きの書評

備忘録~いつか読んだ本(読書メーターに書ききれなかったもの)~

mellowの感想

2022-06-25 22:05:19 | ドラマ・映画

 いつか、何かの脳男みたいな映画に出ていたハシバミ色の眼をした人が気になったので、他の作品も見てみようと思った。お気に入りのスワロゥテイル・バタフライというけだるい歌を歌っているCharaの娘らしい。喋り方も独特で透明感がある。

 

(きの)「このめろーという作品にも出てるんだーへ~ポチッ」とネットフリックスの関連作品で出てきたサムネイルを押してみたら、冒頭部分で花屋の男の金銭の受け渡し方がイラついて3分で画面を閉じてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 それから数か月が経ち、こんな不可解な映画があると言おうとしたら、配信期限が明後日までであるということが判明。今見ないなら一生見ないだろうから、意を決して見てみることにした。

 

 どうにも普通のドラマはウルトラマンを見慣れた者からしてみると、だから結論は何なんだ!などと無意味にイライラして疲れが増し、通常なら1時間半ほどで終わるはずの映画を3時間もかかって修了した。

 

 日常を切り取った群像劇だこれはきっと。多彩な人間模様が描かれているんだ。そうにちがいない。理解できないこちらの情緒が乏しいだけだ。

 

 

個人的な疑問:

 あの演技のうまいませた小学生は、お姉さん方の恋愛談義を聞いていたのに、主人公の男に告げ口しなかったのはなぜなのか。もしかして好意を持っているからなのか!あの街で、あの男が嫌いな奴は存在するのか。

 

 ラーメン屋の娘が幸薄そう。主人公の男が不穏すぎる。ただ普通に暮らしているだけなのに今にも事件が起きそうで恋愛ドラマに向いていない。そして肝心のハシバミ色の人はいつ出てくるんですか!

 

 ラーメン屋の痴話げんかの後で見たら号泣しているところや、お得意先での誰が一番失礼かといったいさかいのシーンは、お笑いパートで合ってますか??主人公の「ザ・虚無」みたいな表情がツボにはまり2回も見てしまった。

 

こんなことでは映画館には見に行けない。まわりの顰蹙を買いつまみ出されそうだ。

 

 

 こうやって観た後に考えさせることこそが狙いなんだ。ああだこうだと話し合い、それぞれの内面や人との繋がり、今後の展開や平行する可能性に深く迫るのが文学。

 

 

 

 

 

こんなんだったらミッドサマーを見た方がマシだ。

 

 

あれは賛否両論?だが感情の共有が面白い。

 

 

 

 

 先週、ずっと楽しみにしていたスプリガンが配信されたので、絶対に1日に1話しか見ないと決めて見た。20年ほど前に知人から漫画を借りて読んで以来、オカルトと近未来アクションが合わさっているので非常に気に入っていた。

 

 映画は見ていない。さぞかしキレイな絵だろうと期待する。なぜかわからないがアニメも漫画も古い絵だと見れない。

 

 確かに絵はキレイで動きもなめらかでお金もかかっていそうなのだが、顔だけが古そうなのは何でなのかな。しかもなんとか教授の話は見覚えがあるから、内容は1巻から順次やっていっているのか。

 たまにコーヒーマシーンやスマホなど、ちょっと足したらいいような現代チックなものが出てくるが、他は漫画のそのままなのかな。しかも今どき水晶のドクロて。結局翌日に残りの2~6も見てしまった。文字が全部判で押したように古代ヘブライ語というのも。今だったら日本の神代文字の方がそれらしい気もする。

 

 獣人のジャンが出てきて朧が出たということは、そろそろ終盤?よく覚えていないが、まだジャンの生い立ち、蒸気で攻撃してくるビル、朧の先生?とアジアの密林、魔女、ネイティブ・アメリカンお祭りなどが出てきていないので、セカンドシーズンなどがあるのかもしれないということか。聖なる儀式を邪魔するのはよくないので、遺跡を守るというのはやりがいのある職業だと思う。相変わらず過労死しそうな高校生だが。

