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三男坊が継ぐ朝鮮

2017年03月02日 | ドラマ
朝鮮王朝は1392年から1910年まで続きました。(最後の十五年ぐらいは大韓帝国)

実に500年です。日本で言えば室町初期から明治末年まで。

私は、朝鮮王朝の歴史に詳しいわけでもありませんが、この「長さ」には圧倒されます。

李成桂という軍人が作りました。が、3代目にあたる李成桂の五男、イヴァンオンが「本当の建国者」と言ってよいでしょう。

その強烈な政治力によってまず、親父から王権を奪取。そして私兵の解体、軍隊の整備といった中央集権化をなしとげました。

破壊者にして創造者ですね。日本史で言うと信長風でしょうか。外戚をことごとく殺し、それもあってか、正規の皇太子(世子)であったヤンニョン大君が世子の座を放棄したほどです。

ヤンニョン大君が世子でなくなった為、急遽世子になったのは三男坊です。

これが大王世宗。ハングルのもとを作った人物。あまりにも聖君扱いされているせいか、面白みに欠け、ドラマになりにくいのですが、むろんいくつかのドラマには登場してきます。

ドラマ「大王世宗」はほとんどフィクションですが、「龍の涙」は「朝鮮王朝実録」に基づいており、史実風です。

「龍の涙」は朝鮮王朝史を学ぶ上で参考になりました。でもお話が180話以上あります。長い。長すぎる。「龍」とはイヴァンオンのことでで、大王世宗は脇役です。「全ての罪は自分が背負って死んでいく。だから(世宗は)聖君になれ」というイヴァンオンのセリフが印象的です。

つまりは、そういえば大王世宗も金ジョンウンと同じ「三男坊だった」なという話です。

でもこの三男坊。次男や長男を殺したりはしません。それどころか長男は三男の王様より長生きし、王族の長老として何かと譲位に口を出します。

実質的な建国者である暴れん坊のイヴァンオンは腹違いの弟を殺しましたが、14世紀の話です。

北朝鮮では、まだ朝鮮王朝が続いているのだな。でも親父の金正日が「すべての罪を背負って」死んで、後継の三男坊が聖君になるってわけにはいかなかった。

ドラマと現実は違うのだから当然ではあるけれど。

昨今の事件をみると、そんな感想を持たずにはいられません。

最後に大王世宗に戻りますが、ドラマ「大王世宗」はあまりに世宗が美化されており、その他の人物も美化ばかりで、長いわりには面白みに欠けます。あと字幕だから長いと見直す気になりません。

世宗を扱ったドラマのうち、個人的に一番面白いと思うのは、「根の深い木、大王世宗の誓い」です。悩んだり迷ったり泣いたり叫んだりする世宗が描かれます。俳優さんも実に味のある中年男性、ハンソッキュさんで、親しみが持てます。フィクションですが、内容は深い作品で、素晴らしいと思います。


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