っておいたんだね。その試験場の人たちの愛着に感謝して、これからは柑橘を選ぶ時に食わず嫌いの可能性を考えてみることにする。
 
 
清見オレンジ:
 見た目は普通のオレンジ。細かくちぎれるが、かろうじて手でむける。中身はジューシーな温州みかん。皮の匂いはレモンのような刺激のある良い匂い。これをむいて匂いのあるうちに身を食べると良い。中身だけ切って出されたら、ただのおいしいミカンだ。
 気さくな清廉。このイメージだ。慶應でも早稲田でもなく、お高く留まらないキヨミさんは明治大学出身って感じだ。砂糖で皮を漬け込んでみたい。お友達にハルミやナツミちゃんもいるようだが、どうなのだろうか。
 
せとか:
 さぁ問題はこれですよ。大きめの扁平の手触りが少しザラついてサメ肌っぽい。むいてみたら・・・(きの)「うっ・・・これは!!」山椒?しかも山椒の若葉の匂いだ。ミカン科の祖先の性格を色濃く受け継いでいる。
 中身はものすごく甘いハッサク。製作者は、なぜこれをいいと思ったのか。しかも一緒に買ってきた清見より高い。皮のインパクトが大きくて、表面の細かいつぶつぶばかり見てしまう。もしかして、葉っぱは小さく5枚ぐらいに分かれているんじゃないだろうか。これは役者で言ったら癖のある名わき役だ。気に入ったら病みつきになりそうでおそろしい。オランジェットには色々な理由で向かない。
 
後日、せとかの親は橘だと知った。どの部分が由来だろう。匂い?調香師の人が書いた本でにおい成分を化学分析した結果、「グリーンな匂い」という穏やかな表現でまとめていたが、やはりピーマンのような青臭さがあるのではないのか。陳皮にしたら良いのかもしれない。
 
ゴールド・ナゲット:
 6月初旬。話だけは聞いたことがあった。甘いらしいという。見た目の割に。名前が「砂金の粒」?なのにオレンジっぽい色だと思うからタンジェリン系では?売っているのを見かけて飛びついて光速でレジへ。4つで800円ぐらいした。高いと思うが希少だしな。食べてみたが確かに甘かった。普通のミカンが糖度12でデコポンが13に対して、14,15,16のような甘さだそうな。
 甘いが酸味がない。酸味とのバランスがいいのはやはりミネオラだと思う。甘味ばかりだと味が寝ぼけて気品が感じられない。皮はむきやすい。黄色いオイルがいっぱい手に付く。その割に内皮はパサパサしているが中身は意外とジューシーだ。粒の一つ一つが大きく、ハッサクや甘夏の方に近いように見える。
 香りは可もなく不可もなく。セトカのように原始に返ってしまったような匂いがするわけでもなく、花良治やライムのような独特の芳香が漂ってくるわけでもない。種はない。
 とても良い子さんの優等生だが、どうしてこんな見た目なのか。なんというか、こう・・・・Zombie Queen という表現しか出てこない。一番デコボコの不知火よりすごい。温州みかんのつるりとした丸さとは対極の位置にある。
 もし種が入っていたら、ぜひぜひ植えてみたい。そして、なった果実の中から一番ぼこぼこの種をまた植えて、ビッザリーア(イタリア貴族のキメラ柑橘温室)みたいにして末永く温存したい。と思ったら、入ってなかった。残念だ。
 
 一体あのデコボコはどこから来たのだろう。ナゲットは不知火(デコポン)の流れを汲んでいるらしい。デコポンは清見とポンカン。やはりポンカンか。あれは確かにちょっとゴツゴツしている。それがデコポンで開花し、ナゲットで遺憾なく発揮されている。というか、もはやそれがメインみたいになっている。
 
 
ダブルマーコット:
 6月初旬。マーコット(3月)とは違うらしい。ダブルて、マーコット×マーコットは、それは普通のマーコットではないのかと思っていたが、別の品種らしい。小さくて種がない。マーコットは種があっただろうか。きれいに手でむけて、タンジェリンの濃い甘さ。カラマンダリンとどう違うのだろう。
皮の頭頂部にちょっと菊花模様みたいのあったぞ?マーコットにもある。
 
 
シークヮーサー:
 酸っぱいものを食わせようという意味の名前らしい。8月の終わりに薬味売り場で見かけた。さて、その香りは。長いこと沖縄で愛されてきた香酸柑橘類なら、さぞかし良い匂いがするだろうと思って小さな果実をスパっと切ってみたら、(きの)「これは橘のピーマン臭ではないのか」
 果実の部屋の数が少ないところは、ライムや、キンカン、橘に似ているが、橘ほど中身がコロリと出てくるわけでもない。種が多く、ただ酸っぱい。酒に入れるなら何か特徴のある匂いがした方がいいんじゃないのか。
 知り合いが、キーライムの代わりになる小さい柑橘が日本にあるようなことを言っていたが、これのことだったのだろうか??スダチはいやだ。けど、特に生のピーマンの香り以外しない。そんなパイは万人がいやだろう。遺伝的には近縁らしいから、似たような匂いがしてもおかしくはないが、違いがわからない。
 砂糖をかけて食べてみた。橘ほど「おぉ!」という煌めくような気分がしなかった。これだけ有名で、なんなんだろう。まだまだ探索は続く。
 
 
カラマンシーとクレメンタインの違い:
 
どっちも crmnthy という子音に違う母音を付けて読んだだけという気がする。ショコラとチョコレートが同じように。エジプトの象形文字の読み方だ。
 
カラマンシーのソーダが、ヴェローチェというカフェで今絶賛売り出し中だそうだ。(きの)「しかもメガサイズだってよ」あのスペインと何の関係もないのにグランデだとか変ちくりんな表記のとこよりストレートでよっぽどいい。
前にふらっと入って食べたパンナコッタのプリンが美味しかったなぁと思い出してメニューを見ていて発見した。
 