 

 肝心のオリハルコンスーツは、現在の介護や農業の現場で使われてる重さ軽減アシストみたいなのの進化版?と思ったら興ざめなのか、それとも虚構に技術が追いついてきたということで喜ぶべきなのか。

 

 

 

 

 

ウルトラマンの感想

 小さい頃ウルトラマンが好きだった。怪獣図鑑を買ってもらい(きの)「なんと!逆さのエビフライ!杖を耳に当てて寝る??そんなんでは寝にくいのでは」などと、世の中には本当にこういう生き物がいるんだと思って見ていた。自分専用のポータブル・レコードプレイヤーを所持して赤いペナペナの小さいレコードで主題歌を一日中かけ続け、さすがに親に「うるさい」と言われた。

 

 極めつけはUFOの本が入った赤い本棚のガラスにウルトラマンの等身大シールを貼り(きの)「完璧。」大満足だった。何度か引っ越して小学校に入り、高学年になってクラスの班員が勉強のために部屋を訪れることになった。大人びたミステリアスな転校生で通っていたのにヒーローや戦隊ものが大好きだとは絶対に知られたくなくて、急いではがしてしまった。そのことを未だに覚えていて、ずっと後悔している。

 

 最近になって映画の新作が公開されたらしいが、自分はウルトラマンを裏切ったので今さら・・・などとゴネゴネ言っていたら、急に横から出てきた横暴旅行社(娘)によって平日の昼の授業前に連れていかれて、あっさり見てしまった。

 

 

 郊外の映画館を目指すので余裕を持って早く出ましょうというお知らせが前夜に来て、当日の朝からいきなりバスを乗り間違える。そもそもが引っ越してどこも知らない景色の上、初めて行く場所だ。途中の(きの)「ここどこ?」という何の特徴もない国道沿いで降ろされ、急遽検索したGoogle Mapの言うとおりに方向もわからないまま進む。(娘)「そして、ここを入ります」

 

 

(きの)「これはあぜ道では?」

 

 

 本当にここでいいのか。どこまでも続く乾いた農道の向こうには同じような風景が続くばかりだ。この先にとても映画を見せてくれるような建物があるとは思えない。Googleは迷える子羊をどこに導こうとしているのか。小石まじりの小道に底の薄いマリンシューズが(きの)「いたたたた」こんなことになると思ってなかったので気軽につっかけて出てきたのが間違いだった。

 

 水路にヒレの立ったコイのような大きな魚がグルグル回っていたので(きの)「あ、あれ多分ボラだ!ボラが!」(娘)「さっさと行きますよ!」厳しい。広大なサツマイモ畑は今の時期、苗の植え付けで忙しい。登校中の小学生の群れがいた。何かが動いてると叫びながら腹ばいで水路をのぞき込み、ポロシャツの前面を茶色くして走り去っていった。

 今日給食当番だったらどうするのかとか、そんなことはみじんも考えていない。何の責任もなくいつも誰かが守ってくれると安心しきっている年頃だ。(きの)「ハハハ。いいな、彼らは刹那的で」もう思考も千路に乱れ、しばらく行くと奇跡的に大通りに出た。橋の向こうにショッピングモールらしき影がうっすらと見える。

 

 

(娘)「あちらです」

 

 

はぁ。

 

 どういう采配か上映開始4分前に建物の前にたどり着き、呼吸も整わないままポップコーンを買う。ユニクロで買った涼しい素材だと評判の黒いパーカーが日光を吸収して熱い。始まった頃には汗だくで何が何だかわからないまま真っ暗な中を進み、手探りで手近なイスに座る。ウルトラマンの映画を見るのはこんなに大変だったのか。

 

 全体の感想は、なんだか当時のキーワードを踏襲してまわっているようで、もっとゴジラのように全く新しいものにできたのではないかというものだった。小さい頃の感覚ではウルトラマンが隊員に「乗り移っている」のだと思っていたが、融合しているのだそうだ。なるほど。細胞レベルの話でカッコイイ。乗り移るでは幽霊みたいだ。

