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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

グローバル経済の迷宮 製造業の空洞化① 母国捨て福祉国家破壊

2018-02-22 13:59:09 | 経済・産業・中小企業対策など
グローバル経済の迷宮 製造業の空洞化① 母国捨て福祉国家破壊
低コストを求めて海外に生産を移す大企業の多国籍化(グローバル化)により、先進資本主義国の製造業の空洞化が進んでいます。日本の製造業空洞化を近著『空洞化と属国化』で実証した名古屋経済大学の坂本雅子名誉教授に、現状と課題を詳しく聞きました。
(聞き手・杉本恒如)

名古屋経済大名誉教授 坂本雅子さんに聞く

1990年代以降、世界で「グローバル化」という言葉がとびかうようになりました。グローバル化とは「IT化と一体となった経済活動の地球大の広がり」と言われます。しかしこうした定義はグローバル化の本質をあいまいにするものです。90年代以降、グローバル化の名で急進展したものの正体は、桁外れの海外投資でした。
世界の対外直接投資残高は、1985年の0・9兆ドルから1995年の4兆ドル、2005年の12兆ドル、15年の25兆ドルへと、30年間で28倍に異常に膨れ上がりました。
先進国の企業がこぞって低賃金国への生産移転を無規律に行ったからです。ヨーロッパ企業は域内の低賃金国などへ。米国企業も北米自由貿易協定(NAFTA)を利用してメキシコへ、あるいはアジア諸国へ。
グローバル化とは、多国籍企業が母国を捨てて海外投資を激増させた放恣(ほうし)な企業活動そのものなのです。だからそれは母国経済に打撃を与え、資本主義の矛盾を大きく拡大しているのです。






海外生産が急増
日本で対外直接投資が急増するのは欧米より遅れ、2000年代、特にその後半です。2000年にはまだ0・3兆ドルだった日本の対外直接投資残高は、16年には1・4兆ドルに達しました 。世界での順位も米国、香港、イギリスに次ぐ4位に急上昇しました。
海外生産比率も急上昇しました。1990年代半ばの海外生産比率は国内全法人ベースで一桁台、海外進出企業ベースでも20%内外でした。ところが2015年には前者で25%を超し、後者で40%近くになりました。
企業が海外投資のみに注力した結果です。12年になると、資本金10億円以上の日本企業では、海外投資が国内投資を上回るようになりました。

国内生産が衰退
海外への投資や生産の拡大と表裏一体で、国内生産の衰退が進行しました。1991年の国内総生産(GDP生産者側・名目)は469兆円、そのうち製造業が125兆円(国内産業の28%)を占めました。ところが2014年になるとGDP487兆円のうち製造業は90兆円と34兆円も減り、1980年代半ばの水準に後退したのです(グラフ1)。特に活発に海外投資を行った電気機械分野は8兆円も激減しました。(グラフ2)
海外投資の急拡大は、日本だけでなく先進国全体の空洞化・衰退、国民の職の喪失、貧困化、そして福祉国家の崩壊を招いています。
(つづく)(4回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年2月20日付掲載


製造業、それも電機産業海外生産が増えている。パソコンも海外生産がほとんどだ!
その分、国内生産の空洞化がすすんだんですね。
コメント
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