(娘)「連泊というキーワードで探しました」
横暴代理店というより、もはや一択ハウジングへと進化を遂げている。
HPを見てみると(きの)「なになに、有料の朝食ビュッフェと、大浴場は日替わりで全国温泉巡り。無料!!」一番必要ないサービスだ。
(娘)「もうパンは買ってきなさんなよ」出がけにクギを刺された。
ホテル選びを任せると、いつもヴィア・インとかアーバンとか、
新しくて明るくてバイキングがついて、均一で、そして薄っぺらで、
ホテル界のファミレスのようなチェーン店になる。
もっとこう、誰も知らない路地裏の名店とか、
ひなびた海辺の観光地の大らかな食堂のようなところがいいのに。
それにしても安い。今年だけなのかも知れないが、
錦糸町のロッテホテルなら1泊の値段だ。
Day1:
午前中は家で冷静を保って対峙してみる。
(ドリル)「デレレレッ・・・デレレレッ・・・・デレレレッ デロレレッ」
もうちょっとで映画「アダムスファミリー」の曲が始まりそうなこのリズム。
しかも途中から二重奏になりやがった。
しばらく天井を睨んでいたが、やっぱりギブアップし12時前に出発。
二条城の角で降りてこの辺にある健康食品の店へ。
前から存在だけは知っていたが行ったことはなかった。
もしかしたら玄米蒸しパンが売ってるかもしれないし。
場所を探して行ってみると、以前バスから見たことのある破風で囲まれた
いにしえの商店街だった。
なぜあんなに入口をカバーするのかわからないが、とりあえず入ってみる。
(きの)「・・・」なぜこの立地でこの荒れよう。
どうしたのかシャッターが閉まった店がポツポツあり、
ひと気のない通路にユーミンの短調のような歌が響いている。
緊急事態宣言だからかな?
しかも、ひっきりなしに大きな乗用車が入ってくる。
よくこんなとこに車が入れると思うな~と感心してしまった。
商品を運んできた車だろうか。
進んでいくと、古い八百屋などの間に最近できた同じ系列の店が2軒も3軒もある。
真ん中辺に健康食品店があった。奥に細長い店で、ごちゃごちゃと体に良さそうなものが売っている。
その店の奥の奥、最深部の小部屋に酸素カプセルが2個あった。
前から興味があって話には聞いたことがあったが、これが酸素ルームか。
ずいぶん大がかりで、がっしりした造りだ。
そりゃそうだ。酸素が逃げたら意味がない。
しかしこの白く塗った鉄製の枠が、もし開かなかったらどうするのか。
部屋の入口に内線電話が備え付けてあるが、
そもそも開かなかったら届かなくて助けも呼べないじゃないか。
ずっとついて見ててくれるのか?
閉所恐怖症ではないが非常に安心できない。脱出マジックに使うような装置だ。
(きの)「スゲーコェェ」というのが正直な感想で、
果汁10%の辛いジンジャーエールを買って店を出た。
結局、玄米蒸しパンは売ってなかった。
近くの公園で持ってきたサンドイッチを食べよう。
ここにもセメントで作ったすべり台があったが、二条城の公園の方がスタイリッシュだった。
まわりの螺髪もまばらだし。
また商店街を進んでいくと西友があった。(きの)「おぉ!」なつかしい。
関東にはよくあったが関西では珍しいのでは。
入ってみたが普通のスーパーだった。
そういえば無印良品は、元は西友の2階からスタートしたんだよな~と感慨深く眺める。今は専用のビルやホテル、はたまた家まで建てだして暮らし全部を提案するようになったが、
小手指の店舗で初期の頃は、肌色の地味な缶ジュースなどを売っていたのを覚えている。
その頃、無印良品を健康食品の店だと思っていて、
大好きな麦チョコに光沢剤が塗られているのを知って軽くショックを受けたが、
ブランドもの全盛の時代にマークに頼らないというだけのコンセプトで誕生したんだっけという成り立ちを理解し、神経質な小学生は不承不承受け入れた。
この西友には今2階にセリアが入っているが、はたして30年後に発展しているほど理念があるだろうか。
商店街はこの先もまだまだ続くようなので、道をそれてホテルに向かう。
四条堀川の交差点は、やたらに広い上に角に日本庭園風の植え込みが作られている。
雨庭という、普段は枯れ池だが雨の日になると水を吸収し他にあふれさせない工夫がなされているらしい。
交差点に和風庭園とは京都ならではだ。
今はほとんどいないが、これは外国人にとっては「見る庭」だとはわからずに、
入りこんだりしないのかな。
枯れ池の燈籠に腰掛けてのセルフィーとか、街なかにナイスガーデンがあったので、
そこでランチを食べましたというレビューがあってもおかしくない気がするが。
道路を渡るとホテルがある。
おっと、その前に「若菜屋」だ。いつもバスから見るだけで入ったことはなかった。
しかも総菜屋だと思ってたら和菓子の、それも栗の専門店だった。
贈答品に良いかもしれない。HPで見た栗の渋皮煮の味をみてみたい。
見るからに茶色くて渋そうだが、どうなのだろうか。
入って黄色と茶色をバラで買って箱詰めの大きさなどを聞く。
(きの)「マロングラッセとは違うんですか?」
(店)「グラッセのお酒がないバージョンです。栗の甘納豆?」
なっ・・・とう?