あのペナペナの宇宙人の生態が知りたい。半分にも程がある。

 

 横の列の白いTシャツを着た男が始終出たり入ったり、スマホの画面が点いているのが視界の隅に見え隠れしていたが、何だったのだろう。

 

 

ネタバレを含む疑問その1:

 最後2つに分かれたら死ぬのでは?元から死んでたんだし。

 

疑問②:

 ゼットンを傾けるのかと思った。発射してもどの星にも当たらない角度と押す力を国際会議で決めるんだと思った。全然ちがった。そもそもゼットンて誰?3才の記憶にはそんなものない。

 

 しかも、スペシウム光線のポーズが思ってたのと逆だった。左手で、しかも支える手は内側だとばっかり(スリーパーホールドをかけるような)。テレビで見たままを鏡像のように覚えてたんだな。腕から大出力で何か出たら、反動で手が顔にぶち当たらないように後ろから押さえた方がいいような気がしてたんだけど、光は反動ないのか。じゃああの前に添えてるだけの手は何なんだろう。

 

 

歌:

 昔の主題歌を街角のシーンなどでうっすら流してほしかった。一緒に歌い出したりしないからさっ。新しい歌は、あれはウルトラマンの本心なのか。ウルトラマンは得体の知れないでっかい神様みたいなものだと思ってたから、神様の本心なんて知りたくない。

コメント

クリーム色のすべり台

2022-06-13 13:53:10 | いつかの思い出

 小さい頃、高田馬場のおばあちゃんちの近くに公園があった。ビルの合間に埋もれるようにしてひっそりと佇む湿った縦長の公園には、斜面をそのまま使った巨大なすべり台があった。ステンレスではなく、黄色い大理石を磨いたようなすべすべの石造りだ。下町のあの場所にどういう経緯で作られたのかわからないが、当時からして子供は少なかったので都心にありながらほぼ貸し切りの穴場であった。

 

 イトコ達とよく遊びに行き、1日中歓声を上げながら滑っては登って遊んでいた。あまりにもなじんだので自分たち専用の公園と思うようになり、子供のうちに引っ越したので後で思い返してみると、どこまでも続く永遠のスロープになっているような気がしていた。最近になって法事の際に、酔った年下のイトコに話すと、彼もそう思っていたらしく、実はあれから大人になって行ってみたら、ただの低い塀のようでショックだったと打ち明けてくれた。

 

(きの)「あれは無限のはずでは?」

 

(イトコ)「それが、ちがうんだ。」

 

そんな!

 

 

 今でも古い公園にはその手のすべり台が多く、そして京都の公園はだいたい古かった。見つけると懐かしくなって、つい滑ってみる。昼は高確率で子供たちやその良識ある保護者がいるので、夜に通りかかった時やひと気のない時にそっと近寄って行く。

 

 

大田神社近くの公園:

 ここも幅の広い立派なすべり台があった。滑り始めるとスピードが乗り(きの)「ドッ」すごい勢いで下の砂場に突っ込んだ。ずいぶんハードな遊具だ。Dr.Martensのつま先が半分ぐらい埋まった。

 

 過去の記憶との齟齬を覚え、家に帰ってよく考えてみた結果、自分はもう大きくなりすぎていて、速度が出すぎるのではないかという仮説に到った。そして、大人の社会常識として滑り終わった後の後ろ側が砂だらけで店などに入っていくのはどうかと思うという配慮から、砂がつかないようにしゃがんで滑っていたのもよくなかった。ペンギンのような姿勢をした大人が猛スピードで滑降するのは、どう見ても危険だ。

 

平べったい靴がジリジリと出て行ってパタンと倒れ、スキーのジャンプ競技のようだと内心喜んでいたのだが。

だって、立って滑るより安全だろう。

 

 

 

近所のすり鉢公園:

 巨大なすり鉢のような円形の遊具がある。とにかく重心を低くすればいいのだな。地上4mぐらいのフチに立って夜の公園を見渡す。小さい子なんか底の部分から出られないような規模だ。実に滑るにふさわしい。というわけで腹ばいで寝そべってトライしてみたら終点近くに粗い砂があり(きの)「ぎゃあぁぁ」腕時計とTシャツの腹の辺りをザリザリ擦って泣いて帰る。

 

二条城の左上:

 とても美しいすべり台がある。横に飲み水もあるよ!

