頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『負けくらべ』志水辰夫

2023-11-29 | books
50年ほど介護の仕事をする三谷孝。内閣情報調査室関連の仕事をしている。趣味のバードウォッチングをしていたら偶然知り合った大河内牟禮は財団理事長。なんだか気に入られて秘書的なことをしていると巻き込まれる事件。

久しぶりのシミタツ。「背いて故郷」とか「裂けて海峡」 よりも白石一文っぽかった。しかし、リーダビリティ抜群ですごく好みだった。昭和史の裏側、三谷の無色透明な感じ、大河内のエネルギー。読んだことのない興奮。

 

今日の一曲

ドラマ「パリピ孔明」内で披露された。英子の"I’m still alive today"



では、また。


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『夫よ、死んでくれないか』丸山正樹

2023-11-27 | books
学生時代からの親友三人組。璃子、友里香、麻矢。麻矢は夫と家庭内別居状態。友里香の夫は文句しか言わず子育てを手伝いもしない。この死んでほしい夫たちに対してどうしようかという話。

ラストは好みとはやや違うけれど、それ以外はかなり面白かった。ダメ夫の描写(ドラマ「 コタツのない家」のようには笑えない)も、人物造形も巧い。

 

今日の一曲

羊文学で、"more than words"



では、また。


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『黒い絵』原田マハ

2023-11-25 | books
ほぼ全編、セックスもしくは邪悪な心を表現する短編集。


大好きな原田マハ。なのに何一つ心に響かなかった。

 

今日の一曲

Aimerで、「白色蜉蝣」



では、また。

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『スピノザの診察室』夏川草介

2023-11-23 | books
京都、洛北大学病院のエリート医師だった雄町は、妹が死に甥を育てるため原田病院に転職する。内視鏡の抜群の技術を買われ、大学に戻って来いと先輩から言われるが断る。老人相手の医療の日々。

すごく面白かった。「神様のカルテ」シリーズも物凄く良かったのだけれど、雄町医師にはハゲシク「 こういう人になりたい」 と思わせるものがある。抜群の知識と技量。それを誇らない人格、鷹揚と、泰然自若とした感じ。

 

今日の一曲

ハナレグミで、「MY夢中」



では、また。


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『アンと幸福』坂木司

2023-11-21 | books
「和菓子とアン」シリーズ四作目。東京デパートの和菓子屋で働く杏子連作短編集。新しい店長のもたらすモヤモヤ、大学の講義を受けてみる、おやつと食事の境界線は、お茶会に和菓子を買うおじさん、俳句の会、初めての出張。


アンちゃんの「らしさ」は相変わらず。自分にネガティブ、甘い物好き、可愛いもの好き。全体に薄めのミステリーがあって謎解き要素あり。「掌の上」の会社の上司っぽいおじさんが土曜日に社員を呼んでやるお茶会の謎と「はしりとなごり」の年寄りが何を求めてるかの謎が、巧いと思った。


 今日の一曲

Vaundyで、「呼吸のように」



では、また。


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『ロスト・イン・ザ・ターフ』馳星周

2023-11-19 | books
兄から受け継いだ競馬バーを一人で切り盛りする葵。常連たちと行った競馬場で一目惚れした馬はウララペツ、メグロマックイーンの孫。レースでは全く勝てず引退することになる。何とかこの血筋を残そうする葵と仲間たちの奮闘。

非常に面白かった。久しぶりの徹夜本。競馬はやらないけど十分理解できる。絶妙に葵の恋愛話も配合されていて、そっちもなかなか良かった。


 

今日の一曲

SUPER BEAVERで、「決心」



では、また。


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店名にツッコんでください320

2023-11-17 | laugh or let me die
店名にツッコんでください320
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『続 窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子

2023-11-15 | books
黒柳徹子の戦中、戦後。疎開、音楽学校、NHK。

やはり面白かった。書類持参しろと書いてあるのに、郵送してしまったり、試験の場所を間違えたり。たった一人で長距離列車に乗ったときにトイレに行きたくなった。しかし行けない。隣のおばさんに教わった用の足し方が衝撃的だった。

 

今日の一曲

SHISHAMOで、「私のままで」



では、また。



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『グレイラットの殺人』M・W・クレイヴン

2023-11-13 | books
英国刑事ワシントン・ポーシリーズ第4作。貸金庫破りの犯人たちはなぜか何も盗らず遺体とラットの置物を残す。そしてヘリコプター会社の社長が売春宿で拷問されて殺された。

複雑だけど面白かった!MI5が登場するし、昔アフガニスタンで英国兵士がテロの犠牲になった事件までも絡んでくる。ラストの解決にはアドレナリン出まくり。素晴らしい小説だった。

 

今日の一曲

Duran Duranで、"PSYCHO KILLER (feat. Victoria DeAngelis)"



では、また。



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『照子と瑠衣』井上荒野

2023-11-11 | books
老人ホームが嫌になって出た瑠衣と夫が嫌になって家を出た照子、同級生70歳の逃避行。

映画「 テルマ&ルイーズ」のようになしくずし的に人を殺す転落物語かと思ったらだいぶ違う。タイトルと表紙が誤解を生む。しかし彼女らの過去とか現在とか面白く読んだ。何の話かと訊かれると困るけど。ロードムービー的なものかと思ったけれど、ある場所で結構留まる。


 

今日の一曲

ATARASHII GAKKO!(新しい学校のリーダース)で、"Tokyo Calling"



では、また。


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『喫茶おじさん』原田ひ香

2023-11-09 | books
ゼネコンを辞め無職57歳松尾、妻と別居中。あちこちの喫茶店を毎日めぐる日々。

店名は出てこないけれど、たぶん実在する店が沢山登場する。大学生の娘が誰と旅行に行ってるか確認しに行くのには、キモッとつぶやいてしまった。喫茶店や食べ物の好みには同意できるけれど、その辺のオジサン的行為には同意できない。


 

今日の一曲

Green Dayで、"Look Ma, No Brains!"



では、また。


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『サドンデス』相場英雄

2023-11-07 | books
貧乏でガールズバーに勤めるが金がない理子。スカウトされ上に向かい、ある危険そうなゲームに参加することになる。百貨店をクビになった小島はSNSで見つけたキラキラした者たちを嫌悪し、気づけばゲームに参加していた。

うーん。犯罪の動機が荒唐無稽なのが引っかかる。いやリアルだよと懸命に説明してる感あり。それ以外はスリリングで面白かった。

 

今日の一曲

幾田りらで、"With"



では、また。

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『きみの正義は 社労士のヒナコ』水生大海

2023-11-04 | books
社労士ヒナコ第二作。老人ホームの調理師を辞めさせたい、残業代を請求しない社員、セクハラ、介護で時短要求など経営者側の要求にどう答えるか?

必ずしもクライアントの要求にストレートに応じないヒナコがいい。クライアントが悪いことがよくある。社労士の関わる広範の業務を知れるのもいい。

 

今日の一曲

Donny Hathawayで、"Love, Love, Love"



では、また。



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『夫妻集』小野寺文宜

2023-11-02 | books
出版社の人事部長とか編集者とか、夫が突然植木職人になりたいと言い出したりとか、娘がユーチューバーと付き合ってるとか、元カノと飯を食う夫とか。出版社の社員を中心にする連作短編集。

小野寺史宜は当たりも多いが外れもある。今回は大当たりだった。続ける、続けないの「妻の仕事」問題や、夫婦別居、人事や子供の自立など沢山のテーマが描かれる。面白いし考えされられる。

 

今日の一曲

Laufeyで、"Bewitched"



では、また。



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