
写真は18日、声明を読み上げる米ブッシュ大統領と、ポールソン財務長官。
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リーマン・ブラザーズの破綻から強まる米金融危機への対策として、AIG には公的資金投入を決めた米政府には、二重基準があるかのような「その場シノギ」の印象を受けます。
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「米政府、不良資産買い取りに公的資金75兆円投入を提案」(9月20日 ロイター / ワシントン) _米政府は20日、金融機関が抱える住宅ローン関連の不良資産について、最大7,000億ドル (約75兆円) の公的資金で買い取る計画を議会に提案した。 大恐慌以来最悪の金融危機に対応するため (※追加1へ続く)。
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「公的資金、5,000億ドル規模の不良資産買い取り案を議会に提示-米政府」(9月20日 時事通信 / ワシントン) _ 米政府は19日、議会に対し、5,000億ドル (54兆円) 規模の公的資金を投じて金融機関の不良資産を買い取る計画を提示した。 来週末までに必要な法案の可決を目指している。 米紙ワシントン・ポスト電子版が報じた (※追加2へ続く)。
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「米金融危機 米政府が史上最大規模の公的資金 危機対策に数千億ドル投入」(9月20日 産経新聞 / ワシントン) _ ブッシュ米大統領は、19日 声明を発表し、金融機関からの不良資産買い取りなど包括的な金融危機対策を発表した。 これに先立ち 会見したポールソン財務長官によると、総額数千億ドル (数十兆円) の公的資金を投入する史上最大規模の政府介入になる。 大統領は「未曾有の難局に前例のない行動が必要だ」と述べ、「米国経済の転換期だ」と強調、米金融市場の信頼回復に断固とした措置を取る決意を示した (※追加3へ続く)。
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「米金融危機 不良債権処理の包括案 財務長官ら提案」(9月19日 iza / ワシントン) _ ポールソン米財務長官とバーナンキ連邦準備制度理事会 (FRB) 議長は18日夜、議会でペロシ下院議長ら議会指導者と米国発の金融危機の解決策をめぐって協議し、金融機関が抱える不良債権を処理する包括的な枠組みを提案した。 不良債権処理機関の設立が柱になるとみられる (※追加4へ続く)。
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「リーマン破綻 米金融危機、世界を巡る」(9月20日 産経新聞ウィークリーワールド) _ 米証券大手、リーマン・ブラザーズの破綻に端を発した米金融界の混乱が続いている。 ブッシュ米大統領は18日、ホワイトハウスで声明を発表し、米政府は危機の修復に対処していることを強調した。 だが、米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ (AIG) の経営悪化も重なり、波紋はいやおうなく世界に広がっている (※追加5へ続く)。
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あまりにも毎日 目まぐるしく変化する金融市場には私もブログを書きようが無く、暫くほっておきました。
しかし、大方の金融関係者の指摘する、安定化対策として、公的資金の投入が避けられないとの助言がようやくB大統領に到達したのか、B大統領が理解したのか、政府の対応が固まったようですね。
不具合を頻発するシステムへの対応で、対症療法的に薬をチビチビ投与して、ヒトツヒトツ直してしていたのでは、なかなか不具合が収まらず、抜本的な対策が必要になってきているのは誰の眼にも明らかです。
サブプラ証券というステロイド剤をたっぷり投与した米金融機関には、公的資金 つまり税金を使った根本的な治療が必要で、遅れれば遅れるほど回復が長引くでしょう。
90年代の日本の金融市場は「失われた10年」ともいわれましたが、10年以上経った現在でも、91年ピーク時の平均株価4万円近くの3分の1足らずで、その回復は遅々としています。
アフガニスタンやイラクに軍隊を進めて何が成果だったのか、北朝鮮の核問題協議も進展せず、任期切れ間近のB大統領の功績は?、と問われると果たして何だったのかサッパリと出てきませんでしたが、もしかしたら「恐慌の再来を未然に防いだ大統領」として記憶に残るかも知れません。
以上
