漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「即ソク」<ご馳走の前にひざまずく>と「節セツ」「櫛シツ」「喞ショク」

2024年02月28日 | 漢字の音符
  増補しました。
[卽] ソク・ショク・つく・すなわち  卩部ふしづくり jí

解字 甲骨文と金文は食器に食物を盛った形に人がひざまずく形。食事の席に「つく」意。転じて、地位や位置につく意ともなる。篆文は「皀キュウ(ご馳走を盛った器)+ひざまずいた人」となった。食事の席に「つく」こと。「すぐに」の意は、即座(席につくとすぐに)からくる。旧字は、ひざまずいた人⇒卩に変化した卽になり、新字体は旧字の卽⇒即へ変化する。また、借りて「すなわち」の意味にもちいる。
意味 (1)つく(即く)。地位や位置につく。「即位ソクイ」 (2)すぐに。ただちに。「即興ソッキョウ」(その場ですぐに詩歌などを作る)「即時ソクジ」 (3)すなわち(即ち)。「色即是空シキソクゼクウ」(色とは即ち空なり)

イメージ 
 ご馳走の前に「ひざまずく」(即・節)
 「くぎり(節)」(櫛)
 「形声字」(喞)
音の変化  ソク:即  セツ:節  シツ:櫛  ショク:喞

ひざまずく
[節] セツ・セチ・ふし  竹部 jié
解字 「竹+即(ひざまずく)」の会意形声。ひざを折って折り目がついたように、竹の茎に出ている折り目のようなふし。節は旧字。
意味 (1)ふし(節)。竹のふし。身体のふし。つなぎめ。「関節カンセツ」 (2)くぎり。「音節オンセツ」(ひとまとまりに発音される最小単位)「文節ブンセツ」 (3)とき。おり。気候の変わり目。「時節ジセツ」「季節キセツ」「節句セック」(折り目となる式日。=五節句) (4)ほどよい。ひかえめ。「節制セッセイ」「節度セツド
(5)しるし。割符。節をふくむ竹の左右半分に同じ文章を書き、竹を割って双方がもち、後に節を合わせることにより証とする。西周以降、金文で書かれた割符が多く使われた。

符節(割符)[竹を割った形を青銅で作った通行証で、節を含む竹に細かい決まりを記している。これを通行する側と許可した側が所持する。(ネットの検索画面から。原サイトなし)]
「符節フセツ」(符も節も割符の意)「使節シセツ」(割符を持って行く使い)

くぎり(節) 
櫛[櫛󠄁] シツ・くし  木部 zhì
解字 「木(き)+節(くぎり)」の会意形声。木に一定の間隔でくぎりとなる刻み目をたくさん入れたクシ。発音は、セツ⇒シツに変化。新字体に準じた櫛󠄁も可。
意味 (1)くし(櫛)。くしけずる。髪をすいたり、髪飾りにつかう結髪具。木・竹・べっ甲・象牙などで作る。「櫛笥くしげ」(櫛などを入れる箱)「櫛風沐雨シップウモクウ」(風が髪をくしけずり、雨が体をあらう意。非常に苦労すること) (2)くしの歯のように並ぶ。「櫛比シッピ」(隙間なく並ぶ)「櫛比シッピする家々」(隙間なくならぶ家々)

形声字
 ショク・ソク  口部 jī
解字 「口(くち)+即の旧字(ショク)」の形声。ショクの音を口から出すこと。①虫などが、しきりに鳴く声の形容。②嘆息の声の形容、に用いる。
意味 (1)虫が鳴く声の形容。「喞喞ショクショク」(虫がしきりに鳴く声) (2)嘆息の声の形容。「我喞喞ショクショクたり」(白居易・琵琶行) (3)[国]かこつ(喞つ)。なげく。ひそひそと語る。
<紫色は常用漢字>

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