せめて砂糖がけとかの表現にしたらどうかね。
あらためてショーウィンドーを見るとずいぶん大きい。
煮しめてこの大きさなら元はどんな大きさのイガだろう。
会計のついでに(店)「抹茶ケーキよかったら味見にどうぞ。期限今日まで!ドン。」
えぇ!?急にくれても。うぅどうしよ。
なんか妙に重たい包みを抱えてホテルへ。
無機質なエントランスを潜ると、黒い床に最新の赤いソファーが並び、
きらびやかな観光デモ映像が流れる3連の液晶画面を背にした遠くのフロントには、
綺麗だが幸薄そうなねえちゃんが居た。
下を向いて一生懸命書類をなにかやっているので、
まずはゆっくりと端の方のソファーに座りくつろぐ。
(きの)「ん?早く着きすぎたからー 待ってようかと思ってー(大声)」
(姉)「いいえー大丈夫ですー。」それではチェックイン。
(きの)「会員になると良いと聞いた(某代理店から)。
その際身分証は見せるのか。だったら住所は住民票記載のところを書くべきか」
(姉)「どっちでもいいですよ」と、少し疲れたように笑った。
ヒルトンなどの教育の行き届いた対応や、個人経営の建物全部が自分の物という自信とは違って、この手のホテルチェーンの年若いフロントの、「一歩引いた感」は独特だ。
よそよそしいというのか、他人の敷地で数時間だけやってる、
というようなコンビニ店員の雰囲気に似ている。
規則を見るとチェックインは深夜0時以降は何が何でもやらないそうだ。
チェックインできない上にキャンセル料を払うことになるという。
見知らぬ土地で酔って深夜に放逐される恐ろしいところだ。
欠航になっても払い戻しは事実上されない格安飛行機と同じ気配がする。
これが安値の代償というか、最新のビジネスプランなのか。きびしい。
普通なら3交代×8時間で24時間フロントに誰か居るはずだが、
この手のチェーン店では最低限の2人で切り盛りして人件費を浮かせ、
夜中は奥で眠ってるから来ないでくれというシステムなのでは。
だから無理な勤務で披露しているのではないのか。
さんざん説明を聞いた後で横の無機質なATMのような機械で支払い、
出てきたカードでエレベーターに乗り部屋に入る。
入った所の空間がやたらと広くて、あとはダブルベッドがあるばかり。
変な間取りだ。
宣伝に防音だと書いてある通り、確かに隣の生活音などは聞こえてこない。
さっき隣に入っていくドアの音がしたが、それ以降うるさいとは思わない。
確かに防音なのだろう。
冷蔵庫は今まで見た中で一番小さいペルチェ式。
もう缶ビールが2、3本入ればいいだろうという、無駄を省くにも程があると言いたくなるような金庫のようなサイズ。
そして超大型TV。今まで見た中で最大の面積を誇る。
こんなに大きいのに隣の音は聞こえてこない。不思議だ。
なんでこんなに狭い部屋にデカいTVを設置するのか。
会議室のホワイトボード並みの大画面で、何を見るというのだろう。
「リング」なんてどうかな。
夜になり、降りていくと小雨が降っていた。
部屋の窓を開けても楽しくないので見なかったが。
エントランスには準備良く傘立てが用意されていた。
繁華街の外れとはいえ四条のこの立地でこの値段で、傘まで用意してくれて、
なんだかもう全てが申し訳ないような気がして、恐縮しながら傘を借りて家に帰る。
そして家で晩飯を食い、夜遅くにまたホテルに戻る。
なんなんだこの暮らしは。
家で寝てもいいが、せっかくの風呂やベッドを使いこなしてみたい。
それに、泊まらなかったらきっとあの監視カードの出入記録で即「不泊!」と断定され、朝になって来てみたら荷物はすべて取り去られて、
これから先の連泊の行程がすべからく台なしになるのではないかという疑念がつきまとう。
(きの)「この距離を毎日バスで往復かー。もったいないから1日フリーパスでも買って色々と・・・」思案していると
(娘)「歩いたらどう?新撰組は歩いたのよ」