いつ飲みに行こうか楽しみにしていたが、もう一回メニューを見直してみて絶望的な記述を発見した。カラマンシーの「酢」
 
なぜ発酵させた!?(泣)
 
そのまま絞って入れればいいじゃないか。飲めないことはないが、気が進まない。酢のメガサイズ。
 
美酢という韓国のシリーズらしい。ザクロなどもある。(娘)「スムージーに行かなかった人がこっちに行く。」どこにも行きたくない。
 
前にお祭りで喉が渇いて試飲を勧められて飲んだら(紙コップ)「黒酢!」どうだまいったかという表情で飲んだ後のコップを受け取ったあの人は、祭りをどうしたいのか。
 
とにかく酢は飲み物ではない。体にいいことはわかるが、飲み物はもっとおだやかなもので作ろう。
 
カラマンシ―は沖縄でシークワーサーの代わりとして使われるらしい。ということはピーマンの香りではないのか?韓国は柑橘と言ったらジェジュ島のみかんがあるのだから、それを使えばいいのに。
 
 
クレメンタインは、ただのマンダリンだ。それも地中海の方に行ってしまったマンダリン。
 
 
華たちばな
 華麗なる名前の割に特に新品種でもなく、ただ糖度の高い温州ミカンを選別しただけ。不知火とデコポンのような関係性だ。
確かに甘いが、心が躍るような特徴もない。変な匂いがするとか、異常にデカいとか、ユニークな性格が見たかった。
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秋はバラの季節

2019-11-04 18:26:40 | きのたんと大自然
 日曜に、用事のついでに秋の祭を見ている内に植物園に入り込み、
ふと、「うちのHam Rose は、何という種類だろうか」
と、思い立ってバラ園に入ってみたが、広い。
 
どうしてこんなに植えるんだろう。
今までバラにはあまり興味を持ったことがなかったので、みんな同じに見える。
赤か、黄色か、ピンクか白のどれかだ!
歩いていると、なにやら一か所でスッキリした桃のような匂いがした。
 
ガムでも落ちているのだろうか。
何だろう、この匂いは?と思って通り過ぎて佇んでいると、
別の客が「あっいい匂い!これかこれのどっちかだよ」
と言っているのが聞こえた。
 
そういえば、この辺りはオールドローズなどの古い品種エリアだ。
確か古い方が匂いも強いのではなかったか。
あれがバラの匂いなのか?
 
急いで引き返して嗅いでまわる。
 
どうやら、場所的には背の高い白か、
うすピンクの真ん中うじゃうじゃの丸い花のどっちかだろうという見当がついたが、
花に顔を近づけて嗅いでみても、
あのヘンなドライフラワーのような匂いがするばかりで、
全然わからない。
 
強香や微香などと看板に書いてあるので、
念のためそこらじゅうの花を嗅いで回ったが、はっきり言って臭い。
よく考えたら、バラの匂いをいい匂いだと思ったことは一度もなかった。
なんで人はあれを集めて香水にしようとするんだ。
 
鼻の奥が痛いような気がしてきた。
そういえば、先日読んだ推理小説には「匂いは分子の集まりだ」と書いてあって、
ということは、今自分の鼻には何千何億という花粉が着いているのだと気づいたら、
急に鼻水が出てきた。
 
花粉症ではないが、呼吸器系は弱いので、
ずいぶんと恐ろしいことをしてしまった。
何をしに来たのかも忘れて、
急いで家に帰った。
 
後でネットで探そう。
 
 
 
 まず、あの匂いの元を探る。
なになに?バラには、紅茶の匂いか、ダマスク臭、ミルラって何?
 
没薬?ウッディーな・・・ミイラの匂い??
 
何を言っているのか全然わからない。
画面からその匂いを出してほしい。
 
アンナプルナというクチナシのような白い方が、フルーティーと書いてあるので、
それではないかと思うが、何とも決め手がない。
ピンクの方はダマスクでミルラだそうだから、
そんな変な匂いはしなかった。
 
近所の内科の前に置いてある、ピーチの匂いがするプルメリアの鉢と
スペアミントを混ぜたような匂いだった。
 
 
 「あの人の名前が知りたい」という美しい動機から始めて、
ミイラの匂いを想像して終わるのでは不本意なので、
「バラ ふち ピンク」で検索してみたら、あっさり
 
「ジュミリア」ではないか?という答えが出た。
 
どう考えても、それ1種類しかなかった。
切り花問屋のサイトだった。
 
赤と黒のビロードのバラの方もわかるといいなと思ったが、
赤いバラなど何種類もある。
今まで中之島のバラ園などで植えてある中から探していたが、
あれも切り花として買ってきた。
切り花にして見た目がいいのと、育てやすいのはイコールではないのかもしれない。
 
切り花で赤の定番だという「ローテ・ローゼ」の写真を見た時に、
「あぁこれだ」と思った。
説明も、深紅でビロード、首が長い、花持ちが良いなどの特徴が当てはまる。
 
本名「アサミ・レッド」
 
なんだか、高嶺の花が急にお隣に引っ越してきたかのようだ。
 
長年のもやもやが晴れてすっきりした。
これで来歴も、育て方もわかるかもしれない。
 
しかし、それは品種名であって、
呼び名は今まで通り、「ハムちゃん」と「ビロード」でいいんじゃないのか?
星の王子様風に言うと、
 
そのバラは、心を通わせた特別なバラだからだ。
 
 
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