お待たせ致しました。やっと始まります。デジカメ写真の整理が全然出来ていないので、誤魔化していたのですが。いまだにメモリーカード開けてない。
まず、父島に行くには竹芝桟橋から小笠原丸(通称おが丸)に乗る。その辺りから話が始まるのだ。え?父島じゃないの?いえいえ、まだまだ先は長いでござる。
運行しているのは小笠原海運
http://www.ogasawarakaiun.co.jp/index.html
で、詳しい情報が読める。
俺が知らなかった父島豆知識から(この豆知識てきとーに後で散りばめる予定)
・人口2000人ぐらい(20人ぐらいかと思ってたぞ)
・携帯使える。ただしドコモのみ
・テレビは地上波・NHKの衛星放送映る。でもラジオは入らない。
・戦後から1968年まではアメリカの領土で、その後返還された。
・小笠原というのは信州の深志城主の孫、小笠原貞頼により発見された(父島は小笠原諸島最大の島)ところから名がついたらしい。(しかしこの貞頼という人物、長い間実在したのか分からなかったとか)
さて朝8時半、竹芝桟橋に行くと乗船手続きをしてる人の長い行列。
ん?こんなにたくさんの人が父島行ったら、父島沈没しちゃうぞ。
出航は午前10時 到着は翌日昼11時半
おが丸は定員1000人で今回は500人が乗船。ガラガラかと思うとそうでもない。俺たち下層階級の人間は一番安い2等船室。ここは雑魚寝。だだっぴろい所に、一人ひとりに割り当てられた場所(毛布と枕がある)が自分の領土。正直言って、あまりにも狭い領土で驚いた。しかし、夏や年末年始などはもっと領土縮小されるとのこと。ポーランド侵攻したヒトラーの気持ちが分かったぞ(嘘)
周りを見渡した俺の感想。
ここは
強制収容所
もしくは
地震の後、体育館に避難してる人たち…
避難民
経験ある人ごめんなさい
実際はそれほど居心地が悪いわけじゃないことが後に分かるんだけど、そのときはそう思った。上の写真が携帯で撮った2等船室だ。
で、強制収容所を抜け出して、甲板に行った。ちょうど、品川だとかお台場、レインボーブリッジが見えるところで、携帯で写真撮っていた。そしたら、隣にいたうら若き女性に話しかけられた。「あんまりうまくとれませんよねー」で、多少会話をかわしていた。彼女は大学2年生。一人旅。どっか遠くに行きたいので父島を選んだとか… ちょっとプリティな田舎者なので、あれが横須賀、あれが三浦半島、あっちが房総半島、これがランゲルハンス島と教えてあげた。すい臓見せちゃったのかよ!すると、突然背後から
どおおーーん
とど突かれた!なんだ?海に突き落とそうというのか!ここは火サス?土ワイ?あたしは片平なぎさ?
「なにやってんだよー!トイレ行くって言ってもう30分じゃねえかよー!あたしも甲板出たかったのに待ってたんだぞー」
鬼が来た
じゃなくて、連れだった。そう。一人旅だったら、アバンチュールだのオートクチュールだのじゅわいおくちゅーるだのが期待されるのだが(読者もそっちを期待したに違いない)、残念ながら連れがいた…
ということを完全に忘れていた。でもその大学生(たかちゃん)に、「ちゃんと連れと来た」と言ったぞ。←アバンチュってない俺
その後、船内のレストランで、たかちゃんと連れと3人でよもやま話。近頃の若いもんはーなんて思っていたのだが、すごくしっかりしていて見直してしまった。鬼(仮名)が「こいつがナンパしたんでしょー ごめんねえ」ととっても失礼極まりないことをぶっこきやがるが、「そうじゃなんですーあたしが声かけたんですー」と正直に言ってくれて助かった。たかちゃん、きっと君は木を切ったらちゃんと自分がやりましたと言うだろう。臭かったら、あたしがしましたと言うのだろう。僕たちには「実はカレシいるんですー」と言っていたが、島では「いないんですー」と言うのだろう。それでいいのだ。あそこは日本じゃないから治外法権なのだ。
ちなみにヤイコこと矢井田瞳に似てると思った。その後、船内・島内でしょっちゅうたかちゃんを見かける。
そうそう船内にはレストラン・売店・あちこちに自販機・カラオケ・ラウンジ・ビデオルーム・キッズルーム・スナック・シャワーなどが完備してる。なんでカラオケ?と思ったが後で母島出身の人と話したら、おが丸就航の頃はカラオケルームは予約でいっぱいだったそうな。もちろん旅行者だけがおが丸利用する訳じゃなく、父島・母島在住の人たちも利用する。飛行機など飛んでないのだ。作業服来た人たちがいたが、どうも光ファーバーだかを設置するために島に出張するらしい。後で島で会ったが完全にオタク集団で気色悪かった。
ビデオルームとは、船内でレンタルビデオを借りてそれを見ることができる。あずみ2とかアビエイターとか比較的新しいものが多かった。係りの人に
「タイタニックはありませんか?」と聞いたら、にやっと笑いながら
「それは、おいてません」
そりゃそうだ。
で、船内で一番の問題になるのは
どこに自分の身を置くか?どうやって25時間(片道)つぶすのか?