(きの)「新撰組は千葉から歩いて来ました!」大昔と比べないでほしい。
帰りのバスは雨のそぼ降る中、しずしずと街を進む。
半年前、最初にプチホテルにたどり着いた夜も、雨が降っていた。
その時はバスは貸し切り状態で、堀川の9番が混んでいないなどありえないから、
これは確かに異常事態だと思った。
今回は10人以内だが乗っていた。人々は段々慣れてきたのだろう。
ホテルに戻り、エントランスを入るとフロントは眼鏡の男と交代していた。
あいつが夜の部で酔っ払いを追い返す係か。
(きの)「傘ありがとービショビショでこれこの筒に戻さない方がいいー?」
(男)「いいえーどうぞそこにーー」遠い。
なぜこんなに狭小な敷地なのに、たった2台の駐車場のために建物を後ろに下げたり、無駄に広い縦長のエントランスを設けたりするのだろう。
駐車場を地下にして何台でも停めればいいのに。掘れない理由でもあるのか。
その分、建物を前に出して部屋を広くするとか、和風の中庭を作るとか。
近所の有名老舗和菓子屋の脇に、井戸があるらしい。
千利休も汲んだとかで、由緒ある名水が常時流れ出ているそうな。
そこの水をもらって帰って、うちの淡水エビやカトレアにかけてやりたい。
前回の鵺の水は、なぜか知らないが白濁していたりして
(たぶん油ぎったZiplockのせい)、慣れていないので井戸の水は飲んでいいものか迷う。
少量200mℓぐらいほしいところだ。
お店の人が中から並んで見てくるので、汲みにくい。
前に何かのお土産を買ったことがあるから、まぁいいだろうとは思うが、
今回もまた何か買う気にはなれない。
なぜなら通りの向こうの栗屋さんで買った大栗が、まだ手元にあるからだ。
そんなに和菓子ばかり食べれない。
さっき家に帰った時にタッパーの長い筒のようなものがあったから、
よく洗って持って来てみた。
これで昼間に行くからやりにくいんであって、
泊まっているというチャンスを生かして
夜陰にまぎれて夜中に汲みに行けばいいのではないかと思いつき、
いざ!と思って行ってみたら、なんと、水は止まっていた。
そんな。
夜間は出してないのか。というか、井戸って止めたり出したりできるの?
自噴式でない限りモーターでくみ上げているのだろうか。
実はオシャレな竹筒から出ている水道水だったりして。
すごすごホテルに帰る。
深夜に1階の奥まったところにある風呂に行ってみた。当然閉まっている。
誰もいない上に真っ暗だ。
その途中のしょぼい和風の坪庭の短い植え込みを見ていて、
そういえば西の洞院て昔刑場だったんだっけかなということを思い出して、
静かにエレベーターホールに戻る。
しかし、そんなこと言ったら地球上はすべて恐竜や微生物の死骸だらけだ。
みんな、嚙みついてきた肉食竜を恨みながら死んでいっただろうと思うと、
誰も死んでない今の状態の方がよほど不自然なのか。
Day2:
起きて朝食を食べに行く。
手袋をして、あ!あった。あった。ソーセージがありましたよ。
念願のソーセージがお湯に浮いていたので、落ち着いて2本いただくことにしよう。
ラウンド1 焼きそば、しゅうまい1、ソーセージ2、ご飯、味噌汁、
コーヒー、オレンジジュース
ラウンド2 焼サバ、ご飯、卵焼、梅干、ヨーグルト、オレンジジュース、紅茶
ラウンド3 納豆ご飯、人参ジュース
最後の組み合わせは何だろう。
あまりに和食が久しぶりで、生卵と縦長の味付けノリの袋をじっと見たりしたが、
そんなに食べてもしょうがないので部屋に戻る。
メニューは他にもいっぱいあった。ここにもコロナの大画面があったが、背にして座る。
昨日、連泊の人は掃除の間どうすればいいんだと聞いたら、
(姉)「さぁ別に」というようなふんわりした返事が返ってきた。
一応、本来のチェックアウトから次のチェックインの10~3時は居ないべきなのか。
悩む。
たまにいるぞ、ホテル暮らしのオペラ歌手とか。
