「恋妻家宮本」 遊川和彦監督 ◯ ☆
人気ドラマの脚本家遊川が初監督作品として重松清の小説「ファミレス」を大胆にアレンジしました。
教師の宮本陽平(阿部寛)と妻の美代子(天海祐希)は一人息子が結婚して独立し、夫婦二人きりの生活が始まりました。そんな折、陽平は本の間に隠してあった美代子の離婚届を見つけます。動揺する陽平ですが、いつもの優柔不断さでどうすることもできず、うだうだと料理教室の仲間に愚痴を言ったりしていました。一方職場では、生徒の母親が浮気中に交通事故でケガをする、という事件が起き、その対応にもオロオロし、女生徒から「教師に向いてない」と指摘されるのでした。
果たして陽平と美代子はどうなるのでしょうか。教師としての自信を取り戻すことができるのでしょうか。
子供の頃からファミレスのメニューで迷う陽平はおとなになっても変わらず、大事な判断はいつも美代子がしていたという優柔不断さを除けば特に大きな問題はありませんでした。それに対し「あなたって結婚に向いてないよね。」と迫る美代子の一言は大きな疑問です。きちんと仕事をしていて暴力や浮気もなくどこが向いていないのでしょう。その点だけが共感できませんでしたが、全体的には、料理教室の仲間役の菅野美穂、相武紗季との絡みもなかなか面白く、コメディとしても良くできています。
また、さりげなく福島を取り上げることで震災を忘れない、と言う姿勢は評価できます。
エンドロールの吉田拓郎の名曲を出演者が歌う場面は妙に感動的で、観客にも元気をプレゼントしてくれる最高のエンドロールです。(☆)
欲を言えば、ラストは美代子が学生時代の夢だった教員としてなにかボランティアなどを始めるとより現代的になったのではないでしょうか。よくできた作品だけに惜しかったです。
タバコは、なし。無煙です。