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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

追い込まれつつ逃げ道探す 経労委報告を読む④ 内部留保還元し賃上げを

2018-02-19 10:34:33 | 働く権利・賃金・雇用問題について
追い込まれつつ逃げ道探す 経労委報告を読む④ 内部留保還元し賃上げを
労働総研事務局長 藤田実さんに聞く


企業のため込み利益=内部留保にかかわって、経団連の経営労働政策委員会報告(以下、「報告」)は、巨額にため込んでいることを認めざるをえなくなりました。
内部留保の大部分を構成する利益剰余金は「5年連続して過去最高を更新した」と記述しました。ただし「国内の設備投資などへの投資や海外企業のM&A(吸収・合併)などに積極的に活用している」としています。
しかし、賃金抑制によって得られた内部留保を、金融投資や自社株買いなどM&Aに充てている実態もありますが、国内設備投資を主流に使っているわけではありません。



春闘に勝利しようと団結がんばろうをする国民春闘総決起集会の参加者=1月30日、東京都杉並区

国内には回らず
賃金の抑え込みによる労働者の可処分所得の低下で国内市場が縮小し、国内での投資先が見つけられず、国内であげた利益は、2000年以前のように国内の設備投資に使われているわけではありません。
一方、海外法人があげた利益は、海外でため込まれ、海外の投資にまわされているのが実態です。
産業資本は本来、利潤を再投資にまわして拡大再生産を目指して、利潤の拡大をはかることが本性です。にもかかわらず、利潤が労働者に還元されず金融投資にまわされるか、過剰蓄積となり、拡大再生産にむかっていません。
本業で利益を拡大できないことは、株主にとっても不満となります。だから、「報告」が「利益剰余金を過剰に増やすようなことがあれば、投資家の視点から決して許されない」としたのは、社会的批判を意識せざるをえなくなったことを示しているのです。

経営者の劣化が
同時に、内部留保のため込みは、日本の経営者の劣化も示しているのではないかと思います。世界的には「AI革命」など、さまざまな技術開発が進み、投資領域は多いはずです。しかし、成長分野を見極められず、そこに投資ができないのは、経営者の責任が大きいのではないでしょうか。
このもとで、企業が内部留保を賃上げと設備投資、下請け単価の引き上げなどにまわしていくことは、個別労使や産業にとって重要であるだけでなく、貧困と格差の是正、経済の再生、「好循環」をつくり出していくという社会的、国民的な大義を持っています。
内部留保を労働者の賃上げにまわせという要求は、労働者のたたかい抜きには実現しま せん。
低賃金の非正規雇用労働者が増加し、年収200万円未満も1000万人台で高止まりしています。同時に年収400万~700万円前後の中間層も減り、賃金も減っています。
それだけに低賃金層の底上げといっしょに、中間層のべースアップ(ベア)も必要です。この二つの目標を達成するたたかいが必要だと思います。
これを通じてこそ、消費と投資の「好循環」が図られます。生産性が向上しているにもかかわらず可処分所得が低下しているもとで、経団連がいう生産性向上を理由にした賃金抑制を突破し、大幅賃上げを勝ち取る、労働組合、国民の共同したたたかいがいっそう求められています。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年2月16日付掲載


かつての資本は拡大再生産で資本を増やしてきましたが、「減収増益」と言われて久しい。
利潤を企業のM&Aや金融投資にお金を回し、労働者の賃金や下請け代金には回さない。
この仕組みを変えないといけません。
コメント
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