竹内貴久雄の部屋

文化史家、書籍編集者、盤歴60年のレコードCD収集家・音楽評論家の著作アーカイヴ。ときおり日々の雑感・収集余話を掲載

サージェントが指揮するホルスト「惑星」、エルガー「エニグマ」

2010年01月22日 08時48分38秒 | BBC-RADIOクラシックス




 1995年の秋から1998年の春までの約3年間にわたって全100点のCDが発売されたシリーズに《BBC-RADIOクラシックス》というものがあります。これはイギリスのBBC放送局のライブラリーから編成されたもので、曲目構成、演奏者の顔ぶれともに、とても個性的でユニークなシリーズで、各種ディスコグラフィの編者として著名なジョン・ハントが大きく関わった企画でした。
 私はその日本盤で、全点の演奏についての解説を担当しましたが、それは私にとって、イギリスのある時期の音楽状況をトータル的に考えるという、またとない機会ともなりました。その時の原稿を、ひとつひとつ不定期に当ブログに再掲載していきます。そのための新しいカテゴリー『BBC-RADIO(BBCラジオ)クラシックス』も開設しました。
 なお、2010年1月2日付けの当ブログにて、このシリーズの発売開始当時、その特徴や意義について書いた文章を再掲載しましたので、合わせてお読みください。

 以下に掲載の本日分は、第1期30点の4枚目です。


【日本盤規格番号】CRCB-6014
【曲目】ホルスト:組曲《惑星》作品32
    エルガー:エニグマ変奏曲 作品36
【演奏】サー・マルコム・サージェント指揮/BBC交響楽団
    BBC女声合唱団
【録音日】1965年2月3日、1966年8月6日    

■このCDの演奏についてのメモ

 イギリス人好みの二つの管弦楽作品をイギリスを代表する指揮者のひとり、マルコム・サージェント指揮のライヴ録音で聴くCD。
 どちらもサージェントの得意曲で、スタジオでの正規録音も残されている。エルガーはロンドン響と英デッカレコードにモノラルで、フィルハーモニア管との59年録音のステレオが英HMV(EMI)にあった。ホルストの方は、当CDと同じBBC響との58年録音が、英HMV(EMI)にあった。「惑星」の場合は、初演者エードリアン・ボールトが指揮する録音が日本では有名だが、その風格ある演奏に対するサージェントの軽妙な演奏スタイルは、ロンドンで人気を二分していたと伝えられている。
 サージェントは、1895年に生まれ1967年に世を去ったイギリスの指揮者。1921年に、ロンドンの夏の風物詩として有名な〈プロムナード・コンサート〉(プロムス)で指揮者デビューをした経歴を持ち、第2次大戦後も〈プロムス〉の指揮で毎年のようにロンドンっ子を沸かせた。合唱指揮者としても今世紀最高と謳われ、ヘンデルの「メサイア」、エルガーの「ゲロンテウスの夢」は得意曲だった。BBC響とは1950年から57年まで首席指揮者を務めた関係。(1995.7.23)