響けブログ

音楽コドモから「音楽コドナ」へちょっと進化。ドラムとバイオリンと小鼓を弾く、ヒビキの音楽遍歴。

大学から狂言の道へ進んだ場合。

2008-07-05 | 邦楽(伝統芸能)
このところ私は、才能があってもコドモの頃からそれ専一に取り組ませることはない、という話を展開している。だけど、そういう親を攻撃しようというのではない。親についてはこれは今度は親子関係の問題になると思うから、個別に考えなくてはならないと思う。このあたりについては、以前の記事ですが「神童の親たちもきっと大変なんだな。」を併せてご覧頂ければ幸いです。

ところで、「コドモの頃からそれ専一に取り組ませる」のと、まったく逆のケースもある。

日本芸術文化振興会では、「日本が世界に誇る文化」である伝統芸能としての「600年の歴史を生きる〈能・狂言〉、400年の間大衆に愛され続けている〈文楽〉〈歌舞伎〉、寄席囃子や太神楽といった〈大衆芸能〉」などの後継者養成事業を行っている。文科省の事業であり、半蔵門の国立劇場の養成課が窓口のようだ。というわけで、つまり、歌舞伎俳優、歌舞伎の鳴り物や義太夫(竹本)、寄席のお囃子方、能楽三役、文楽技能員といった「職業」は、世襲でなくともなれるシステムが整っているのである(募集内容は年によって異なる)。ちなみに、募集資格は、中学校卒業以上23歳までの男子であって、女子にはその道は開かれていない。

実は以前狂言について調べていて、この研修を終えて能楽師になった人からのメッセージを読んで、記憶に残っているものがある。

能楽三役 研修修了生からのメッセージ
加藤洋輝(かとうひろき)
から以下抜粋

「能の世界は外にも開かれていて、能楽師の家に生まれなくても能楽師になることは可能です。しかし、能楽師の家に生まれて、子供のころから厳しく仕込まれてきた人にくらべると、途中から入った人はそのスタートラインに大きな開きがあります。このギャップを埋めるのはとても厳しいことです。
 能楽の研修制度は6年と長いのですが、研修が終わったからといって一人前ではありません。その後も勉強はずっと続きます。
 長く厳しい道ですが、能楽の魅力に一生を賭けてみようと思われた方は、応募してください。」

今や「伝統芸能」は、大人になってから自分の意志で入ってきた才能のある人を頼りにしなければ成り立たない状況になっている。しかしながら、「能楽師の家に生まれて、子供のころから厳しく仕込まれてきた人にくらべると」とても厳しいというのである。

ついでに以下の募集項目について、就業者における研修生の割合というのも掲載されており、これがたいへん興味深く、応募しようという人にとても参考になると思う。
* 歌舞伎俳優 28%
* 歌舞伎音楽-竹本 74%
* 歌舞伎音楽-鳴物 39%
* 歌舞伎音楽-長唄 8%
* 大衆芸能(寄席囃子) 88%
* 大衆芸能(太神楽) 30%
* 能楽三役 ※データなし
* 文楽の技芸員 49%

[コドモの時から専一に取り組むってどういうことなんだろ]
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