※追加1_ 上下両院は数日以内の法案化を目指しており、共和・民主両党議員の補佐官らが週末にかけて同提案内容についての詳細な検討を行う見通し。
計画では銀行など金融機関のバランスシートから回収困難な住宅ローン関連負債を切り離し、政府の管理下に組み入れることとなっており、米財務省には異例の権限が与えられることにもなる。 ロイターが入した財務省草案によると、不良資産買い取りに関する財務長官の判断は裁判所の審査を一切受けない。
また、同計画に対応するため、連邦政府の債務上限は現行の10.6兆ドルから、11.3兆ドルに引き上げられることになる。
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※追加2_ 同紙によると、ポールソン財務長官とバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長は共和党下院議員100人以上と同日午前、電話会議を開催。 今回示された計画では、政府は米国に本社を置く金融機関の住宅ローンや商業不動産ローン、住宅ローン担保債券 (MBS) などを買い取る。
ヘッジファンドや外国金融機関は対象外となる。米当局は、各国に対し、米国と同様に、自国金融機関の不良資産を買い上げるプログラムを創設するよう働き掛けているという。
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※追加3_ 必要法案は今週末中に議会と取りまとめて、来週26日の休会前の通過を目指す。 大統領は「わが国の歴史で、党派を超えて重大な課題に団結して取り組むときがあったが、今がその時だ」と述べて政府介入の必要性を強調、政策を総動員し挙国一致で金融危機の封じ込めに取り組む姿勢を明確にした。
対策は、資産価値が劣化して金融システム不安の病巣となった低所得者向け高金利型住宅ローン (サブプライムローン) 関連の金融商品の買い取りが柱。 財務省は総額 500億ドル (約5.4兆円) の基金を設立して、解約が殺到するマネー・マーケット・ファンド (MMF) を保護し、米連邦準備制度理事会 (FRB) が資金供給拡大で支援する。 さらに、米証券取引委員会 (SEC) が、金融株799銘柄を対象に空売りを一時的に禁止する。
米政府は3月の証券大手ベアー・スターンズの経営危機以来、米政府系住宅金融会社への資本注入、保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ (AIG) まで個別機関の危機にケース・バイ・ケースで対応してきたが、金融恐慌やシステミックリスク (連鎖破綻の危険) を防ぐには「包括的な行動が必要」(ポールソン財務長官) と判断した。
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※追加4_ 会談後、ポールソン長官は記者団に対して、「金融市場の混乱とシステミックリスク (連鎖破綻の危険) に対処するため、立法措置が伴う包括的なアプローチを話し合った」と述べたうえで、不動産価格の下落などで劣化している金融機関の住宅関連資産などを処理する方策を提案したことを明らかにした。
バーナンキ議長は「危機の解決に向けて議会と一緒に取り組むことを待ち望んでいる」と述べ、ペロシ議長も「われわれには解決策が必要」と述べ、政府と協調する姿勢を示した。
政府側の提案の詳細は不明だが、1980~90年代の貯蓄貸付組合 (S & L) 危機の際には、整理信託公社 (RTC) が設立され、S & L から不良債権を買い取って処理した実績がある。 米メディアによると、RTC をモデルにした不良債権処理機関の設立が柱となるとみられる。
低所得者向け高金利型住宅ローン (サブプライムローン) 問題に端を発したこの金融危機では、住宅ローンの焦げ付きが多発し、サブプライム関連の金融商品の信用が劣化。 市場での売却ができなくなり、金融機関の損失が拡大した。米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻など金融システム不安を招く原因にもなった。
ボルガー元米連邦準備制度理事会 (FRB) 議長ら有識者からも、 RTC 現代版の設立を求める声が上がっており、同構想の政府検討の報道を好感して18日の米株式市場は反発した。
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※追加5_ 18日付の米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は米経済への不信感は各国の中央銀行から企業、ヘッジファンド、個人投資家に至るまで、最近の記憶では前例がないほどまでに深まっていると伝えた。 その波はアジアにも波及し、シンガポールでは、深夜から AIG の子会社の事務所前に顧客らが保険契約の見直しをしようと、列をつくった。
