散文的で抒情的な、わたくしの意見

大河ドラマ、歴史小説、戦国時代のお話が中心です。

西郷どん・最終回・敬天愛人・感想・無難にまとめたが、やっぱりトンチンカン。

2018年12月16日 | 大河ドラマ
西郷どん 最終回 感想

1、まあ無難にまとめた感じ。ところどころ評価すべきシーンもあった。

ここまで馬鹿なエピソードと大嘘で固めてきた「西郷どん」でしたが、最終回はそれなりに「無難にまとめた感じ」がします。

☆史実にこだわる気はないけれど。

1、西郷を明るく死なせたかったらしいのだが。

「明るく死なせる」はNHKも広報していたと思います。主演の鈴木さんが言っていたのかな。
だから最期の突撃のシーンでも「笑っている」わけです。お祭り騒ぎ。念仏踊りかな。
まあ「死を前にしてちょっと頭が変になったのかな」とは感じました。

2、なぜか切腹しなかった。

史実では別府晋助の介錯で切腹しています。介錯の時の別府の「ごめんなさったもんし」という言葉も有名です。しかし切腹もなく、ただ撃たれて死んでました。
どうやら物語の最後に「もうここらで良かろうかい」と西郷に言わせたかったみたいです。
その為には「首と胴がつながってないと言えない」わけです。だからと言って切腹カットはないでしょう。回想的に切腹のシーンを最後に持ってくればいいだけの話です。

3、いないはずの川路が桐野を撃っていた。

子供みたいな顔をした俳優が演じている川路。城山段階でもいて、桐野を狙撃してました。いません。鹿児島県民への配慮から彼は鹿児島に行くことを禁じられていました。
川路は警察制度を作った男です。日本の近代化が彼にとっては「命をかける仕事」でした。「西郷への恩は個人的なものである。日本の近代化は公のものである」が彼の立場でした。
川路的人間と西郷的人間の関係を深く掘り下げていけば、日本の近代化とは何かを考えることもできるのですが、むろんそんなことこの脚本家やプロデューサーに求めても無駄な話です。


4、西郷従道はどんな立場で鹿児島にいたのか。

そもそもいないと思います。東京で陸軍卿代理ですから。でもまあドラマなので。一時的に許可が出たのだっけな。
でも西郷自刃(自刃しなかったけど)前に、「東京に帰ります」と言って帰ります。
ふらっと鹿児島に来て、ふらっと帰れるのでしょうか。軍隊はフレキシブルタイム制度だったのでしょうか。

5、桐野がやたらと人を斬っていた

桃太郎侍か。といえるほどに人を斬ってました。まあ、いいですけど。よく斬るなーと感じました。「おいは人斬り半次郎じゃ」って、幕末は人なんかほぼ斬ってません。正確には「人を斬りそうな半次郎」なのです。幕末、薩摩は最終段階まで佐幕的でしたから、薩摩人には人を斬る必要がそれほどありませんでした。そもそも半次郎は「誰を斬った」のでしょうか。赤松小三郎?私は浅学で、それ以外知りません。桐野は弱かったとかじゃないですよ。人なんか斬ってない、というだけの話です。薩摩人だもの。慶喜は明治になってから言います。「長州は最初から反幕府が明確であったから恨みも薄い。薩摩はずっと味方のふりをして、最後に裏切った。長州よりよほど恨めしい」。薩摩はずっと幕府寄りのふりをしていたわけで、新選組に狙われるなんてことも(たぶん)なかったのです。

6、結局大久保はなんで暗殺されたのか。大久保の未練の死と西郷の潔い死。

死のシーンにそれなりの「時間をかけたの」は評価できます。ただ「なんで暗殺されたのか」がちっとも分かりません。
さらに大久保は「まだ死ぬわけにはいかぬ」と言って死にます。史実としては周囲の警告を受け入れず、警備増強を拒否して「天命に任せた結果の死」です。
しかも西郷と違って、実際にやるべきことがまだ沢山ありました。
西郷みたいに「そもそも斉彬に殉死したかった」「明治後は廃藩置県の他特に何もしていない」人間とは違うわけです。
「ここいらでよか」と潔く死ぬ西郷の「引き立て役」になっているとしたら、恐ろしいほど悪意に満ちた、しかも歴史の浅い解釈に依拠した、くだらない台本です。

