農村ライフ 日々是好日

山形・庄内平野でお米を作る太ももの会広報部長の農村日記

回天の道・月山山麓アドベンチャーラン大会(後編)

2012-10-14 23:55:09 | マラソン、駅伝
鳥海山の頂が白くなっていましたね。
昨日、初冠雪が観測されたそうです。

しかし日中はさほど寒くなく、
むしろポカポカ陽気でいい日曜日でした。
最上川河川敷や北港緑地公園では大勢の人たちが
芋煮会を楽しんでいましたよ。

さて昨日の続き、
回天の道・月山山麓アドベンチャーラン大会レポートの後編です。

さて回天の道を辿って、山から下りてきました。
これでかなり位置的に前に進んだような感覚でしたが、
林道が終わって県道に出たところは肝煎集落の少し手前、
満願寺より少し戻っているではありませんか。

短い区間ながらも同じ道を二度走らなければならなかったのは
けっこう足に負担がかかってきているだけに、少々がっかりでした。


肝煎集落にあった立派な出羽三山神社の石碑。
しかも湯殿山がメインなのは珍しい?
立谷沢地域は歴史があるだけに、由緒ある遺物が多そうです。


肝煎から県道を横切って東へ、
立谷沢川を右岸に渡ります。

山を下りてからペースはがくんと落ちました。
けっこう脚にきています。


清流立谷沢川も雨水で濁流になっていました。
早く雨よ止んでくれい!


川を渡ったところは板敷山の麓、
昔、焚火研究会の黎明期に田んぼの雪の上で焚火をしたことがあります。
熊谷神社まではまもなくです。

しかし神社に寄ることは叶いませんでした。
コースはすぐに舗装路から河原の遊歩道みたいなところに入りました。
大会のためにでしょうか、谷地刈りをした跡が見られます。


中村集落の背後にある水力発電所から流れてくる水流。
かなりの迫力です。


中村、木の沢集落を左手に見ながら田んぼの農道をひとり行きます。
ようやく雲が切れて青空がのぞいてきました。

もはや前後に選手の姿はまったく見えません。
たまに誘導員のかたの車がポツリと停まっているだけ。
少ない参加選手にもかかわらず、長時間のお勤めまことにご苦労様です。


道は銀杏並木が続くサイクリングロードになりました。
左手に見えるのが木の沢にある立谷沢小学校です。
誰もいない単調な道を一人ぼっちで歩を進めます。

やっと木の沢の橋のたもとを横断してさらに南進。
もう時刻は午後1時を回りました。
関門通過の制限時間(午後1時30分)が迫ってきました。

しかも上がったかと思われた雨が、また強く降ってきました。
たまらず銀杏の下で雨宿り。
でもタイムリミットが近づいているのでゆっくり休んでなんかいられません。

科沢が左手に見えてきたところでクイズ第3問のチェックポイントでした。
第3問、
設問の詳細は忘れましたが、
立谷沢に沿って南北に伸びる街道の別名は○○ロード?
という設問だった気がします。

答えはたぶん「龍神」。
立谷沢川はあたかも月山から北向きに横たわった巨大な龍のようです。
それが月山の山岳信仰と相まって「龍神様」信仰が始まったと
たしか書いてあったと思います。


クイズを解いた直後に田んぼの畦に現れた「龍神さま」碑。

おっと写真を撮っている場合ではありません。
時計を見たらもう1時22分。
関門の滝の沢橋までまだ目測で1km以上あります。

今の脚の状況を考えたら悲観的になるほど関門が遠くに見えます。
でもここで足切りリタイヤされる事態だけは避けたい。
とりあえず可能性がある限りがんばってみようか!
懸命に雨が染み込んだ手を振ってペースを上げました。

苦しい!長い!
間に合わないかも知れない、
間に合うかも知れない、
でもここでがんばらないでいつがんばる?

この日で一番集中しました。
次第に近づいてくる関門、
橋のたもとには走路役員の方でしょうか、数人姿が見えます。
苦しい!だがもう少し!

関門の女性役員のひとりが両手を上げて振っています。
来い!来い!早く来い!と呼んでくれています。
もう怖くて時計を見ることができません。

「がんばってー!もう少しよー!」
役員の声が聞こえます。
表情も見えるようになりました。
その顔は笑顔です。

「あれ?おれ、もしかして間に合うのかな・・・」



なんと関門閉鎖1分前に関門を通過しました!
「やったー!」
皆さん、喜んでくださいます。

そしてクイズ第4問、
清河八郎の妻の名前は?

3択で漢字で一文字の花の名前が三つ並んでいました。
これは「蓮」で決まりです。
間違いありません、なにしろ
一昨日まで「回天の門」(藤沢周平著)を読んでいたのですから。

「がんばって!あと5kmよー」
やったぞ!これでレースを続行できます。
しかもゴールまであと5kmだって。
具体的な残りキロ数にフィニッシュのイメージが膨らんできました。
ありがとうございます。

ここからは谷地原の中の砂利道河川管理道路になりました。
熊が出てもおかしくない雰囲気です。
再び単独走に戻りましたが、別に怖さはありません。

そうだ、と思って家族に電話。
そうしたら都合が悪くて来れない筈だったオカアチャンが、
娘たちを連れて、すでにゴールの北月山荘で待っている
というではありませんか。

そうか、よしよし。
これがまた励みになります。
残り5km、前進するのみ。

しかしそうは問屋が卸しませんでした。
関門を無事突破できた喜び、その余韻で走れたのはほんの最初だけ。
関門手前で無理してペースを上げた影響が出て、
さらにまたがくんとスピードが落ちました。