しかし、こんな狭い部屋でドタバタ掃除している横では何もできない。
ポロッと漏れ聞いた情報によると、どうやら11時~1時までがハウスキーピングの本番らしい。
今日はドアの内側にぶら下がってる「Do not disturb(邪魔するな)」
のタグを表にかけて潜んで動向をうかがおう。
約款によると、旅館というものは2日半が衛生上掃除をしないでいられるリミットだそうで。
中で倒れてるということもあるのかもしれないし、
2日以上札を下げ続けたら、急に確認しに入って来られるかもしれない。
それはいやだな。明日はどこかに出かけよう。
息をひそめていると、確かに11時を過ぎたあたりから近くでドッタンバッタンやっている気配がする。
まさか人件費削減のためにフロントの人が掃除をしているのではないだろうな。
せちがらい格安ホテルならありえる。
清水テラスはそうだった。気まずい。
しかも、うっかりトイレに入っている時に開けられたりしたらもっと気まずい。
開けるなと書いてあったら本当に開けないのか。
余計に気になって、こんなんなら出ていた方がましだった。
ドッタンバッタンは遠のいていき静かになった。
夕方になってドアを開けたら、袋に入った今日の分のタオルたちが、
学校休んだ人みたいにしてドアにぶら下がってた。
本当に来なかった。ノックすらもなかった。
来ないことが分かったので、部屋の風呂に入ってみる。
ついていた体洗いは好みのスポンジタイプだ。
小ぶりでエメンタールチーズみたいな穴の開いた構造だが、まぁこの値段なら妥当だ。
ゴシゴシこすっていると(スポンジ)「ボロボロッ」角から崩れだし、
真ん中から亀裂が入って崩壊してしまった。
(きの)「・・・。」どうしたんだろう。
初めてホテルの備品を1回使っただけで捨てようと思った。
Day3:
さて、どこへ行こうか。
堀川通りは広いがマンションばかりで意外と何もない。
四条も行きたいところはない。パソコンは重いから部屋に置いて行こう。
アメリカだったら確実に盗られるだろうが、日本はきっと大丈夫だろう。
そうだ!二条だ。神泉苑だ。あーちゃんと、ひーちゃんと、るーちゃんに会いに行こう。
意気揚々と出かけて行く。10:00am(きの)「いってきま~す」
(姉)「いってらっしゃい~」お、今日は笑顔だ。
神泉苑は街中にありながら、池が主体の寺院だ。
建物は池の脇に点在する。平安京の名残を留める唯一の現存遺構だそうだ。
だから地名の烏丸御池とかの「おいけ」は、神泉苑のことだ。
別名「ひぜんさん」とも言うらしい。「せん」は泉だろうけど、「ひ」は何だろ。
比(日)かな。
去年の冬に行った時は、なぜかわからないがハトに囲まれて腕に乗られ辟易した。
逃げても追ってきて、全身にまとうようにしながら橋の上に立つ姿はさながらジーザスのようであった。
その後、帰りに近くのコンビニで泣きながら手を洗い、
帰って L.L.Bean のお気に入りのウールのコートを思わず洗濯機に入れて洗ってしまったが、
吊るしておいたら元の形に戻ったので今も着ている。
だって、恐竜のようなツメでガシガシつかまれて怖かったんだよう。
鳥は慣れていないので、ちょっと。
(きの)「あの時のヒトですよ」
知らんがな。
という目で見られたが、放し飼いのアヒル最年少の小柄なルーちゃんだけは、
こちらをじっと見てくれた。
早くエサをよこせと言っているのかもしれない。
近所のおばさんによると全員見分けがつくらしい。
しかもHPによると「何代目あーちゃん」などとなっているから、役職名なのかな。
それにしても、あとの2匹の大きさよ。
池に着いてアヒルたちを見た時、
(きの)「アヒルってこんなに大きくなるものなのか?」
というぐらい首も太くてよく育っていた。
本当はアヒルではなくてガチョウではないのか??
昔住んでた埼玉の住宅街でナナメ前の家がお祭りで買ってきたアヒルを飼っていたが、こんなに大きかっただろうか?
