安倍首相は保守層の安倍内閣離れをどう思っているのだろう。明日にでも出される緊急経済対策に失望して、内閣支持率は3割を切る事態になるだろう。新型コロナウイルスによる今回の事態は、未だかつてない例外的な状況である。アベノミクスの目玉であった雇用の改善も、ここにきて赤信号を灯ってきた。安倍首相が胸を張れなくなってきているのだ。失業者が溢れるようになれば、社会不安が増大することになり、治安を保つのも難しくなる▼普通であれば、国民に協力してもらうわけだから、全国民への現金給付を断行すべきである。面倒な手続きを省略するには、それがもっとも手っ取り早いからだ。財務省の言いなりになっているようでは、多くの国民の反発を買うだけである▼中小零細業者は存続することが難しくなってきた。個人の所得も大幅に減少することが予想される。安倍首相は大胆に方針を転換すべきだ。自民党の若手グループの意向を尊重すべきなのである▼自民党が野党に転落することを心配しているのではない。安倍後継とみられていた岸田文雄は、今回のことで国民から見放されてしまった。例外的な状況下で、国民が一致しなければならないときに、政治が混乱することを恐れるのである。一番迷惑をするのは私たち国民なのであり、今からでも遅くはない。しょぼい経済対策では国民は納得しないのである。
政府は今日にでも緊急事態宣言を出すとみられる。新型コロナ特措法には限界があり、超法規的な措置を含めて検討されるベきである。東京を始めとしていくつかの地域が指定されると思うが、どこまで武漢発の新型コロナウイルスを封じ込められるかが課題なのである▼主要な公共交通機関については、一週間程度の全面運休によって、人の移動を制限すべきである。物流は維持されなくてはならないが、高速道路に関してはマイカーを規制するのが手っ取り早い▼すぐに手を付けるべきは政府広報の徹底である。公共放送としてのNHKなどを利用して、国民に協力を呼びかけるべきである。CM形式で何を心がけるべきかについて、一人でも多くの国民に知ってもらう必要がある。さらに、ドコモなどの位置情報をもとにして、人が集まっている場所を確認し、そこに警察が出向いて、すみやかに解散するように指導すべきである▼例外的な状況が認定されれば、自粛要請よりももう一歩前に踏み出すことが可能になる。当面は経済活動よりも、命を最優先にしなくてはならない。挙国一致で危機に対処できるかが試されているのだ。欧米のような深刻な事態にならないためにも、今回の法律以上に政府や自治体のトップに権限を与えるべきである。当面は批判のための批判は慎もう。新型コロナウイルスとの闘いに勝つことに、今は全力を傾注すべきなのである。
