答えは現場にあり!技術屋日記

還暦過ぎの土木技術者のオジさんが、悪戦苦闘七転八倒で生きる日々の泣き笑いをつづるブログ。

再掲:「私は船を造る練習にきたのではなく、船をつくられるあなたを学ぶためにきたのです」(桝本卯平)

2015年07月03日 | ちょっと考えたこと(仕事編)

gooブログから、1年前のアンタはこんなブログを書いてたんだよ、というメールが届く。

いや毎日届いているのだが、たいていはスルーして読み返すことなどめったにない。

だが、きのうは読んでみたくなった。タイトルに惹かれたのだ。そういえば、そんなことを書いたような・・・・。

フムフムなるほど。我が意を得たり。ってアンタ、文字どおりそれは「我が意見」じゃないか、とボウズ頭をボリボリ掻く。

わたし自身が、忘れてはならない心がまえである。

ということで、以下、再掲することにした。

 

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「私は船を造る練習にきたのではなく、船をつくられるあなたを学ぶためにきたのです」(桝本卯平)


10年先を考える。

私のではない。

我が社の技術者構成の主力たる30代半ばの人たちの、10年先である。

念のため言っとくが、この場合の10年とはもちろん、アバウトな10年であり、2024年のことではない。

だいたい10年ぐらい先、ということだ。

私はいない。

40代半ばとなっている彼らは、きっと必ずバリバリである。

だが、懸念することがないでもない。

10年先のその時点でやってきているであろうテクノロジーの進歩に、柔軟に対応できる頭脳や心、あるいは身体を、はたして彼らが持っているだろうか?

という懸念である。

10年を20年と置き換えれば、さらにわかりやすいのかもしれない。

50代半ばの・・・・・というふうにだ。

もちろん、今までの、あるいはこれから蓄積していく技術でメシは食えるし、ソレなしにはメシは食えない。

だが、「土木技術」というテクノロジーの末席に座する者として、もっとも必要なのは、個々の技術ではないのだ。

ではそれは何か。

どうやって説明しようかと考えたとき、

久しく忘れていたエピソードを思い出した。

司馬遼太郎である。

 

 桝本は、小村の紹介状をもってフィラデルフィアへゆき、造船所の事務所でクランプ社長に会った。

 「君は自分の工場になにを学ぶために入る」

 と、その小柄な老人がいきなりきいた。いかにも徒手空拳からたたきあげてこの大工場主になったという経歴のもちぬしらしく、目のするどい、自負心に満ちた顔をした老人だった。

 桝本はこういう、いわば哲学的な(と桝本はおもった)質問に出あうとはおもわなかったため、ちょっととまどったが、とっさに、

 「私は船を造る練習にきたのではなく、船をつくられるあなたを学ぶためにきたのです」

 という返答をした。この返答に、老人はひどく気に入ったらしい。桝本をわざわざ私室に招じ入れ、一時間ほど語りあった。

 (『坂の上の雲(2)』司馬遼太郎、文春文庫、P.276)

 

桝本とは桝本卯平、日向の国(宮崎県)の出身で、小村寿太郎の書生となり、小村の薦めでアメリカに渡り、帰国後造船技師になった人である。

言わずもがなのことであるが、このエピソードの肝は、

「私は船を造る練習にきたのではなく、船をつくられるあなたを学ぶためにきたのです」という返答にある。

なまじっか技術の道になぞ生きていると、個々の技術の修得にのみ目が奪われがちで、ついつい忘れてしまいそうなことである。

というか、そもそもこのような心持ちを意識している人がどれだけいるだろうか。

「何を学ぶか」だけにしか意識がない人には、得てして本質としての「学び方」が身につかず、加齢とともに変化に対応できなくなってくる(したくなくなってくる、かな)。

逆に、(おぼろげにでも)本質的な「学び方」を身体に入れた人間は、何ごとにも柔軟に対応できる(する意欲がわいてくる、かな)と、私は信じている。

できるかできないか。

ひとえにそれは、君しだいだ。

「オープンマインドな頭脳と身体」さえあれば、

人生それほど捨てたもんじゃない。


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もちろん、「君しだいだ」の君は、これを読む君でありアナタだけれど、ボクでもあることを忘れてはならない。

そこんところよろしく、なんだな。

 

 

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