池のふちに(貼り紙)「ハトにエサをあげないで。社殿屋根が大変」
だから今日は少ないのか。
なるほど。しかしさっきのオバさんかまわずあげてたぞ。
(紙)「アヒルさんは足を怪我してるからやさしく見守って」
見ていると2匹のうちの1匹が水の中に入って行って泳ぎ回り、
鴨たちを追い回して遊んでいる。
あいつではないだろう。
みんな普通に歩いているが。栄養が偏っているのではないのか。
冬鳥は脂肪の多いナッツ類をあげないと。
パンの炭水化物だけでは体力がつかない。
アヒルさんたちは、夜は狭い敷地内にある社務所兼売店の奥で眠るようだ。
鵺に食われてもいけないだろうし。
前に御朱印帳を見に売店に入ったら、そこはかとない鳥小屋のような匂いがした。
小学校の校庭にあったから知っている。飼育係でキャベツなどをあげていた。
社務所で大量の羽毛布団でも買ったのでない限り、
やつらはあの奥で寝ているに違いない。
さっきからアヒルしか見てないが、そういえば神泉苑は千年ぐらい前に静御前が舞って空海が雨ごいをして善女龍王を勧請した由緒ある池だ。へ~。
しかし水が濁っているのはなぜだろう。こんなとこで雨ごいをしたのか。
もし今空海がこれを見たら「前はこんなに汚くなかった!」と言うだろう。
規模縮小したらしいから、水源も失ってしまったのか。
敷地の奥の料亭は、賃貸料で寺院と争って裁判の係争中らしい。
急に現代社会だ。
二条駅で韓国料理屋に入ってみた。
以前、南禅寺に行った時など焼肉弁当しか頼めなくて、
他にどんな料理があるのかよく見ていない。
今回は、半年前つかみ損ねたものを回収してまわる旅だ。
(きの)「どれが辛くないのか」韓国料理店に来ておいてこの質問は挑戦的だ。
(店)「これとこれ」餃子スープと冷麺か。韓国の素麺のようなものが食べたい。
こないだ見た番組で、ゴーストバスターズみたいな家族がやってる食堂で出してくる麵がおいしそうだった。
(きの)「この冷麺のスープ赤くないですか?」
(店)「ぜんぜん辛くないヨ」
調子のいいこと言ってるだけではと思いながら頼んでみたが、本当に辛くなかった。
しかも細いのに(きの)「おぉ!このゴムチューブのような食感。」
盛岡で食べた冷麺と同じだ。
なぜゴムチューブの歯ごたえを知っているかというと、
渓流釣りの浮きを糸に固定するのに細いチューブを使うが、
だいたい川にハサミを持って来ない。
いつも現場で思い出したようにズルズル引き出しては歯で食いちぎり、
糸はそこら辺の石で切るという未開のスタイルでしのいでいる。
次こそはちゃんと準備して出よう。
メニューに「どんぐり麺」という表記を見つけて思わず躍り上がりそうになったが、
ものすごく渋かったり、激辛だったら困る。
異国の料理はバイキングなどで少量取り、食べれることを確認してから頼みたい。
そしてサイドディッシュに念願の春雨!
前回は弁当のお供に丼のジェスチャーを示され躊躇したが、
今回は家に持って帰ってしまえばいいのだ。
袋に入って運ばれてきた春雨は、確かに丼のような容器に入っていたが、
そんなに大量でもなかった。
お味のほどは普通。個人的にはおんまの店の方が好きだ。
駅ビルの裏から出ると曇っていた。さっきまで晴れていたのに。
なんなら麗らかな陽気の下、外の公園かどこかで食べてやろうとすら思っていたほどだ。
寒い。
寒気が戻ってきたのか。ホテルは密封されているのでわからなかった。
そういえば冷麺に氷が入っていた。出された冷たいお茶をごくごく飲んでしまった。
風が吹いてきて、こんな気温の中では食べれない。
横断歩道で手袋を取り出し手にはめる。
あそこに見えるのは三条商店街の出口ではないのか。
長そうだと思っていたが、こんなとこまで繋がっていたのか。
アーケードの中はまだ風もないかなと思い入ってみる。
今度はこっちからは猛スピードの改造自転車に乗った集団が次々と入ってきて、
爆走していく。
危ない商店街だ。進んでいくと遠くにまたしても西友。
っていうか、これこないだのが真ん中辺だったということか。
早々にホテルに逃げ帰り(きの)「ざぶい~~部屋に入れてぇぇ」
(姉)「はいはい」苦笑しながら内線で掃除終わったか確認してくれた。
なんかこの感じ、覚えがあるぞ。
清水テラスで締め出された時だ。ちくしょう。弱しちゃんじゃないんだ!
夜に家で栗のオバケを食べてみた。
(きの)「これ乾いた栗きんとんの中身だ」そういえばあれも栗だ。
甘露煮と言えばいいじゃないか。