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アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

H.オーグラー著『アドラー心理学入門』シリーズ、今回は第12回目です。

今回は、劣等コンプレックスの3つの源泉 ― 器官劣等性、甘やかし、無視 ― のうちの甘やかしをテーマにします。

H.オーグラー著『アドラー心理学入門』では、「個人の発達にとって甘やかしはとても有害である」とし、その根拠を甘やかしが「他人に対する関心(注:いわゆる「共感」のこと)の発達を妨げ、それに代えるに自己関心をもってするからである」と書いています。

先に結論を述べてしまえば、甘やかしは、共同体感覚の欠如をもたらします。

ここで、私なりに「甘やかし」の定義をしておきます。

甘やかしとは、子ども自身に体験から学ぶ機会を与えないことで、子どもの自立心と責任感を損なう親や教師などの対応

H.オーグラー著『アドラー心理学入門』では、別のところ(第3部「個人心理学の実際的応用」の第1章「教育」)で甘やかしを次のように定義しています。

甘やかしという言葉は、アドラーの場合、子どもから自立心を奪うこと、子どもに独力で何かを成就する機会を与えないこと、子どもが自分自身の力を用いるのを妨げること、そして子どもを寄生虫であるように育てること、を意味している。


第2部第3章に戻って、この本の主張にもう少し、耳を傾けてみましょう。

子どもを自分に縛り付けて甘やかすか、それとも「子どもを助けて周囲の世界との接触を作り出させ、それと協力するように教えるのは母親の最も大事な仕事」です。

後者ならばいいのですが、前者のように度重なる甘やかし、そのあらゆる願望の絶え間ない充足は、子どもに次のような結末を招きます。

1.自分はいつでもこういう事態を期待するのだ、という考えを子どもに持たせる。

2.そのあげく子どもは、「私は最も重要な人間であり、私の抱く願望は、ことごとく満たされねばならない」という標語にしたがってそのライフ・スタイルを構成することになる。

3.彼らは、この態度を生涯保持し、代わりに与えることをしないで、他人からあらゆるものを期待するようになる。

甘やかされた子どもが示す兆候は、次のような点です。

   気が短いこと、親に対する抵抗、不安など


甘やかされた子どもたちは、ひとたび障害物が現れると、急に停止してしまいます。なぜなら、諸困難に打ち克つことをちっとも学ばないからです。

上の文章を私なりに補足すると、甘やかされて育った子どもたちは、他者に対する共感能力が低く、自立心と責任感にも欠けているため、自分にライフ・タスク(仕事・交友・愛)上の困難が生ずると、他者の協力を得る方策もなく、立ち尽くすだけになってしまうのです。

ところで、この日本、子どもを甘やかす親や教師が以下に多いことか!


<お目休めコーナー> 萩の藍場川(人工の川)



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