証券取引所でトレーダーが頭を抱えたり、祈るような眼差しで取引画面を見つめる光景はニューヨークだけでなく、ロンドンからパリ、さらには香港でも変わらない。 リーマン・ブラザースを創設したリーマン一家の3兄弟が生まれたドイツ南部リンパーでは生家に、米国に移住して成功した一家をたたえるかのように記念碑が掲げられている。 だが、それももはや色褪せて見えてきそうだ。
一方、AIG の経営悪化でにわかに注目を浴びているのが英プレミアリーグの名門、マンチェスター・ユナイテッド。 今年4月に披露した新しい赤いユニホームにはスポンサー企業になった AIG の大きな文字が書かれ、それを胸にウェイン・ルーニー選手らスターが本拠地マンチェスターでの試合に臨んでいる。 ユニホームのスポンサー契約はいまや球団経営に欠かせない収入源。 とくにマンUはここ数年、スポンサーが代わり、球団経営への影響も気になるところだ。
2社以外にも米金融界をめぐる話題は尽きない。 英紙フィナンシャル・タイムズ電子版は18日、米銀大手シティグループに合併申し入れに失敗した米証券大手、モルガン・スタンレーが中国の国有投資会社「中国投資」に持ち株比率で最大 49% の出資を要請していると報じた。 米銀大手との合併よりも中国投資の出資が望ましいとの判断といわれる。 中国投資はリーマン・ブラザーズの買収にも参画したとされる。
リーマン・ブラザースは破綻し、英銀行大手、バークレイズが一部買収に乗り出す半面、AIG の経営悪化では米連邦準備制度理事会 (FRB) が280億ドル (約2.95兆円) を実行したと発表した。 米当局の対応は2社の間で対照的な形を取ったとはいえ、一刻も早い危機からの回復に向けて有効策の実施が望まれている。
米国では1929年に数回にわたる株価の下落の末、大恐慌に見舞われ、ニューヨークの街角では、失業したビジネスマンらがスーツにネクタイというふだんの姿でリンゴを売り、わずかでも生活費を稼ごうとした。 それから60年近くたって1987年、株価の大暴落が起き、「ブラックマンデー」と呼ばれた。 現在の金融危機はそこまでの大きな影響は出ていないものの、過去の危機では、経済の自由化にこだわった米政府、とくに共和党政権のツケが指摘される。
経済のグローバル化が加速する現代にあって米国は自由主義経済の旗手。 ブッシュ政権もそれを貫いていてきた。 来年1月には民主党への政権交代もありえるとはいえ、米国は「自由な経済」をどこまで守り切ることができるか。 ブッシュ大統領は政権末期にきて米国が抱える最大の課題に直面しているようにみえる。
以上
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リーマン・ブラザーズの破綻から強まる米金融危機への対策として、AIG には公的資金投入を決めた米政府には、二重基準があるかのような「その場シノギ」の印象を受けます。
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「公的資金、5,000億ドル規模の不良資産買い取り案を議会に提示-米政府」(9月20日 時事通信 / ワシントン) _ 米政府は19日、議会に対し、5,000億ドル (54兆円) 規模の公的資金を投じて金融機関の不良資産を買い取る計画を提示した。 来週末までに必要な法案の可決を目指している。 米紙ワシントン・ポスト電子版が報じた (※追加2へ続く)。
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「米金融危機 米政府が史上最大規模の公的資金 危機対策に数千億ドル投入」(9月20日 産経新聞 / ワシントン) _ ブッシュ米大統領は、19日 声明を発表し、金融機関からの不良資産買い取りなど包括的な金融危機対策を発表した。 これに先立ち 会見したポールソン財務長官によると、総額数千億ドル (数十兆円) の公的資金を投入する史上最大規模の政府介入になる。 大統領は「未曾有の難局に前例のない行動が必要だ」と述べ、「米国経済の転換期だ」と強調、米金融市場の信頼回復に断固とした措置を取る決意を示した (※追加3へ続く)。
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「米金融危機 不良債権処理の包括案 財務長官ら提案」(9月19日 iza / ワシントン) _ ポールソン米財務長官とバーナンキ連邦準備制度理事会 (FRB) 議長は18日夜、議会でペロシ下院議長ら議会指導者と米国発の金融危機の解決策をめぐって協議し、金融機関が抱える不良債権を処理する包括的な枠組みを提案した。 不良債権処理機関の設立が柱になるとみられる (※追加4へ続く)。