 

三条商店街:

 上記の二条すべり台がApple社の芸術作品だとしたら、ここのはWindowsの事務的なデザイン。しかも微妙に人がいる。

 

ピクミン:

 人のゲーム機を貸してもらい初めてやってみた。途中で坂を下るとみんなついてくる。(ピク)「あ゛ぁぁぁぁ~~」と言いながらまた登ってきては集団で滑っていて気がついたら30分が経っていた。いつの間に。このゲームはどうやらミッションがあるみたいだが、しらん。

♪あぁぁぁぁぁ~~

 

 

近所の小さい公園:

 待ち合わせていてヒマなので、前からいいなぁと思っていた小さいすべり台に登ってみる。いつも小さい子たちでいっぱいの公園も夜となれば大人の時間だ。ベンチで飲んだりブランコに座って悩みを打ち明けたりして遊んでもいい。

 

 何気なく滑って終了となるはずが、なぜか途中でなめらかなクリーム色の石の部分が消えて下地のコンクリートが見えていた。小さいのでしゃがんで滑ってもいいだろうという打算が裏目に出た。コンクリート部分で滑らなくなり、履いていたビーチサンダルがだんだんワラビのように内側に丸まっていくのが見えた。それにつれて足の指も巻き込まれ衝撃とともに着地した。

 

すごく痛い。

 

 サンダルは壊れ足の指が血だらけで全部折れたと思った。そぅっと手近なベンチまでにじり寄って行き、調べてみると背中が落ち葉だらけで手にも擦り傷が。

 

 こんなすり減った危ない遊具を置いておくなんてどうかしている!こっちは翌日に船で出かける予定だというのに。どうしてこんなことをしてしまったのだろう。こんな状態では大型船の長いタラップをスーツケース抱えて歩けはしないし、また理由も言えない。絶対に来るなよ京都Policeと思いながら家まで這うようにして逃げ帰り、しごく反省して以後充分気をつけ軽率な行動は取らないことにする。

 

 

 

船岡山の公園:これはケガの記録なのか。

 長細いすべり台があったので早速階段を登ってみる。自分の背丈より高かったのでこれはもう安全策を取って寝そべり、ミイラのようなスタイルで行こう。

 

 またもや意に反してスピードが上がり、モブスレーのごとき高速となる。頭を打ったらヤバいので、下手に上体を起こすことなく飛行機のように地面に対して鋭角で着地しようと体に力を入れたところ簡単に全身が飛び出し(きの)「つ・・・・・・るんっ!!」

 

浮く。

 

 そのまま地上20cmから失速して落ち、背中を強打して呻く。それにしても全身が射出されるほどのスピードが出たのか。設計したの誰だよ。公園に行くたびにこんなんでは命がいくつあっても足りない。この遊具は誰にもおすすめできない。

 

 

 

 どうしても、なめらかなすべり台の魅力に勝てない。何とも言えない優し気な色が全てを包み込んでくれるような気がする。石でできていることは承知しているが毎回どうも柔らかいバーバパパでできているのではないかと思ってしまう。小さい時はもっと自然に身をゆだねていたように記憶している。

 

 未だに、あのクリーム色のすべり台を滑っていったら、その先におばあちゃんが待っていてくれるような気がする。そうして温かく迎えてくれて、家に連れ帰ってあれこれとかまってくれるに違いない。

 

 そうだ!大もとの新宿のすべり台に、あの時の子供たちが帰ってきたことをいつか知らしめに行かなければならない。そのための肩慣らしをしていたにすぎないという詭弁で自らを正当化する。

 

(きの)「いつかリベンジ」

(イトコ)「その時は連絡を」

 

同志よ。

コメント