7、「総攻撃をしましょう」「西郷さんの恩を受けていない人間はいるか」

総攻撃をしようという司令官たちに対し、山県有朋が「西郷さんの恩を受けていない人間がいるか」と言ってました。
山縣は山城屋の件で大恩を受けています。
でも司令官たちの中には長州出身者も多いから「わたし、少しも受けてませんから」という人間も多くいたはずです。
そもそも「恩義を感じていないからこそ」、「早く総攻撃をしよう」という言葉が出てくるわけです。実際、薩摩人を除いて山縣ほどの恩は西郷に感じていなかったと思います。長州人などむしろ西郷が大嫌いだった人間も多いわけです。なにしろ長州にとっては「薩賊」の親方である西郷です。山県は長州ですが、実際西郷に助けてもらっているわけで別格です。まあせめて「あれだけ汚職を嘆いていた西郷が、何故山県の汚職を許したのか。許すだけでなく、地位も保全したのか」に触れるなら、多少面白くもなったでしょう。でもそんなこと「望むだけ損」というものです。

8、内務卿から「総攻撃命令」とか「西郷助命」とか、指揮系統はどうなっているのか。

そんな山縣に内務卿の大久保から「総攻撃命令」がきます。軍隊なのに、指揮系統はどうなっているのか。せめて「政府から」でありましょう。首相格であろうとなんであろうと、「軍隊の命令系統を犯す」なんてことしたら国家の土台が崩れます。まさに国家建設をしていた大久保が「内務卿の立場で軍隊への指示の」電信など打つわけありません。
大久保は政府そのものだったと言われます。しかし大久保は制度を建設しているわけです。その制度を度外視して「内務卿の名において」軍隊に命令するなんてありえないということです。
大久保の考えだとしても「内務卿として命令」なんかするわけないのです。
また大久保の方から頼まれてもないのに「降伏すれば西郷を助ける」とか。そして西郷は「甘いな大久保」とか言う。そして桐野が「西郷先生だけは生きてください」とか言う。なんだそれ。
全くの史実無視です。逆です。全く逆。そもそも西郷の助命を嘆願したのは薩摩軍の一部幹部です。桐野なんかは西郷助命に絶対反対でした。これは大嘘で都市伝説ですが、助命を受け入れようとした西郷を「桐野が殺した」という「伝説」もあるぐらいです。

西郷の死で大久保を号泣させ「大久保の評価を多少高めた」ことは認めますが、軍隊の指揮系統無視なんてこと、あの厳格な大久保がするわけない。脚本家はそれが「重罪」だと分かっていないと思います。「天子様、天子さま」と一部ネットユーザーに媚びを売ることが大好きなシナリオでしたが、まあ敬天愛人の「天」を「天皇だ」としなかっただけでも良しなのかな。前も書きましたが、桐野たちは天皇なんかより西郷を選んで、天皇から任命された地位を放り出して鹿児島に帰っているわけです。その「痛い経験」から、山縣有朋は「軍人勅諭」を作成します。さらにそれが、「統帥権の独立」という悪夢的制度につながり、昭和期に「政府、陸軍、海軍」がそれぞれ独立に権力を持つ国家を出現させます。

平均視聴率はワースト3位だったようです。でも面白いという人もいるのでしょう。ネットを見るとそういう意見もあります。ただ「翔ぶが如く」層をほぼ敵に回しましたから、こんなもんでしょう。ちなみに最近の視聴率トップは「篤姫」みたいですから、視聴率だけでドラマの質を判断するのはやはり危険です。

