散歩から探検へ~政治を動かすもの

自己認識の学・永井陽之助の政治学を支柱に、自由人による主体的浮動層の形成を目指し、政治状況の認識・評価・態度を語ります。

顔の見えない立候補者たち~「後継・組織・浪人」による川崎市長選挙2013年

2013年10月15日 | 地方自治
先の記事で前回の選挙において、全体の投票率(36%)及び年代別の投票率(若い世代の相対的低さ)について述べた。民主党旋風が全国的に広がった中でも、川崎市は一地方であり、市民の関心は極度に低かった
 『20代「18%」と60代「53%」との間に~川崎市長選挙、前回投票率131003』

今回はそれ以上に全国的なトピックスはなく、では川崎市で争点になる話題を構成できるかと言えば、それもない。何よりも先ず、候補者が個人としての魅力を全くPRできていない。顔の見えない選挙なのだ。

立候補者はいずれも無所属の新人で、24年ぶりに新人同士の争いと言えば、新鮮なはずが、それを感じさせないのは「個人」の存在感が希薄だからだ。元川崎市財政局長・秀嶋善雄(自公民推薦)、女性団体役員・君嶋千佳子(共推薦)、元県議・福田紀彦の顔ぶれだが、次の様に呼ぶ方が判り易い。

 秀嶋氏=阿部市長「後継」
 君嶋氏=共産党「組織」候補
 福田氏=「浪人」再出馬

秀嶋氏は国家公務員時代に、出向で川崎市・財政局長を務め、阿部市長のテストを見事にクリアーした正真正銘の後継者である。これを自民党が音頭をとって、公民を巻き込み抱き込み、大連合を形成した。まさか、投票用紙に「阿部後継」と書くわけにはいかないから、最低限「阿部→秀嶋」をPRする必要がある。

最近の共産党は、党員かどうかは判らないが、一貫して組織内から候補者を立てる。一口で「共産党系の候補」と呼べば、イメージは湧くだろう。政策もその主張は一貫しているので、特に川崎市として聞かなくても、大凡わかる。従って、特に君島氏に関心を持つ必要もない、組織候補者なのだ。

マスメディアに倣って元県議と本記事で書いた福田氏は、その意味で「浪人」なのだ。落選後の4年間に何を仕事とし、どのように個人の成果を出し、腕を磨いたのか?「元」では、何とも理解しかねる。貫禄は付いたかも知れないが、その程度で42年間の役人出身市長を批判し、「市民」を表看板にしてもピンとくる人はいない。市民として大奮闘していれば、「浪人再出馬」にはならないからだ。

このように、「個」としての存在感を感じさせる候補者がいないことが、先ず、今回の選挙を低調のままにしている原因だ。もちろん、政策第一であるが、幅広い選択肢の中から優先順位を付けることが必要である以上、市民の利益が交錯する処で、議論し、説得力を発揮できる程度の個性は必要なのだ。それは、140万人レベルの政令市だけでなく、20万人レベルでの中核市あるいはそれ以下の規模の市町村でも求められるはずだ。

超高齢化社会へ突入する時代、高齢者を中心とした福祉政策に対して地域がコミットせざるを得ない状況において、地域を統率し、役割分担、リソースの配分等を巡る争点を仕切るには、調整だけでなく、リーダーシップをとれ、経営にも明るい政治家を必要とする。本来、その人たちを育成する場は議会なのだが、残念ながら、その兆候すら見られない。

おそらく、今回の選挙は低調の中で終わらざるを得ないだろう。しかし、その次を目指して議会の意識を変えていく必要がある。それ以外に優れた政治家を地域の中から輩出させる方法は、おそらくないのだ。

      
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