そうしてさらに事態は悪化します。
なんと両脚の太腿の内側が硬直、ケイレンです。
「うわっ!」
思わず足が停まりました。

両脚ケイレンなんて20代の晩秋、徳沢から長塀尾根を登ったとき以来か?
完全に吊ってしまわないように、がに股でだましだまし歩きます。

やがて左手の樹間に発電所と人家が見えてきました。
立谷沢でも一番名前の長い集落、市郎右衛門新田です。
おそらく開拓者の先祖の名前が集落の名前になったのでしょうか。

村から新田橋を渡って立谷沢川を西に戻ります。
このとき角に走路員の方がいらっしゃったので少し走ってみたら
また脚が吊りました。
トホホのがに股歩行です。


三たび?県道に出ました。
ここまで来るとようやく北月山のロッジが見えました。
あと4.2kmの看板。
「おーし」
脚は上がらないけれど、気持ちだけは前へ前へ。

まもなく道は左岸の河川管理道路に入りました。
川に程近い、広い砂利の道路です。
ここまま瀬場まで約3km続きます。

後から車(軽ワゴン)が来たので道を譲ろうと脇に寄ったのに、
車は追い抜いていきません。
私の亀のようなスピードに合わせて後にぴたっと付いてきます。

「あっ!これって最終車」
そうです。
単独走(歩)が続いたので意識していなかったのですが、
関門を閉鎖1分前に通過してからは、
私はずっと最終ランナーだったのです。
これは初めての経験でした。

最終ランナーに付いてくる車は、別名追い上げ車。
先導者に引っ張られて先頭を走るランナーは爽快なのでしょうが、
最終車に追われて(?)最後尾を走るランナーは、
常に監視されているようで、あまり気持ちのいいものではありません。
(私が遅いのが悪いのです、ごめんなさい)

背後からの無言の圧力(?ごめんなさい)に、
もう逃げも隠れも立小便もできません。

いいえ、これが逆に功を奏しました。
ケイレンした脚にさらにもう一度鞭を入れ、
途切れそうな気持ちを途切れさせることなく、
最後尾ランナーを真っ直ぐにゴールへと導いてくれました。

そしてチェックポイントがまだあった。
最後の問題、第5問が出題されました。

これも詳細は忘れましたが、
清河八郎が率いて京に上った侍の集団の名前は?
これは「浪士組」でしょう。
この中には後に新撰組となる、
近藤勇、土方歳三、芹沢鴨らも含まれています。

河川敷の長い直線の砂利道。
やがてその先に見覚えのある堰堤が。
あそこが瀬場の川原の公園に違いありません。
あそこまでがんばれば、あとはゴールの北月山荘へ坂を駆け上がるだけです。

脚はもうとっくに限界です。
顔も苦悶にゆがんできました。
先行したランナーたちは、今頃とっくにゴールして
北月山荘の暖かい温泉に浸かっているのでしょうか。

実力不足のランナーに25kmという距離は
十分すぎるほど歯ごたえがありましたが、
ここまでは遠いけれど、温泉施設がゴールなのはなんともありがたい!


長い河川敷の砂利道もきつかったが、
ゴールへの最後の坂もきつかった!
この坂はさすがに情けないけれども走ることはできませんでした。

そして・・・
見えました!北月山荘のゴールです。
スタッフが大勢で手を振って出迎えてくれています。
そして家族の顔も見えます。

自然と出たよガッツポーズ。
この最後の直線だけは走ることができました。
そう私だけのうれしいうれしい花道でした。

この瞬間を途切れさせてはいけない・・・
なんだか写真を撮るために立ち止まるのもはばかられました。
(したがってレースの写真はこれで終わりです)

アイちゃんがスタッフの方に促されて、
紅潮しながらもちょっと戸惑った表情で
ゴール手前に出てきてくれました。

アイちゃんの手をとって一緒にゴールテープを切りました。

ありがとうございました!
皆さんのおかげでなんとかゴールまでたどり着くことができました。
いつもそうなのですが、とにかく感謝の気持ちでいっぱいです。
特に今回は少ない参加者を大勢のスタッフの方々が支えてくださいました。
その中で私が最終の走者として、誰よりも長時間遊ばせていただきました。
いい大会でした。
ありがとうございました・・・


都合で残念ながら表彰式には出席できませんでしたが、
温泉は最高でしたよ。
来年もぜひ遊ばせてください。
(次回はこのまま北月山荘に泊まりたいなあ)

このブログを読んで、来年の大会の参加者がひとりでも増えることを期待します。

(追記)
清河八郎顕彰会のブログに大会の模様がアップされました。
嬉しいことに私のゴールシーンが載っています。
アドレスはこちら→http://plaza.rakuten.co.jp/kaiten/diary/201210200000/







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2 コメント

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Unknown (イーノ)
2012-10-16 23:26:51
お疲れさまでした。
今日の山形新聞に記事が載っていました。それにしてもこんな面白そうなレースの参加者が11人(新聞では9人)とは意外に少なかったですね。残念ながら、同僚のイタガキさんは関門でタイムアウトだったそうです。「(ランニングの)本職の人が多かった…」と言っていましたが、そうだったのかな? 
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Unknown (ひろの元気村男)
2012-10-17 22:09:56
ありがとうございました。イタガキさんとは北月山荘のお風呂で一緒になりました。本職の人かどうかは分かりませんでしたが、それなりの走力がないと完走は難しいと思われます。(私はおとめ座で運が良かった?)16日の山形新聞探しても見つかりません。手元にあったら記事を見せてもらえますか?
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