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「リーマン破綻 米金融危機、世界を巡る」(9月20日 産経新聞ウィークリーワールド) _ 米証券大手、リーマン・ブラザーズの破綻に端を発した米金融界の混乱が続いている。 ブッシュ米大統領は18日、ホワイトハウスで声明を発表し、米政府は危機の修復に対処していることを強調した。 だが、米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ (AIG) の経営悪化も重なり、波紋はいやおうなく世界に広がっている (※追加5へ続く)。
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しかし、大方の金融関係者の指摘する、安定化対策として、公的資金の投入が避けられないとの助言がようやくB大統領に到達したのか、B大統領が理解したのか、政府の対応が固まったようですね。
不具合を頻発するシステムへの対応で、対症療法的に薬をチビチビ投与して、ヒトツヒトツ直してしていたのでは、なかなか不具合が収まらず、抜本的な対策が必要になってきているのは誰の眼にも明らかです。
サブプラ証券というステロイド剤をたっぷり投与した米金融機関には、公的資金 つまり税金を使った根本的な治療が必要で、遅れれば遅れるほど回復が長引くでしょう。
90年代の日本の金融市場は「失われた10年」ともいわれましたが、10年以上経った現在でも、91年ピーク時の平均株価4万円近くの3分の1足らずで、その回復は遅々としています。
アフガニスタンやイラクに軍隊を進めて何が成果だったのか、北朝鮮の核問題協議も進展せず、任期切れ間近のB大統領の功績は?、と問われると果たして何だったのかサッパリと出てきませんでしたが、もしかしたら「恐慌の再来を未然に防いだ大統領」として記憶に残るかも知れません。
以上
※追加1_ 上下両院は数日以内の法案化を目指しており、共和・民主両党議員の補佐官らが週末にかけて同提案内容についての詳細な検討を行う見通し。
計画では銀行など金融機関のバランスシートから回収困難な住宅ローン関連負債を切り離し、政府の管理下に組み入れることとなっており、米財務省には異例の権限が与えられることにもなる。 ロイターが入した財務省草案によると、不良資産買い取りに関する財務長官の判断は裁判所の審査を一切受けない。
また、同計画に対応するため、連邦政府の債務上限は現行の10.6兆ドルから、11.3兆ドルに引き上げられることになる。
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※追加2_ 同紙によると、ポールソン財務長官とバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長は共和党下院議員100人以上と同日午前、電話会議を開催。 今回示された計画では、政府は米国に本社を置く金融機関の住宅ローンや商業不動産ローン、住宅ローン担保債券 (MBS) などを買い取る。
ヘッジファンドや外国金融機関は対象外となる。米当局は、各国に対し、米国と同様に、自国金融機関の不良資産を買い上げるプログラムを創設するよう働き掛けているという。
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※追加3_ 必要法案は今週末中に議会と取りまとめて、来週26日の休会前の通過を目指す。 大統領は「わが国の歴史で、党派を超えて重大な課題に団結して取り組むときがあったが、今がその時だ」と述べて政府介入の必要性を強調、政策を総動員し挙国一致で金融危機の封じ込めに取り組む姿勢を明確にした。
対策は、資産価値が劣化して金融システム不安の病巣となった低所得者向け高金利型住宅ローン (サブプライムローン) 関連の金融商品の買い取りが柱。 財務省は総額 500億ドル (約5.4兆円) の基金を設立して、解約が殺到するマネー・マーケット・ファンド (MMF) を保護し、米連邦準備制度理事会 (FRB) が資金供給拡大で支援する。 さらに、米証券取引委員会 (SEC) が、金融株799銘柄を対象に空売りを一時的に禁止する。
米政府は3月の証券大手ベアー・スターンズの経営危機以来、米政府系住宅金融会社への資本注入、保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ (AIG) まで個別機関の危機にケース・バイ・ケースで対応してきたが、金融恐慌やシステミックリスク (連鎖破綻の危険) を防ぐには「包括的な行動が必要」(ポールソン財務長官) と判断した。
