散文的で抒情的な、わたくしの意見

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天野純希の小説「有楽斎の戦い」・戦国武将の「わたくし小説」

2019年03月31日 | 歴史小説
1人称の「歴史小説」があります。戦国武将の「わたくし小説」ということです。

わたし、織田有楽は、いくさが嫌いだ。血を見るとぞっとする。兄の信長などは血が大好きなようだ。家臣の森可成なども血を見ると興奮する体質のようだ。一体どういう精神を持っているのか。わけがわからない。あーゆっくりと茶でもたてたい。

という感じで進んでいきます。

天野純希の小説「有楽斎の戦い」はこの「ジャンル」に属する小説です。

最初はものすごい違和感を感じました。昔はこういう「戦国武将のわたくし小説」はほぼ皆無でしたでしょう。(歴史小説を全部読んでいないから断言はできません)

でも今は結構あるのです。

「違和感」は今でも感じます。特に「へたな小説」となると大きく感じます。

でも「有楽斎の戦い」には感じませんでした。

ただし「マイナー武将」だと成立するのですが、メジャー武将だと成立しないような「気が」します。

おれ、信長は血が好きと言うわけではない。ただ反抗してくるやつを見ると無性に腹が立つ。殺してもなんとも思わない。特に一向宗徒なぞがそうだ。死ねば極楽とか言って、殺しても殺しても立ち向かってくる。一体どういう精神をしているのだ。死ぬのが好きなら、さっさと自殺でもすればいいのだ。

「こんな小説はありません」が、あっても心情的に同調できません。織田有楽のような「へたれ武将」だと、「わたくし小説は成立する」ような「気が」します。