多くの人は自分の船室の領土でほとんど寝てる。後は廊下のソファーで過ごすひとが多いかな。俺の場合は本を読みたいのでその場所探しにちと苦労した。その結果たどりついたのは、ラウンジ。リクライニング・チェアーがあって、ここが楽園だと判明。平井賢の「楽園」は「もう消えた」らしいが。ちなみに行きの航海で「チーム・バチスタの栄光」(中堂尊)を読了し、帰りには「暗礁」(黒川博行)を読了してしまった。携帯は圏外になることが多いのでぴーひゃら鳴らないし、パソコンも持って来てないのでメールもネットもない。まさに集中できる環境。
船内で見かけたすごい人たち:
出航前から甲板で酒盛り始めてた人たち、寝転がったまま同じ姿勢で本をずっと読んでた人、編み物をしてるおばあちゃん(往復50時間もあれば武蔵丸のセーターも編めただろう。いやウエットスーツか?)、廊下にシート敷いて寝てる人、など。やはり母島の人に聞いたが、マージャンをやるというツワモノもいたそう。酔い安い人はほとんど寝てるみたいだ。25時間寝続けるというのもつらいが。
俺の場合は、本読んでる、もしくは鬼・たかちゃん・他に知り合った人たちとしゃべってる。ということでほとんどの時間は過ごせた。意外と快適だった。
船酔いであるが、前もって友人(仮)に薬飲んだ方がいいと勧められていたので、アネロンという薬を飲んだ。12時間ぐらい効くらしい。酔い止めなんて初めて飲んだが、これはかなり効いたと思う。なぜなら、
すっげえ揺れたから
冬は特に揺れ安いらしい。逆に夏は台風さえ来なければあまり揺れないらしい。今回は気圧配置が悪く、行きも帰りも結構揺れた。薬飲んでなかったらかなりやばかったであろう。(船内に最新気圧配置図が張り出してあり、こういうことが気になるというのも新鮮な体験。アホ丸出しの鬼こと連れに読み方を解説してやった)
船内見学ツアーと言うものがあってこれがなかなか面白かった。お子さん連れだったらぜひ行くことを勧める。エンジンがある機関室でおじさんの説明、さらにエンジンのすぐそばまで行けた(死ぬほど暑いぞ!)エンジンはばかでかい。なぜかエンジンのすぐそばに自転車。もっと面白かったのは操舵室見学。なかなかイケメンの3等航海士が説明してくれる。レーダーなんて初めてみたし、操舵室から見た海というのもど迫力だった。海図も初めてみたが、思わず買いたくなった。聞いてみたら、市販されていて5000円ぐらいするらしい。俺の連れ(鬼)が
「航海士でも船酔いするんですか?」
「ええ。僕は昨日休みだったので、今日は酔ってしまいました」
わお!航海士でも船酔いするのか!というより、それほど揺れたのか!というより、そんな失礼なことよく聞けるな。さすが鬼。
説明のとき、結構揺れていたので、小さな女の子はママと退散していたが、おばあちゃんは口元にハンカチあててしかもこっそりゲロしながら説明に一生懸命うなづいていた。あれは鬼もたかちゃんも「すげえばあちゃんだ」と言ってた。
ちょっと待て。今回非常に長くなっておるぞ。しかもまだ父島に着いておらんじゃないか!
船内で仲良くなった、怪しいボーイズ(男子大学生二人組)、タビナレシマクラーズ(母島に住む女性二人組・カップラーメンその他の装備満載で旅慣れしまくってる)の話、結局中止になった超高速船TSLの話もまだまだあるのだが
今回はこの辺にしとくか。うーむうーむ ばりうーむ。船内だけでこんだけかかるとすると、帰ってくるまで一体どれだけかかるのだろう… なにより行きの船内がまだ終わってないとは言語道断。これを読んでる数少ない読者の怒りの視線をひしひしと感じる。特に苦情は受け付けないが、コメントには懇切丁寧に応じる予定はあるぞ。
今日の教訓
宵越しの金は持たずとも、
酔い止めの薬は持て