とまあ、最終回はやや無難にまとめた部分もあるものの、最後の最後まで「トンチンカンな脚本」でした。終わって良かったと思います。



100回でも見直したい大河ドラマ・もう二度と見たくない大河ドラマ

2018年12月03日 | 大河ドラマ
大河ドラマファンは「おもしろくても、おもしろくなくても」大河を見る。そういう人間が多いようです。私もその一人です。

もう二度とみたくもない大河ドラマ(これは嫌いな順です)

(私は男女差別論者ではないのですが、やはり女性主人公大河は苦手です)
1、「お江」、、、地獄です。見直すのは拷問です。
1、同率1位「西郷どん」、、、地獄です。男性主人公の中では最悪最低な作品です。
2、「篤姫」、、、視聴率は高かったようです。私はこの作品、ダメです。
3、「花燃ゆ」、、特に印象もなく、記憶も薄く。
4、「新選組」、、人殺し集団のお話です。
5、「義経」、、、つまらない。ただし女性たちの着物は綺麗だった。
6、「利家とまつ」、、見ている時は面白くも感じました。ただ録画を見直したことはありません。トレンディ大河です。
7、「春日局」、、先日見直してみたのです。「おしん」と同じ構造を持っています。「不幸の連続攻撃」です。見ていて気持ちが落ち込みます。
8、「秀吉」、、、見直したことはあります。キャストが嫌いです。
9、「龍馬伝」、、画面は汚いし、面白くありません。
10、「平清盛」、、設定が気持ち悪い。

100回でも見直したい大河(こっちは順番に特に意味はありません)

1、「真田太平記」、、実は大河じゃありません。「NHK新大型時代劇」です。幸村が草刈さん、昌幸が丹波さん。素晴らしい作品です。特に女忍び「お江」がいい。
2、「草燃える」、、、永井路子さん原作です。実は全話残ってはいます。ただしNHKが家庭の録画を集めまくって、なんとか「復元」しました。北条義時が最高です。
3、「国盗り物語」、、大河最高峰です。ただし総集編しか残っていません。NHKが重ね録画をして、「消去」したのです。文化破壊です。
4、「新平家物語」、、仲代達矢さんが清盛です。総集編しか残っていません。
5、「翔ぶが如く」、、1990年以降の大河では最高峰です。
6、「真田丸の前半部分」、、家康の上洛前はまでは素敵な作品です。
7、「功名が辻」、、、ちょっと古臭い作風ですが、そこそこいい大河です。
8、「花神」、、、幕末もの最高峰です。総集編しか残っていません。
9、「花の乱」、、、唯一「まともに戦国以外の室町時代を描いた」作品です。
10、「北条時宗」、、悪い作品じゃないのだが、主役がその後残念な感じになってしまいました。
11、「毛利元就」、、、中国地方のことは知らないので、勉強になります。
12、「信長」、、、面白いのだが、役者のセリフ回しが全員同じ。
13、「太平記」、、、足利幕府の初期を描いた唯一の作品。面白い。
14、「風と雲と虹と」、、「最も古い時代」を描いた大河。キャストが素晴らしい。
15、「徳川家康」、、、ここまでウソにウソを重ねてくれると逆に面白い。
16、「黄金の日々」、、懐かしさで泣きそうになる。

そこそこ良い、悪くはない大河

1、「天地人」、、、結局誰が「天と地と人」に恵まれたのかが分からない作品
2、「八重の桜」、、会津ものはちょっと苦手かな。
3、「軍師官兵衛」、、いいシーンもあります。でも結局は秀吉の関白に至るまでの功績は、本当は全て官兵衛の功績であるというドラマです。
4、「風林火山」、、もう少し頑張りましょう。
5、「葵 徳川三代」、、キャストがよくない。
6、「武田信玄」、、、暗い。ただい勘九郎の今川義元はよい。
7、「八代将軍吉宗」、、「見せ場」がない。

その他の作品、、、可もなし。不可もなし。「おんな城主直虎」とか。悪い作品じゃないが、特に見直したいとも思えません。