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※追加4_ 会談後、ポールソン長官は記者団に対して、「金融市場の混乱とシステミックリスク (連鎖破綻の危険) に対処するため、立法措置が伴う包括的なアプローチを話し合った」と述べたうえで、不動産価格の下落などで劣化している金融機関の住宅関連資産などを処理する方策を提案したことを明らかにした。
バーナンキ議長は「危機の解決に向けて議会と一緒に取り組むことを待ち望んでいる」と述べ、ペロシ議長も「われわれには解決策が必要」と述べ、政府と協調する姿勢を示した。
政府側の提案の詳細は不明だが、1980~90年代の貯蓄貸付組合 (S & L) 危機の際には、整理信託公社 (RTC) が設立され、S & L から不良債権を買い取って処理した実績がある。 米メディアによると、RTC をモデルにした不良債権処理機関の設立が柱となるとみられる。
低所得者向け高金利型住宅ローン (サブプライムローン) 問題に端を発したこの金融危機では、住宅ローンの焦げ付きが多発し、サブプライム関連の金融商品の信用が劣化。 市場での売却ができなくなり、金融機関の損失が拡大した。米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻など金融システム不安を招く原因にもなった。
ボルガー元米連邦準備制度理事会 (FRB) 議長ら有識者からも、 RTC 現代版の設立を求める声が上がっており、同構想の政府検討の報道を好感して18日の米株式市場は反発した。
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※追加5_ 18日付の米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は米経済への不信感は各国の中央銀行から企業、ヘッジファンド、個人投資家に至るまで、最近の記憶では前例がないほどまでに深まっていると伝えた。 その波はアジアにも波及し、シンガポールでは、深夜から AIG の子会社の事務所前に顧客らが保険契約の見直しをしようと、列をつくった。
証券取引所でトレーダーが頭を抱えたり、祈るような眼差しで取引画面を見つめる光景はニューヨークだけでなく、ロンドンからパリ、さらには香港でも変わらない。 リーマン・ブラザースを創設したリーマン一家の3兄弟が生まれたドイツ南部リンパーでは生家に、米国に移住して成功した一家をたたえるかのように記念碑が掲げられている。 だが、それももはや色褪せて見えてきそうだ。
一方、AIG の経営悪化でにわかに注目を浴びているのが英プレミアリーグの名門、マンチェスター・ユナイテッド。 今年4月に披露した新しい赤いユニホームにはスポンサー企業になった AIG の大きな文字が書かれ、それを胸にウェイン・ルーニー選手らスターが本拠地マンチェスターでの試合に臨んでいる。 ユニホームのスポンサー契約はいまや球団経営に欠かせない収入源。 とくにマンUはここ数年、スポンサーが代わり、球団経営への影響も気になるところだ。
2社以外にも米金融界をめぐる話題は尽きない。 英紙フィナンシャル・タイムズ電子版は18日、米銀大手シティグループに合併申し入れに失敗した米証券大手、モルガン・スタンレーが中国の国有投資会社「中国投資」に持ち株比率で最大 49% の出資を要請していると報じた。 米銀大手との合併よりも中国投資の出資が望ましいとの判断といわれる。 中国投資はリーマン・ブラザーズの買収にも参画したとされる。
リーマン・ブラザースは破綻し、英銀行大手、バークレイズが一部買収に乗り出す半面、AIG の経営悪化では米連邦準備制度理事会 (FRB) が280億ドル (約2.95兆円) を実行したと発表した。 米当局の対応は2社の間で対照的な形を取ったとはいえ、一刻も早い危機からの回復に向けて有効策の実施が望まれている。
米国では1929年に数回にわたる株価の下落の末、大恐慌に見舞われ、ニューヨークの街角では、失業したビジネスマンらがスーツにネクタイというふだんの姿でリンゴを売り、わずかでも生活費を稼ごうとした。 それから60年近くたって1987年、株価の大暴落が起き、「ブラックマンデー」と呼ばれた。 現在の金融危機はそこまでの大きな影響は出ていないものの、過去の危機では、経済の自由化にこだわった米政府、とくに共和党政権のツケが指摘される。
経済のグローバル化が加速する現代にあって米国は自由主義経済の旗手。 ブッシュ政権もそれを貫いていてきた。 来年1月には民主党への政権交代もありえるとはいえ、米国は「自由な経済」をどこまで守り切ることができるか。 ブッシュ大統領は政権末期にきて米国が抱える最大の課題に直面しているようにみえる。
以上