散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

イスラム国の存立基盤~ボルシェビキ革命から類推

2015年03月23日 | 国際政治
「イスラム国は、約1世紀前のボルシェビキのように、革命を起こす力をもって彗星のごとく現れた。単なる1つのテロリスト集団から、レバノンやイスラエルより大きな土地を支配するまでになった」(Jack Goldstone教授)。

このアナロジーは的確だ。何故なら、レーニンの共産主義は資本主義に対抗する強力なイデオロギーであると共に、戦争論を革命へ適用して内戦の理論にもしたからだ。更に比較を引用してみよう。

「イスラム国側は地域的にも世界的にも支持を拡大…ボルシェビキが連合国軍による干渉を「西側資本主義がロシア人を搾取しようとする証拠」だと非難したように、イスラム国もまた、米国主導の空爆や無人機攻撃をシリアやイラクの、そして世界中のスンニ派を説得する材料として使っている」。

以下がロシア革命に匹敵するイスラム国の存立基盤になる。
「1917年に起きたロシア革命で、レーニン率いるボルシェビキがソビエト政権を樹立。ロシア皇帝の圧政に反対する勢力のなかでも、ボルシェビキは最も過激な思想を持ち、ロシア正教会を弾圧、私企業や階級を廃止、労働者に力を与えるという新しい社会秩序を約束し、国民の支持を急速に獲得した」。

従って、「リビア、ナイジェリアでは、イスラム国に忠誠を誓う過激派組織もいる。抑圧を感じる世界中のスンニ派にとって、イスラム教の中心地に強大なスンニ派国家を築くというイスラム国の計画は魅力的だ。イスラム国は、バグダッド進攻、西側諸国への攻撃に向け、戦闘員・武器・資金を集めることも可能だ」。

「シリアとイラクの戦線でイスラム国と戦う部隊は、地域を防衛することは可能かもしれない。しかし、イスラム国を圧倒し、同組織の支配地域を奪還するのに必要な持続した攻撃力は持ってない」。

そこで、「トルコやイラク、イランやサウジアラビアといった地域の主要国が団結し、イスラム国に波状攻撃を行わなければ、長い将来にわたってテロと戦争を生み出すことになる。故に、欧米諸国を含む連合軍が必要とされる」。

「ソビエト政権の赤軍と反革命勢力の白軍が争う内戦状態のなか、米国、英国、カナダ、フランス、オーストラリアなどの連合国軍は白軍を支援するため対ソ干渉戦争に突入」。

「だが、1918-1922年までの5年に及ぶ戦いで、ボルシェビキは国内の反対勢力だけでなく、連合国軍にも勝利した。彼らには固い決意と団結、そして思想があった。一方、連合国軍は第一次大戦で疲弊し長期戦への覚悟もなく、目的もさまざまで一致団結できなかった」。

同じ様に、「中東での連合軍が効果的に機能するかは疑わしい。欧米の同盟諸国はすでに、イラクとアフガニスタンでの戦争で疲れ切っている。長い景気後退とばく大な海外戦費のせいで、たとえ相手がイスラム国だとしても、国民は中東での新たな戦いには賛否両論を示している」。

加えて、「主要な関係国が抱く目的はそれぞれ異なる」。
イラン:アサド政権の維持に繋がる対イスラム国作戦しか支持しない。
トルコとサウジ:アサド大統領を権力の座から下ろすことにしか協力しない。
オバマ大統領:アサド氏の今後を明確にする戦略を取ろうとしなかった。
主要な国々:その結果、中途半端な支持しかしなかった」。

アサド大統領はどうするのか、「ダマスカスとアレッポを結ぶ主要な回廊地帯と沿岸部を奪われない限り、シリアのアサド大統領はイスラム国による一部支配を容認するとみている。一方で、アサド政権の残虐行為と米国主導の空爆は、ますます多くのシリア人をイスラム国へと向かわせている」。

従って、「強力なシリア政府軍をイスラム国と戦わせる唯一の方法は、アサド大統領を退陣に追い込むことだ。シリアの軍部とエリート層に、同大統領を失脚させればシリア再建を完全に支援すると約束することは可能だ。ただしそれには、スンニ派も新政権に加えることを条件とすべきだろう」。

こうなると、堂々巡りで有効な策は無いように思える。

      
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 地方議会における決算・予算... | トップ | 地方議会の役割と住民の姿勢... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

国際政治」カテゴリの最新記事