きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

異次元緩和5年 負の遺産累積 国民転嫁の危険

2018-02-05 10:09:56 | 経済・産業・中小企業対策など
異次元緩和5年 負の遺産累積 国民転嫁の危険

安倍政権は日本銀行を自分の「金庫」のように利用し、ジャブジャブの資金を供給する異次元の金融緩和政策(図)を2013年4月から続けてきました。まもなく丸5年になります。
異次元の金融緩和政策は、物価が下落する「デフレ不況」の原因が「経済活動に必要な資金の不足」にあるという見立てにもとつく政策です。




しかし、この見立ては「デフレ不況」の原因と結果を取り違えています。実際には「デフレ不況」の原因は「深刻な消費不況」でした。従って「デフレ不況」から脱出するには、金融緩和ではなく消費不況対策が必要でした。つまり、賃金を上げ、各種の公的負担を下げ、可処分所得を増やすことで国民の懐を温め、購買力を高めることです。
このような消費不況対策は国民にとって願ってもない政策でしたが、財界の利益を最優先する安倍政権は無視しました。その代わりに異次元緩和が断行されました。
異次元緩和は金利を引き下げる従来の金融緩和と違い、▽日銀が民間銀行などの保有国債を買い入れるやり方(国債買いオペ)で巨額の資金を供給する「量的緩和」と▽株式市場や不動産市場へも資金供給する「質的緩和」とを一体化させた異常な金融緩和政策です。

歴史的に例を見ない異次元緩和は、“異次元”の負の遺産を積み上げてきています。
第一に、貧困と格差を拡大し、日本の経済社会に大きな亀裂を生みました。異次元緩和は株価のつり上げなど「官製バブル」で大企業や内外の投資家、富裕層の金融資産を増大させる一方、株式保有とは縁のない多数の国民や中小零細企業を置き去りにしました。かつての「1億総中流社会」から「貧困・格差大国」日本への転落です。
第二に、日銀による国債の大量買い入れは、国債発行の歯止めをなくし、国債発行残高は1000兆円を超えてしまいました。自国の経済規模の2倍を超える借金を抱え込んだ「政府債務大国」への転落です。
すでに一般会計歳出の4分の1を占める国債費を捻出するために、新しい財源が求められ、消費税増税・社会保障予算の削減といった圧力が強まってきました。
第三に、この政策自体が限界を迎えていることです。ジャブジャブの資金供給のために大量の国債を買い続けた日銀は、国債発行残高の4割を超える445兆円の国債を抱え込み、買い入れ対象となる国債の品不足に直面しつつあります。
量的緩和が限界を迎えて日銀が国債の買い入れを減らし始めたとたん国債価格が下落するなど市場が動揺しました。日銀の動きが「官製バブル」崩壊の引き金となりかねない危うい状況です。
1980年代のバブルの崩壊では、銀行救済のために国民の血税が投入され、大企業のリストラで労働者や下請けにしわ寄せされました。バブル崩壊のリスクが再び国民に転嫁されることがあってはなりません。
山田博文(やまだ・ひろふみ 群馬大学名誉教授)

「しんぶん赤旗」日曜版 2018年2月4日付掲載


異次元の金融緩和でつくられた「官製バブル」。利益を得たのは大企業や内外の投資家や富裕層。
かつて「1億総中流社会」と言われていましたが、いまは「貧困・格差大国」日本になってしまいました。
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